色塗りツールをちいとも使いこなせないので、簡単な絵でも塗りだすと凄く時間がかかってしまいます。上手いかたは下絵も色塗りもサラサラとこなすんだろうなあ…下手っぴは時間をかけても汚くしか仕上がらないってどゆことですか!(>◇<)
そんな気持ちをSSに込めてみる。
====================================
「デスマスク、何故お前が双児宮に居るのだ」
大きな紙袋を片手に押しかけてきた隣宮の主へ、黒サガは怪訝そうな目を向けた。
闖入者はテーブルの上へどさりと荷物を置くと、その中から次々に何やら食材を取り出している。
「アンタの弟に頼まれたんだよ」
「今日の食事作成をか?」
黒サガにとっては見たこともない粉類や調味料が卓上へ並べられていく。
デスマスクへ問い返した形は疑問系だが、その声色には作るのが当然であるかのようなニュアンスが含まれていた。
「違う!調理指南をだ。聞けばアンタ、食事当番をサボってばかりいるんだって?」
「………」
サガは料理が下手だった。それでも白サガの時は努力して食べられるものを何とか取り揃えるのだが、黒サガの時は調理自体をしようとしない。従者に押し付けるか、出来合いを調達してくるか、それが出来ないときには当番を放棄するかだ。
そして放棄されたばあい、カノンが根負けして食事を作らないとその日は何も食べられないのだ。
「アンタらの師匠は食事を作らせたりしなかったのかよ」
「…それはアレとカノンが何とかしていた」
「まあ、アンタの方は習う機会も無かったんだろうがな。今日はアンタでも出来そうな簡単なパン作りを叩き込むからそのつもりで。混ぜてこねて焼くだけだから、仕上がりと焼き加減さえ気にしなければ普通に食えるものが出来るはずだ」
「何故私がそんな事をせねばならんのだ」
「そのメモに材料名と、それぞれの分量が書いてあるから順番に量れ」
いつもは黒サガに対して下手に出るデスマスクも、こと料理に関しては強気だった。
仕方なく…というよりは半分気まぐれで、黒サガはとりあえず言われたとおりメモの上から順番に量ってはボールに入れていく。
「…ってアンタ!!!何でいきなり全部一緒のボールに入れるんだよ!」
「どうせ混ぜるのだろう」
「手順があるんだよ!しかも何でドライイーストをそんなに大量に混ぜようとしてるんだ!7.0グラムって書いてあっただろ」
「70グラムの書き間違いかと思ったのだ」
「誤字を疑う前に、自分の料理能力を疑えよ!」
「強力粉は400グラムなのに、そんなに少ないわけがない」
「あああああ、言ってるそばからバターを固形のまま入れたな!それは室温に!」
「温めれば良いのか」
「混ぜた後で小宇宙で熱するな!他の材料も温まるだろう!」
「細かいことをうるさい奴だな」
「室温にって言ってるのに、何で卵が固まり始めてるんだよ!」
「最終的に混ざれば良かろう」
「そのワインは土産に持ってきたやつで材料じゃないから混ぜるなー!!」
結局パンは作成できず、その日以降はいくらカノンが頼んでもデスマスクは黒サガに料理を教えようとはしてくれませんでした。
====================================
黒サガの場合は、出来ないというよりヤル気がないだけの気がしないでもない。