星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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双子とロス
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「突然夜中に押しかけてきてどうしたんだ。サガと喧嘩でもしたのか?」
アイオロスは呆れた様子を隠しもせず、カノンに客用カップを差し出した。中身は煮出して上澄みだけを飲むギリシア珈琲だ。受け取ったカノンはぶすりとした表情でそれを受け取る。
「そのほうがまだいい」
「あれ?穏やかじゃないね」
アイオロスも自分の分のカップを手に、カノンの正面へ腰を下ろした。
「海界からの1週間ぶりの帰宅なんだぞ。なのにサガの奴、にっこり笑って『おかえり、お疲れさま』しか言わん」
「それの何が不満なんだ?」
「当初3日の予定だったところが、急な案件が発生して日が延びた。多忙すぎて連絡を入れることも出来なかったから、サガからすれば無断外泊4日だ。昔だったら『どこへ行っていたのだ』だの『何をしていた』だの『連絡くらいいれろ』だの小姑のように煩く言うところだってのに、何だそりゃ。スニオン岬に捨てた弟のことなんて、もうどうでもいいってことか。だから出てきてやったんだ」
「えーと…」
ようはサガに構って欲しかったってことかい?と言い掛けてアイオロスは黙った。どうもカノンは昔のトラウマも発動中のようだ。下手に突くと手に負えなくなる気がする。何故そう思うかというと、アイオロスにもそれなりに複雑なトラウマ持ちの、ブラコンの弟がいるからだ。
アイオリアもカノンも過去を乗り越えているとはいえ、完全に癒されるにはもう少し時間が必要なのだろう。
「まあ、理由はわかったけど、それで何でここへ来たのかな。君が突然出て行ってしまって、サガも心配しているだろうに」
「もっと心配すりゃいいんだ。オレが人馬宮にいるとなりゃ、あいつも落ち着いていられないだろうからな」
カノンの言い草にアイオロスは目を瞬かせる。
「人馬宮にくるとサガが?何故?」
しかしカノンは剣呑な目でにらみ返しただけだった。
「お前ムカつく。その余裕はどっからくるんだ」
「話の流れが読めないんだけど…とにかくカノン、サガは多分君を信じているから何も聞かないんだと思うよ。構って欲しければ、もう少し判りやすく甘えてみたらどうかな」
判らない話は流して、アイオロスは思った通りを勧めてみることにした。カノンとサガとの行き違いに『巻き込まれている』と考えずに『頼ってもらえた』と受け止めるのがアイオロスの器の大きさだった。
カノンが不貞腐れた態度ながらも口ごもる。
「そんなことを言われても、甘えたことなど無い」
「ええ…」
生暖かい目で突っ込みを入れそうになった自分を、アイオロスは何とか抑える。
「では試しに私をサガだと思って甘える練習をしてみないか」
「はあ?無理言うな、何でお前に甘えなきゃならんのだ」
「私に甘えるんじゃなく、模擬でだよ。面接前の質疑応答練習みたいなものだよ」
「面接なんざしたことが無い」
「例えだからね。君も技のイメージトレーニングくらいするだろう。それの会話版」
一応カノンの側も、八つ当たり的押しかけであることは自覚している。その自分のためにアイオロスが解決策を模索してくれていることに対して、多少の罪悪感はあった。
いくぶん柔らかめになった口調で、カノンはアイオロスへ模擬問答をはじめた。
「ううむ…ではサガ、金を貸してくれ」
「駄目だ」
「お前即決かよ!」
言い募るカノンに対して、アイオロスの目が遠いものになっている。
「どうして余計怒られるようなことを言うのかな」
「お前が甘えてみろって言ったんだろう」
「甘えすぎだよ。でも一応理由を聞いておこうか」
「町で女でも買おうかと」
「だから何で余計怒られるようなことを言うの?本当は怒られたいの?」
「サガが抱かれてくれれば女なんて買わなくても」
「えっ、兄弟で?」
思わずアイオロスが問い返すと、カノンは「冗談だ」と吐き捨て、代わりにアイオロスへと挑発的な目を向けた。
「相手してくれるんなら、お前でもいいぜ?」
言葉上は誘われているのに、その瞳には深い怒りの熾き火が見えるような気がして、アイオロスは息を呑む。そして直ぐに脳裏に浮かんだのは、泣きそうになっているサガの顔だった。どういう連想なのだろうか。
「サガが泣くから、駄目」
「オレのせいで?お前のせいで?」
「…わからないよ」
審判者のように見つめるカノンへ、アイオロスは苦笑しながら答えた。

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同じパターンでラダへ絡みに行くサガも脳内で発展。多分サガのほうがより迷惑…げふげふ。そしてコメントご返信よりSSが先ですみません(ぺこぺこ)
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