ウォーターサファイア7話の続き。ポにょ不在双子編。
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私室エリアに設置された洋服ダンスの前で、どこか浮き立った様子のサガが、カノンに話しかけている。
「カノン、この服などどうだろうか」
「…何でもいいんじゃね?」
「そうはいかない。女性と出かけるのだ。男の側がいい加減な格好をして、相手に恥をかかせるわけにはゆかぬ」
「女性って…中身はポセイドンだろ…それにその服オレのだろ」
結局双子はポセイドンに押し切られる形で、共に地上へ外出する運びとなっていた。
聖域への乱入を諦めるかわりに、地上観光という妥協案を飲まされたわけだが、カノンの方は既にやる気がない。
「性別は肉体に付随するもの。身体が女性であれば女性扱いが当然であろう。お前の服を借りることはすまないと思うが、わたしは世俗用の私服を持っていないのだ」
「何でそんなにやる気に満ちているんだよ」
「女性とデートなのだぞ」
敢然と言い切った兄の発言に、カノンは果てしなく脱力してしまう。
「オレも一緒なんだが」
「Wデートだな」
「お前はWデートの意味を判っているのか」
「わたしとセラフィナ、わたしとカノンで2組のダブルだろう」
「……思考回路の基準がお前中心なのは理解した」
兄の発言で精神力を削られているカノンをよそに、サガは服選びに余念がない。ソファーに寝転がってそれを眺めていたカノンは、呆れの色を隠さず語りかけた。
「お前はモテるのだから、今更デートなどで喜ぶこともあるまいに」
何気ない一言であったのだが、サガは手を止めて苦笑した。
「モテたりなどしない。それに、女性とのデートも初めてだ…そのような余裕も機会も、1度たりとてなかったのでな」
「え、」
思わずカノンは身を起こす。『女性との』という前置きが気になるが、それは敢えて流した。
「しかし、女と手を握ったことくらいはあるだろう」
「さすがに、それくらいはある」
サガが拗ねたような顔で言い返す。
「ほう、いつのことだ。相手は?」
安心したような妬けるような気持ちが沸き起こるのを押さえ、カノンはサガの隣へ移動し顔を覗き込む。
「アテナに黄金の短剣をお渡ししたとき」
「………」
「他にもあるぞ。13年前のロドリオ村で、皆に囲まれているとき少女の一人から…。あ、あの時は別の少女から花も貰った。少年からも貰ったが」
「………もう何も言うな、サガ」
考えてみれば、幼少時から黄金聖闘士として厳しい修行や任務に明け暮れていたサガだ。陰の身分にあかせて遊びまわり、悪事に手を染めていた自分とは違う。そして13年前の反逆時以降、サガは老教皇シオンに化けて暮らしていたという。デートどころか私的な遊興時間もなかっただろうし、そんな事のためにリスクを冒す事など出来よう筈もない。
そしてすったもんだの末、いち聖闘士に戻ったサガの記念すべき最初のデート相手が娘ポセイドン(と弟)。
あまりの哀れさにカノンは涙が出そうになる。そもそもそれはデートと呼べるのか。
兄に向けてこれほど生暖かい同情の視線を向ける日が来ようとは、スペア扱いだった13年前の自分には思いもよらない事ではあった。
せめて楽しい思い出となるよう、フォローしてやらねばとカノンは決意する。
「サガよ」
「なんだ」
「お前の高スペックの半分は無駄だ」
しみじみ呟いたカノンの両頬は兄によって掴まれ、左右に極限まで引き伸ばされた。
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原作サガの「まるで神のように多くの人々から慕われていた」シーンで、女の子と一緒に花を渡してる少年は、大きくなってもきっと花持参でサガを口説いてくれると信じてますよ。
今日もぱちぱち有難う御座います。心の栄養剤です!
ここのところ風邪気味なので今夜は早寝します。(>ω<)メールのお返事&バトン等明日以降にさせて下さい(ぺこぺこ)
朝に妄想していたカノンとデフテロスの激突兄談話ですが、彼らはどちらも口では相手の兄を羨みつつ、心の奥底では「でも自分の兄のほうがいい」とか思ってそうですよ!
サガとアスプロスの激突兄談話は…まだ黒プロスしか出てないので自重。普通に黒(プロス)×白(サガ)っぽくなっても嬉しいな。そんでもって、そのときの白サガのなかにいる黒サガの反応をみたいですよ!←重要
…どんだけクロスオーバーだ。
アスプロス&カノンや、サガ&デフテロスといったようなクロスオーバー関係は美味しいですよね。これでNDで前聖戦双子が出てきたら、萌えで死ぬんじゃないだろうか私。
早く今週のチャンピオンを読みたいですよう!(>ω<)。
あと、寝そうになりつつロスサガ(黒)SS更新しました。
へもへも短いロスサガ話の続きを書いていたのですが、途中で寝てしまい朝アップに間に合いませんでした。
秋のヒュプノス様は何でこんなにパワーアップしているの?冬になるともっとパワーアップするのだから、もう少し抑えてください(>△<)
ロスサガ妄想ついでに、凄く下らないスターヒルデートも妄想しておりました。
星を見上げながらアイオロスが、有名なイケ/ヤセ/キ彗星のように、「新しい星や彗星を発見したらサガロスと名づけるんだ」とか言い出して、サガが「いや教皇となるお前の前に名前が来るなどとんでもないロスサガにしろ」とか照れるわけですよ。
カノンは二人の発言に突っ込みまくるけど、シュラは「星見は苦手ですが、もし見つけたらオレもシュラリアと名づけたいです(シュラサガでも可)」とか天然発言かまして、意図せずアイオロスに逆襲しますよ。
とりあえず新星を発見してもシオン様から命名禁止令が下りそうです。星矢世界ですと、多分星に名前をつけたり、その管轄を決めたりするのは神々の仕事ですよね(笑)
全然関係ないのですが、アスプロス(黒)は今のところセカンド(弟)嫌いで、お兄さん第一精神らしいので(絶対コンプレックスとか愛情の裏返しだと思いますが)、これは白サガとぶつけてみたいと思いました!当然デフテロスもサガとぶつけてその反応をみたいですね!
カノンとデフで兄さん談義もして欲しい。兄愚痴話のはずが途中から兄惚気話になってることに気づかない二人です。
今日もぱちぱちありがとうございます!夜にお返事させて下さい(^▽^)ノ
今日のSSは、ポにょ話ウォーターサファイア6話の続きになりました。
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突然の招集に馳せ参じた海将軍たちは、緊張を隠せずに居た。
海神の呼び出しとあらば、何を置いても駆けつける彼らではあるが、聖戦後にこのような先触れのない呼び出しは例がない。
また、『日常服で来ること』などという指定もかつて無いことである。海将軍が揃う神託会議の折には、鱗衣が当然の礼装であったからだ。
時刻は夕暮れを過ぎたあたりで、太陽を持たぬ海底では既に夜の燭台が神殿内を灯している。筆頭のカノンがいないのは、一足先にポセイドンを出迎え、神の意向に従い招集の準備を整えているかららしい。通信兵を通さず直接小宇宙で連絡が来たことや、服指定の件から考えても、何か極秘の通達があるにちがいないと海将軍たちは予測していた。
指定の時間が近づくと、ポセイドンの小宇宙が雄大に広がり周囲に満ちた。海将軍たちは慌てて玉座前を開けるようにして左右へと並び、平伏して神の訪れを待つ。
程なくして扉が開き、衣擦れの音とともに進んでくるポセイドンを前にした海将軍は、例外なく固まり言葉を失った。
カノンに手を引かれながら付き添われ、後ろにテティスとサガを従えたセラフィナ姿のポセイドンが、皆へ輝かんばかりの微笑みを向けたのだ。
唖然としている海将軍達へ向かい、筆頭のカノンがどこか棒読みに告げる。
「ポセイドン様は此のたびの降臨においてセラフィナという女性の御姿をとられている。これはあくまで臨時のことであり、普段はソロ家の長子に降りる決まりに変わりはない。言うまでもないが、姿の如何に関わらずお仕え申し上げるように」
その声も聞こえているのかいないのか、海将軍たちはポカンとしたまま目の前の海神に目を奪われていた。最年少のアイザックが1番冷静という有様だ。
ポセイドンの小宇宙は力強く男らしいものであったが、美しく装ったセラフィナの容姿はその正反対のたおやかさである。エスコートしてきたカノンと並ぶと、まるで一対の芸術品だ。身体に沿ったラインのドレスは艶やかさを引き立て、それでいて優しい微笑みは春を告げる可憐な花を思わせる。
見た目だけは、聖域のアテナにも比肩する神々しい乙女っぷりであった。
そのポセイドンが口を開く。
『お前達が今日もつつがなくあることを嬉しく思う』
口調はいつもと変わらぬことに、何となく安心する海将軍一同である。
ソレントが恐々と口を挟んだ。
「畏れながらポセイドン様、そのお姿は何ゆえに…」
『うむ、そのことだが』
頷いたポセイドンの眼差しには、よくぞ聞いてくれたという満足感が溢れている
『答える前にまず海馬へ尋ねたい。この姿をどう思う』
「凄く…お綺麗です」
指名されたシーホースの目はうっとりと輝いていた。
彼を除く海将軍メンバーが、その返答に遠い目で同僚を眺める。どうやら、先程から皆が動揺で固まっている中、バイアンだけは感激で動けずにいたらしい。カノンなどは胸中で“こいつはサガの同類か”とこっそり零しているものの、ポセイドンはますます満足げだ。
『そうか、では女主人に仕える状況を存分に味わうが良い』
はっと表情を赤らめて、バイアンが問う。
「まさか、そのお姿はわたしのために」
『まあ、お前のためだけではないがな。此度の招集はほかでもない。そなた達の日ごろの働きを、労いたいと思うたからだ』
海の主たるポセイドンからの思わぬ言葉によって、海将軍一同の顔が引き締まった。
「我らがポセイドン様の御為に働くのは当然のことでございます」
「勿体無きお言葉…」
カーサやクリシュナまでが感激の色を顔にのぼらせている。
先ほどまでとは別の意味で言葉数の少なくなった一同を、ポセイドンは目を細めて見つめた。カノンの策謀であったとはいえ、中途半端な覚醒での戦を強いたのは、己の責任であったという思いはある。苦労をかけたという気持ちは本物で、だからこそ何かの形でねぎらう機会を待ってはいたのだ。
娘姿のポセイドンは、自分の胸の前で祈るように指を組み、可愛らしく告げた。
『感謝を込めて宴を用意した。本来であれば海闘士全員に振舞うべきであるとは承知している。しかし急なことゆえ材料が整わぬ。よって正式な宴は後日とりおこなうが、今宵は我が軍の要であるお前たちをそれに先立ち招いたのだ』
海将軍一同の顔へ言葉にならない何かが浮かんでいる。イオなどはちょっぴり涙ぐんですらいる。
しんみりした雰囲気を打ち破るように、テティスが続いて可愛らしく宣言した。
「そんなわけで、今からケーキバイキングです!」
その場の空気が固まった。
もう夕飯時間なんですが…
おそらく海将軍の皆が同じ感想を浮かべる中、ポセイドンが天使の笑みを浮かべる。
『最上級のスイーツを用意した。休息時間の茶請けと言わず、存分に食べるが良い』
ポセイドンの後ろで、お相伴に預かれる甘党・テティスとサガが、控えめながら嬉しそうにしている。カノンが先ほどから皆と視線を合わせようとしないのは、計画を修正出来なかったすまなさからなのだろう。
海将軍たちは顔を見合わせ、空きっ腹を甘味で埋め尽くす覚悟をきめる。それから誰とも言わずに大声で笑い出した。
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女性の身体に入ったポセイドンは、何故この身体だとスイーツを沢山食べられるのか不思議に思いながら、ケーキを食いまくるというどうでもいい横ネタあり。
皆がもう甘いものを見たくない状態に陥ったあたりで、カノンがこっそりデリバリーで普通の食べ物も頼んでくれるという、さらにどうでもいい横ネタもあり。
でも寝ながら妄想した!双子が双子以外に甘えたらどうなるかのバリエーションを!
カノンはラダマンティスやポセイドンに、サガは女神や星矢やアイオロスや年中組にというあたりでしょうか。どちらも双子が甘えて欲しい顔ぶれでありながら、甘えたところを見せそうにない顔ぶれというのがポイントです。あ、星矢にだけは拙宅ではめろめろなサガですが!
それはさておき統合サガを書きたいココロ。一筋縄ではいかないサガで大人の会話とか!しかし大人の会話は私の引き出しに存在しない。
ちなみに、統合サガが他人を甘やかすとカノンが拗ねそうです。白黒サガと違って、統合サガのときは明らかに意図を持った「甘やかし」なので。
しかしてカノンが拗ねても平気で「すまなかったな、お前のそういう顔が見たくて」とか困った事を言い出して懐柔しそうな印象のある統合サガ。勿論この場合の統合サガは、清濁併せ持った完成型統合サガではなく、黒白の困ったところが統合した迷惑統合サガの場合です(なんだそれは)
今日も夜には何か話を上げたいにゃー。でもひとまずお仕事に行ってきます。今日もぱちぱち有難う御座います!元気の素です!