台風直撃の早朝ですが、今朝一番にすべきはチャンピオン購入です。
LC最新刊も地元駅の売店で売ってくれればいいのに。都会の駅では扱っているのを見たのに。
それはさておき、今日もマイペースに5話の続き。
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「そういえば、その女性は何と言う名前なのですか?」
テティスが娘姿のポセイドンに尋ねた。いつのまにかポセイドンはサガの隣の席を陣取っている。最初に隣に居たはずのカノンは来客用のソファーへ移り、背中を向けてぐったりと横になっていた。関わることを放棄したのだろう。
『セラフィナだ』
「セラフィナ…名前も綺麗ですね」
テティスはにこにこと心から嬉しそうだ。どんな形であれ、海の主であるポセイドンが魅力的なのは誇らしいのだ。最初にサガに呼ばれてこの姿のポセイドンを目にした時には驚いていたようだったが、法衣だけで下着すら身に着けていなかったセラフィナを、ここまで美しく着飾らせたのは彼女の功績だ。
戦うことを生業とする海闘士の一人とはいえ、アクセサリーやドレスを楽しそうに選んでいる姿は普通の女の子そのもので、サガはこっそり聖域の女性陣と比べてしまっていた。
(マリンやシャイナたちも、普段はこのように娘らしいのだろうか)
しかし、どうにもその光景を想像出来ないのだった。女聖闘士たちが女性らしくないとは思わないが、やはり戦士としての彼女たちのイメージのほうがが強い。聖闘士となるためには、女であることを捨てなければならないという聖域独特の掟もある。
修行の必要ない海闘士や冥闘士と異なり、聖闘士は幼い頃からの厳しい鍛錬が必須となる。長期にわたる集団生活の中で男女を共に育てると、どうしても異性へ余所見をしてしまう者が出てしまい、余所見だけですめばいいのだが、その気の緩みによって命を落とす危険が修行には常に伴う。
それを防ぐための厳しい掟とはいえ、テティスを見ていると、自然な女性らしさと闘士としての在り方が同居できる海界の仕組みというのは、良いなと思ってしまうのだ。
(だが、それは無いものねだりというもの)
サガは首を振り、目の前へと意識を戻す。女性であることを捨てても何かを守る力を得ようと望む信念とて尊いもの。比較すること自体、失礼というものだろう。
「わたしはテティスも綺麗だと思う。先程のドレスの山のなかには、君に似合いそうなものが幾つかあった。どうせなら君もセラフィナと一緒に着替えてくれれば良かったのに」
海界ではそれが許されるのだから、という思いは言葉にしない。
テティスはきょとんとサガの顔をみて、それから真っ赤になって俯いた。
「おふたりも男性がいらしたのに、その前で着替えるなんて、出来ません」
「お前、うちの人魚姫を口説くなよ…」
横になりつつも話を聞いていたカノンが、ぼそりと突っ込む。
「いや、わたしは着飾ったテティスは今以上に可愛らしいだろうなと思っただけで…」
慌てて言い訳するも、ポセイドンにまで溜息をつかれる。
『お前は本当に性質が悪いの』
戦略面や人心把握では百戦錬磨のくせに、女心や恋愛方面は全くの守備範囲外なのがサガだ。ポセイドンもそれは判っていて、からかうようにサガを横から見上げる。
『このポセイドンに責任を取るとぬかしておきながら、その舌の根も乾かぬうちに他の娘を褒めるとは』
しかし、冗談のつもりで言った言葉を、真面目なサガは素で受け止める。
「ひなげしと白百合のどちらが美しいかなどと選ぶような事は、わたしには出来ません…」
しょんぼりしながらも言い切るサガを見て、この男は本当に罪作りな人間だと、遠い目でセラフィナ姿のポセイドンは思った。カノンもこちらへ背中を見せているが、同じく遠い目をしているであろうことは小宇宙の気配で知れる。
放っておくと、サガがさらに怖い事を言い出しそうなので、ポセイドンは話の矛先を変えた。
『しかしサガの言い分にも一理ある。テティスよ、次の海将軍召集議会の折には、身を整えて華を添えよ』
不定期に行われる海神からの海将軍への神託の場では、大まかな今後の方針や政治的な命令が下されたり、海将軍たちの報告や陳情が上げられたりするのだが、その際にはジュリアンの身体を使い降臨してくるのが通例である。
テティスは先ほど以上に真っ赤になりながら、異を唱えることなく小さく頷いた。この人魚姫はジュリアンのことが好きなのだ。
ポセイドンがなにげなくテティスの後押しをしたことに、カノンだけは気づいて小宇宙が少しだけ和らぐ。
しかし、ソファーから起き上がったカノンは、ポセイドンがちゃっかりサガを慰めるように(そのじつ面白がって)頭を撫でているのを目にして、またピキリと青筋を立てるのだった。
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朝5時現在、意外と外が静かです。台風本当に来ているのかなあ…
そしてイロモノ話な「ウォーターサファイア」へのお言葉をありがとうございます!ポセイドンinセラフィナとかもう、LC設定ありの、神の女体化ありので、読んで下さる方が殆どおられないのでは…と覚悟しつつ寂しく自家発電しておりましたので、暖かいお言葉が本当に嬉しいです。装身具の描写は凄く書きたかった部分でしたので、そこを気に入ってくださったというお言葉に舞い上がっておりました。女の子が可愛く着飾ったり買い物したりする場面を書くのは楽しいですよね!私はセンスがないので今ひとつアレな描写しか出来ないのですが(汗)
テティスがセラフィナを着飾らせる時間、ポセイドンは女の子の部屋を覗いたような感覚で新鮮に思いつつ『女の身支度とは時間のかかるものよ…』などとも、こっそり思っていそうです。
テティスと一緒に服を選んでいるサガも捨てがたいですし、一応女の子の着替えということで部屋からは追い出されていて、完成した状態で部屋から出てきたセラフィナの姿とテティスの手腕を見たときに、手放しで褒めるようなサガも捨てがたい。でも褒められてるセラフィナの中身はポセイドン。きっと凄い空間です(笑)
元気の出るコメントをありがとうございました!(^-^)励みになりました!
10/7 20時頃 K様>にょポセを素敵とおっしゃって下さり、有難う御座います!しかも「にょポセ×サガ」と書いて下さったところに、MYハートを正確に読み取られた予感が致しました。サガににょポセが面白がってちょっかいを出しつつ、サガの天然な女殺し発言にたまにやり返されてポセイドンも赤くなっていればいいというカオス構成でもお許しいただけますでしょうか。
アテナの前でもサガは平気でポセイドン(inセラフィナ)を褒めまくるので、アテナはちょっぴりおかんむりになりそうですが、サガは最後に「でも、わたしはアテナが1番美しいと思います」などと天然爆弾発言を平気で落すタイプなので、きっと機嫌を直しますよ!
…でもにょポセ×サガ妄想も進展させたい。
こんなアレな話ばかりの拙宅ですが、またお越しいただければと思います(汗)お言葉でやる気とパワーを頂きました(^▽^)
ほかパチパチ下さった皆様に御礼申し上げます!毎日の活力源です。