星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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王道のドライブデートに拙宅も挑戦!
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秋めいて随分と高くなった空を、ぼんやりと窓越しに見上げる。
暖かな陽気のなかを時折心地よい風が吹き、オリーブの緑を揺らしていた。カノンの脳裏に長閑という形容詞がよぎる。
「ドライブ日和だな」
ぽつりと零した独り言を、サガが聞きつけて振り向いた。
「出かけたいのか?」
「ああ、まあ…」
曖昧にぼかしたのは、免許を持っていないからだ。
まだ荒れていた昔、盗んだ車で適当に遊んだ後それを売り飛ばすというような悪さは日常茶飯事で、その当時に覚えた運転技術を忘れてはいないけれども、そんなことを口にしたら13年越しの説教が始まる事は目に見えている。
カノンとしても、改心した今になってそのような事を繰り返すつもりはなく、ただ黙って外を見上げた。いい天気だった。

サガは首を傾げてカノンを見ていたが、少し待っていろと言いおいて部屋を出て行った。何のことやら分からぬままに、言われた通り待っていると、戻ってきたサガの手には聖域公用車のキーが握られている。
「一緒に行かないか?」
予想外の台詞を口にした兄を、カノンはぽかんと見つめた。
差し出された手を無意識に取ってしまうくらい、それはそれはあっけにとられた。
「馴れぬゆえ、お前が横でナビをしてくれると助かる」
遠慮がちにお願いをされて、カノンはますます動揺した。

(サガがナビなどという言葉を使った。しかも運転する気だ。免許を持っていたなんて知らなかった。というか聖域の公用車でドライブだと!?)

サガはカノンの手を引き、双児宮の外へ出た。十二宮を結ぶ一本道を、繋いだ手のままに下っていく。その気恥ずかしさにカノンが思い至ったのは、大分後になってからのこととなる。
聖域外の拠点まではテレポートで飛び、そこの管理人に挨拶をして堂々と車庫へ向かう。外界での活動用の施設や備品は案外きちんと管理されていて、車も無難で実用的なものが選ばれている。
サガはようやく繋いだ手を離し、キーで車のドアを開けた。
カノンも慌てて助手席へと乗り込む。柄にもなく心が揺れる。その揺れが期待という感情だと気づいたときには、車は軽やかに動き出していた。

「どこへ行きたい?」
サガはまた問う。窓の外を景色が流れていく。最近の車はエコ対策が基本らしいが、乗り心地も随分進歩している。発進も滑るように静かで振動も少ない。
「そうだな…」
カノンは言いかけて、ふと目に入ったハンドル脇部分に目が釘付けとなった。
「サガよ、その前にひとつ聞いても良いか」
「何だ?」
「何故エンジンキーが刺さっておらぬのだ」
すると、サガは何を言っているのだという顔をした。
「わたしは免許を持っていない。運転したら法律違反者となってしまうではないか」
「ちょっと待て、では何のためにキーを持ってきたのだ」
「キーがないと車に乗れないだろう」
「すると今この車は…」
「ああ、わたしがサイコキネシスで動かしている」
さすがのカノンも、度肝を抜かれた。
「待て待て。動けば良いというものではない。宙に浮いた車など明らかに怪しいだろう!」
「ちゃんと地面すれすれで動かしている。タイヤも適当に回して見せている。結構集中力を使うのだぞ」
「明らかな能力の無駄遣いだ!そうだ、道を曲がる際の方向指示器はどうする」
「曲がらない」
「無理を言うな」
「では、後ろに車がついたら、その者に点灯の幻覚を見せればよい」
「オイ、そんな同時に幾つもの能力を使いこなせるのか」
「厳しいかもしれない」
「止めろ。オレが普通に運転する」
しかし、サガは聞き入れない。
「それは駄目だ。お前も免許を持っていないだろう」
こういう時のサガは頑固だ。テコでも動かないに違いない。
カノンは呆れて背もたれへと体重を預けた。空は相変わらず青く高い。
(免許、とるか)
今後、サガに無茶をさせずドライブをするには、それしかないと思われた。共に教習所へ通うのでもいいかもしれない。
そこまで考えて、カノンは笑い出した。サガは昔から無茶な奴だった。優等生のくせして、いざとなると何をやらかすか分からない強引さがあった。サガに無茶をするなという方が無茶なのだ。今さら思い出して笑いが止まらない。

「仕方ない、ナビは任せろ」
カノンが言うと、サガもつられたように微笑む。
「お前の行きたいところへ、一緒に行こう」
何気ないサガの言葉が胸を貫き、笑いながらカノンは泣きたくなった。

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9/6 9時頃 双子座聖衣が可愛すぎです!様>嬉しいお言葉をありがとうございます!射手座聖衣は確かに装着者よりも美味しいのか苦労が多いのか、微妙ポジションかもしれません。いやでも進展すれば美味しいはず!何の根拠もないですけど!
原作十二宮編時に黒サガの前でいきなり双子座聖衣が泣き出したときのように、射手座聖衣の前でいきなりぽろぽろ泣きだしたりしたら、どんなに射手座聖衣が困るだろうなと思うと妄想がとまりません。…サガも双子座聖衣くらい素直なところを書きたいです。頂いたコメントで活力を頂きました!

9/6 綾様>女神と黒サガのお話を読んでくださり有難う御座いました!原作の女神は隙なく完璧にスタイルコントロールしていそうな気がしなくもないですが、たまにはケーキの食べすぎなどがあっても良いかと思いたい。二日に分けて食べようと思っていたハーゲンダッツとシュークリームを、うっかり夜中に2つとも食べてしまうようなことがあっても良いかと思いたい。それでいつも失敗しているのは私ですが!(>△<)
イオたちに「ふとんはちゃんと腹にかけるように」と言ってるサガ…というお言葉にも高速回転でもだもだいたしました。どんだけおかあさん…!どこまで生活に入り込んでおりますか!そこまで面倒をみてくれたら、海将軍たちもサガを海界から手放したくなくなるかも。というような妄想を夢見ております。「サガが海界に住んでくれたら、カノンもわざわざ聖域に帰らなくて済むから、通勤に苦労しなくていいだろ?」みたいな勧め方で。
カノンは妬いたとしても、ちゃんと後で元は取りそうだと思いました!(笑)ちゃっかり後で自分とサガだけの時間を作り、そこで存分に独占欲満喫!
…そんな妄想ばかりの拙宅ですが、見捨てずお付き合いくださると嬉しいです。原稿のまだまだお忙しそうな綾さんですが、ご無理なさらずご自愛下さいね!

9/7 23時頃 黒歴史語りにゴロゴロするカノン…v様>そうですよね、黙って言われたままのカノンではないので、絶対に反撃すると思います(笑)「ふふふ、兄さんオレはしってるんだぜ、兄さんの偽善の数々を、な」というコメントに大爆笑すると同時に萌えまくらせて頂きました。
「身体が神の芸術」「地上の神となるのだウワーハハハ」のあたりも語られたら、白サガはかなりゴロゴロすると思います。全然平気な黒サガが、カノンに反論するつもりでさらに恥ずかしい野望を語りだしたりして、白サガを脳内で一層ゴロゴロさせてもいいなと思いました。楽しいコメントをありがとうございました!

ほかパチパチ下さった皆様に御礼もうしあげます(^^)
日々の癒しと潤いです!
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