星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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勅命先から双児宮へ戻ったカノンは、宮中にほんのりと爽やかな香りが漂うことに気が付いた。柑橘系の香りだ。おかえりと出迎えたサガが、昼のあいだに星矢の訪れのあったことを告げる。
「彼の土産だよ」
差し出された手のひらに乗っていたのは、柚子の実であった。
「今日はこれを風呂へ入れて浸かる日なのだそうだ」
「へえ、ハーブ湯みたいなものか?」
「おそらく。『湯治の日』といって、柚子湯に入ると風邪をひかなくなるらしい」
「ふーん、先日の『いい風呂の日』といい、日本人は風呂好きだな」
お気に入りの後輩である星矢の土産と、これまたお気に入りの風呂の組み合わせということで、サガのテンションがみるからに上がっている。本人は無自覚だろうが。
「女神の育った地に、いつか湯治へ行ってみたいものだ」
「いつかと言わず、行けば良いのではないか?これを機会に」
聖域に籠りきりで、わりあいと出不精な兄をそそのかすと、意外なことにサガは反発もせず頷いた。
「…そうだな。では、おまえも一緒に行かないか、カノン」
自分でそそのかしておいて、誘われたカノンはぽかんと口を開けた。生真面目な兄が聖域外へ遊びに行こうとすることだけでも珍しいのに、自分を誘うとは。
(いや、珍しかったのは13年前までの話だ)
心のなかで驚きを打ち消す。あのころは聖戦前で、しかもサガは教皇候補として日々鍛錬に励む義務があった。余裕などなかったのだと、今は知っている。
「オレを誘うのならば、メシの美味い宿にしろよ」
「心得た」
了承の返事を聞いて、サガはほころぶように笑った。
そのようにして、ごくごく自然な流れで良い空気となったため、星矢の伝えた行事が『とうじ』違いであることなどは、双方ともに気づく由もないのだった。

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そしてそのまま当分のあいだ訂正される機会もないという…
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