夜の間に書き込もうとしたら、忍者メンテナンスで更新ができずこの時間になりました。そういえば事前に連絡が来ていたような…サガならそんな事はないんだろうなあ。事前に綿密な計画をたて、寸分違わずいろいろ実行出来るんだろうなあ(>ω<;)
以下、夜の間に聞こえる庭の虫の音を聞きながら、夜に書き込まれるはずだった双子神会話SS
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地上から黄泉比良坂へと降り立ったタナトスは、軽く手をあげ、ローブの袖を振った。すると袖口から億万とも思えるセミたちが飛び立ってゆき、雲霞のごとく空を覆ってゆく。
その羽音だけでも大音量だというのに、セミたちは一斉に鳴き始め、虫の響きが不毛の大地を揺るがした。物理的にではなく、セミの命が音を発しているのだ。
タナトスが鬱陶しそうにもう1度手を振ると、大音声はぴたりと止み、セミの群れは黄泉比良坂にあいた暗渠の穴へと飛び込んでいく。穴は冥界へと繋がっている。
飛びこんだ虫たちは地の底へ到達する前に形を失い、ただの影となって四散していった。
「仕事は終わったか」
いつのまに来ていたのか、ヒュプノスが後ろから声をかけた。
「ああ、この時期になると、あれらを迎えに地上へ赴かねばならぬ。面倒なことだ」
ぶすりとした顔でタナトスが答える。
「セミは不死と再生の象徴だからな、死を司るお前としては苦手であろう」
「フン、不死はどうということもない。我ら神々とて不死ではないか。相容れぬのは再生のほうだ」
「そういうものか。しかし命というのは輪廻を介し、押しなべて再生するものだろう」
「忌々しいことにな。ハーデス様が地上を支配なさっていたら、命のサイクルなど破壊されていたものを」
「聖戦に負けたことを、今さら言っても始まらぬ」
苦笑するヒュプノスへ、タナトスは片手を差し出した。掌の上には虫籠が現れ、中を覗くと1匹のコオロギが入っている。ヒュプノスは虫籠を受け取り、首をかしげた。
「これは?」
「秋の音を肴に、お前と美味い神酒でも酌み交わしたいと思ってな…この秋、地上で最初に死んだコオロギだ」
コオロギは羽を震わせ、灰色の世界にコロコロという音色が響く。
珍しく驚いた顔をしているヒュプノスをよそに、タナトスはさっさとエリシオンへ向けて歩き始めていた。
その背を慌てて追いながら、ヒュプノスは笑みを浮かべ、聞こえぬよう小さく小さく呟く。
「コオロギは死の前兆を告げるというからな…お前の先触れとなる音色ならば大事にしよう」
双子神の思惑など関係なく、コオロギは命の歌を奏で続けている。
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タナトスとサガの話も書きたい季節です。
イベントSSが好きとおっしゃってくださり、行事ネタが好きなので嬉しかったです。行事ネタを考えていて楽しいところは、キャラたちの普段の生活や環境基盤などを妄想出来るところですよね!同じ理由で食べ物ネタも大好きです。戦闘以外の場面で、どんな風に暮らしているのかなあ…という妄想も結構滾ります。お言葉を活力に変えて頑張らせていただきます(^▽^)暖かいお言葉に御礼申し上げます!
ほかパチパチ下さった皆様、ありがとうございました!どのパチも全て感謝しながら頂いております!