星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
サガが昔のカノンの誘惑を受け入れて、二人で聖域に反逆した場合。
たとえそれが女神の前に敗れて失敗に終わったとしても、それはそれでカノンは幸せになれると思うのですよね。状況的には周囲も本人たちも不幸ですが、カノンはきっと満たされるに違いない。
そんなわけで「もしも」な双子反逆妄想。
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13年間の権力は、本物の女神の帰還により、あっけなく崩れ去った。
力による聖域支配は完璧だったと思う。何せオレとサガが揃っていたのだから。女神とその配下の青銅どもの強さが反則的すぎるのだ。市井に育っても神は神ということか。しかも常勝の女神だ。どうしてその強さを13年前に見せなかったのだ。
教皇宮は火に包まれている。フェニックスとの戦いの時に揮われた炎が、垂幕にでも飛び火したのだろう。あんな小僧に負けたのは納得がいかないが、それも正義の小宇宙と女神の加護とやらの差なのかもしれない。
けふ、と血を吐いてオレは倒れたまま天井を見上げた。黒い煙が壁を伝って上へ昇っていく。パチパチと何かの爆ぜる音がする。おそらく、この部屋も長くない。
「カノン」
ふいに涼風のような、この場に相応しくない柔らかな声がした。
何とか首を捻って横を見れば、重厚な教皇の法衣を身に纏ったままのサガが、オレを見下ろしている。
「女神は本当は強いのだな」
そう言いながらも、浮かぶ表情に悔しさはさほど見られない。おっとりと微笑む姿は昔のままで、女神よりもよほど神様のようだとオレは思う。
「…何を…している、逃げろ」
オレはもう助からない。だがサガは。
双子座がその名のとおり双子であると知るものは聖域にいない。密かに入れ替わる事によって、オレ達はこの聖域を表と裏から掌握してきたのだ。オレが反逆者ジェミニとして死ねば、少なくともサガは追われない。永久に聖域から自由になれるはずだ。
サガは屈み込むとオレの手を握った。
「わたしたちは、ずっと一緒だろう?」
その瞬間にオレを包んだ幸福と、生まれて初めての後悔は、どちらが大きかったのか。
光の道を歩んでいたサガを、オレは強引に闇へと引きずり込んだ。悪を囁き、誘惑し、あらゆる手段を使って振り向かせた。二人でシオンを殺し、アイオロスを排除し、そして…
そして聖闘士としてのサガは13年前に死んだ。
これで良かったのだろうか。
サガには別の道があったのではないだろうか。
オレがサガと二人で征く道は、他になかったのか。
「カノン、わたしは後悔していない」
心を読んだかのように、サガが笑う。サガが笑うほどに胸が痛む。
この痛みは天罰なのか。女神よ。
柱が崩れ、火の粉が互いの身体へかかる。サガの法衣も燃え始めた。炎に長い髪をまかせているサガは、この上もなく美しかった。
オレはサガの手を握り返した。何であれ、たとえ神であろうと、繋いだこの手を解くことは出来ないのだ。それだけは確かだ。
たった1つの勝利を胸に、オレはサガの名を呼んだ。
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今日もぱちぱち有難う御座います!元気の素です(^▽^)
たとえそれが女神の前に敗れて失敗に終わったとしても、それはそれでカノンは幸せになれると思うのですよね。状況的には周囲も本人たちも不幸ですが、カノンはきっと満たされるに違いない。
そんなわけで「もしも」な双子反逆妄想。
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13年間の権力は、本物の女神の帰還により、あっけなく崩れ去った。
力による聖域支配は完璧だったと思う。何せオレとサガが揃っていたのだから。女神とその配下の青銅どもの強さが反則的すぎるのだ。市井に育っても神は神ということか。しかも常勝の女神だ。どうしてその強さを13年前に見せなかったのだ。
教皇宮は火に包まれている。フェニックスとの戦いの時に揮われた炎が、垂幕にでも飛び火したのだろう。あんな小僧に負けたのは納得がいかないが、それも正義の小宇宙と女神の加護とやらの差なのかもしれない。
けふ、と血を吐いてオレは倒れたまま天井を見上げた。黒い煙が壁を伝って上へ昇っていく。パチパチと何かの爆ぜる音がする。おそらく、この部屋も長くない。
「カノン」
ふいに涼風のような、この場に相応しくない柔らかな声がした。
何とか首を捻って横を見れば、重厚な教皇の法衣を身に纏ったままのサガが、オレを見下ろしている。
「女神は本当は強いのだな」
そう言いながらも、浮かぶ表情に悔しさはさほど見られない。おっとりと微笑む姿は昔のままで、女神よりもよほど神様のようだとオレは思う。
「…何を…している、逃げろ」
オレはもう助からない。だがサガは。
双子座がその名のとおり双子であると知るものは聖域にいない。密かに入れ替わる事によって、オレ達はこの聖域を表と裏から掌握してきたのだ。オレが反逆者ジェミニとして死ねば、少なくともサガは追われない。永久に聖域から自由になれるはずだ。
サガは屈み込むとオレの手を握った。
「わたしたちは、ずっと一緒だろう?」
その瞬間にオレを包んだ幸福と、生まれて初めての後悔は、どちらが大きかったのか。
光の道を歩んでいたサガを、オレは強引に闇へと引きずり込んだ。悪を囁き、誘惑し、あらゆる手段を使って振り向かせた。二人でシオンを殺し、アイオロスを排除し、そして…
そして聖闘士としてのサガは13年前に死んだ。
これで良かったのだろうか。
サガには別の道があったのではないだろうか。
オレがサガと二人で征く道は、他になかったのか。
「カノン、わたしは後悔していない」
心を読んだかのように、サガが笑う。サガが笑うほどに胸が痛む。
この痛みは天罰なのか。女神よ。
柱が崩れ、火の粉が互いの身体へかかる。サガの法衣も燃え始めた。炎に長い髪をまかせているサガは、この上もなく美しかった。
オレはサガの手を握り返した。何であれ、たとえ神であろうと、繋いだこの手を解くことは出来ないのだ。それだけは確かだ。
たった1つの勝利を胸に、オレはサガの名を呼んだ。
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今日もぱちぱち有難う御座います!元気の素です(^▽^)