星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
ハッピーバースデーシュラ!
以下シュラのいないシュラ誕SS。黒サガとアイオロスで。
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朝早くから人馬宮を訪れた黒サガを、アイオロスは目を丸くして迎えた。
「おはようサガ。上宮への通り抜けかな?君がここへ立ち寄るなんて随分と珍しいが」
もうひとりのサガはともかく、こちらのサガはアイオロスに対して友好的であるとはお世辞にも言えない。声が掛かるのは人馬宮の通行許可を求める時くらいで、それすらも小宇宙で合図が送られてくる程度なのだ。
もっとも黒サガが友好的である相手など数えるほどしかおらず、その数少ない相手の一人が隣宮の主・山羊座のシュラだった。それゆえ、双子座の小宇宙の近付きを感じた時には、いつものようにさっさと麿羯宮へ向かってしまうものだとばかり思ったのだ。
しかし黒サガは、多少顔をしかめつつも、はっきりとアイオロスに用があるのだと告げた。
「今からわたしに付き合って貰いたい」
ますますアイオロスは目を丸くした。何かの幻覚であれば看破してやろうと小宇宙を高めたほどだ。
「それは構わないが、一体どうして?」
「…シュラへ何かを贈りたいのだが、貴様はもう用意済みか」
「いや、昼のうちに街へ下りて見繕おうかと思っていたんだ」
「ならばますます都合よい。二人で金を出し合えば、それなりに見栄えのする品に手が届く」
今日はシュラの誕生日だ。つまりこのサガは、シュラへのプレゼントを一緒に買わないかとアイオロスへ申し出ているのだ。
予想外の態度をとられてすっかり面食らっているアイオロスを横目に、黒サガの方は溜息をついている。
「貴様とわたしとで見繕うのならば、エリシオンの宝物殿に押し入って、神具や宝具の1つや2つ手に入れることも可能かと思うのだが、奴は日常的な品が良いと言うのだ」
「そうだね、レジェンドレベルのお宝貰ってもシュラも困ると思うよ。というかその手段は単なる押し込み強盗だよ」
「しかし、日常的なものと言われても想像もつかぬ。13年間に貢物として寄越された宝飾や絵画の類ならば、アテナ神殿の倉庫に放り込んであるのだが…」
真剣に悩んでいるらしき様子を見て、アイオロスはふうんと内心で頷いた。確かにこのサガにとって、一体何が「普通の品」であるかというのは、判断に困る要望なのかもしれない。
(俺に頼るほどの状況だったってことかな)
それならそれで、親交を深めるよい機会だ。アイオロスは二つ返事でサガの申し出を受け入れた。
街へ出かけた二人は、主にアイオロスの先導により各種専門店を覗いて周った。いわく時計ブランド、靴屋、スポーツショップ、皮製品店。シュラの部屋は簡素なため、インテリアの店にまで足を運んだ。
黒サガの基準で選ぼうとすると、趣味は良いものの高価すぎることが多く、アイオロスが選ぶと日常品というよりも微妙に消耗品の類になってしまい、価値観のすりあわせは結構骨の折れる作業である。
何だかんだで夕方までに二人が揃えたのは防寒具…品質の高さに定評のある老舗服飾ブランドのマフラーと皮手袋だった。丈夫さと機能性を兼ね備え、色合いもシュラの黒髪にあわせた配色だ。
戦闘ならば千日かかろうと歯牙にもかけぬ二人だが、買い物のための店巡りにはぐったりしていた。聖域へ戻る前に休憩をとるため、二人はカフェへとなだれ込み、どかりと椅子へ腰をおろす。
「…購入もせぬのにウィンドーショッピングなどと称して店めぐりをしている女どもは、何の修行をしているのだ…」
「アテナなど身の回りはフルオーダーメイドで揃えられるというのに、わざわざ何時間もバーゲンとやらにお出かけになったらしいよ」
「正気の沙汰ではないな」
シュラのためでなければ、二人ともこれほど真剣に買い物をしたりしないだろう。
アイオロスはカフェラテを、サガは珈琲をそれぞれ頼み、ようやく人心地付く。
「あとはこれを二人でシュラに届けるだけだ」
勅命を終えたかのように黒サガが呟いたので、アイオロスは片肘をついて彼の顔を見た。
「なあ、今日は一体どういう風の吹き回しなのだ?」
考えてみればプレゼントの品選びなど、自分に頼らずともアフロディーテやデスマスクに尋ねる方が適任だろう。わざわざ仇敵(アイオロス側は両サガのことをそんな風には思っていないが)と一緒に外出しようと誘う意図が読めない。
黒サガはアイオロスを強く睨み返しかけ、ふと途中でその目の鋭さを弱めた。珍しく彼の方から視線を外してぼそりと呟く。
「お前とわたしが仲良くすれば、シュラも安心するだろう」
ああ、と今度こそアイオロスは得心した。
(1番の贈り物はそれなんだね)
なるほど、シュラにしてみれば、アイオロスと黒サガが過去のしがらみを捨て、手を取り合い協力する姿に喜びと安堵を覚えるだろう。品物の方はオマケなのだ。わざわざ黒サガがアイオロスと一緒に出かけて一緒に選んだ…という事実が大切なのだ。
思わず微笑んだアイオロスの心を読んだかのように、黒サガが「今日だけだ」とにべもなく言い捨てる。
しかし、アイオロスは笑みを浮かべたままだ。
「どうせなら来年もしないか?それに、お芝居だったとしても俺は楽しかったんだけど、サガは?」
「……」
ちょうどそのときウェイターが珈琲をサガの目の前に置いた。黒サガは黙ったままカップに口をつける。否定のないその無言を、アイオロスは質問への肯定とみなす事にした。
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急遽今日は肉体労働要員として姉妹ホテルへ日帰り出張となっておりました。き、筋肉痛が…明日も同じ仕事のために早朝出勤なので今日は寝させてください。拍手返信は明日夜こそ…(ぺこぺこ)いま字を打ちながらもう寝そうなのです(>△<)物凄い常日頃の運動不足を感じております。
あとサーバーメンテが2時~4時頃まであるモヨウです
以下シュラのいないシュラ誕SS。黒サガとアイオロスで。
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朝早くから人馬宮を訪れた黒サガを、アイオロスは目を丸くして迎えた。
「おはようサガ。上宮への通り抜けかな?君がここへ立ち寄るなんて随分と珍しいが」
もうひとりのサガはともかく、こちらのサガはアイオロスに対して友好的であるとはお世辞にも言えない。声が掛かるのは人馬宮の通行許可を求める時くらいで、それすらも小宇宙で合図が送られてくる程度なのだ。
もっとも黒サガが友好的である相手など数えるほどしかおらず、その数少ない相手の一人が隣宮の主・山羊座のシュラだった。それゆえ、双子座の小宇宙の近付きを感じた時には、いつものようにさっさと麿羯宮へ向かってしまうものだとばかり思ったのだ。
しかし黒サガは、多少顔をしかめつつも、はっきりとアイオロスに用があるのだと告げた。
「今からわたしに付き合って貰いたい」
ますますアイオロスは目を丸くした。何かの幻覚であれば看破してやろうと小宇宙を高めたほどだ。
「それは構わないが、一体どうして?」
「…シュラへ何かを贈りたいのだが、貴様はもう用意済みか」
「いや、昼のうちに街へ下りて見繕おうかと思っていたんだ」
「ならばますます都合よい。二人で金を出し合えば、それなりに見栄えのする品に手が届く」
今日はシュラの誕生日だ。つまりこのサガは、シュラへのプレゼントを一緒に買わないかとアイオロスへ申し出ているのだ。
予想外の態度をとられてすっかり面食らっているアイオロスを横目に、黒サガの方は溜息をついている。
「貴様とわたしとで見繕うのならば、エリシオンの宝物殿に押し入って、神具や宝具の1つや2つ手に入れることも可能かと思うのだが、奴は日常的な品が良いと言うのだ」
「そうだね、レジェンドレベルのお宝貰ってもシュラも困ると思うよ。というかその手段は単なる押し込み強盗だよ」
「しかし、日常的なものと言われても想像もつかぬ。13年間に貢物として寄越された宝飾や絵画の類ならば、アテナ神殿の倉庫に放り込んであるのだが…」
真剣に悩んでいるらしき様子を見て、アイオロスはふうんと内心で頷いた。確かにこのサガにとって、一体何が「普通の品」であるかというのは、判断に困る要望なのかもしれない。
(俺に頼るほどの状況だったってことかな)
それならそれで、親交を深めるよい機会だ。アイオロスは二つ返事でサガの申し出を受け入れた。
街へ出かけた二人は、主にアイオロスの先導により各種専門店を覗いて周った。いわく時計ブランド、靴屋、スポーツショップ、皮製品店。シュラの部屋は簡素なため、インテリアの店にまで足を運んだ。
黒サガの基準で選ぼうとすると、趣味は良いものの高価すぎることが多く、アイオロスが選ぶと日常品というよりも微妙に消耗品の類になってしまい、価値観のすりあわせは結構骨の折れる作業である。
何だかんだで夕方までに二人が揃えたのは防寒具…品質の高さに定評のある老舗服飾ブランドのマフラーと皮手袋だった。丈夫さと機能性を兼ね備え、色合いもシュラの黒髪にあわせた配色だ。
戦闘ならば千日かかろうと歯牙にもかけぬ二人だが、買い物のための店巡りにはぐったりしていた。聖域へ戻る前に休憩をとるため、二人はカフェへとなだれ込み、どかりと椅子へ腰をおろす。
「…購入もせぬのにウィンドーショッピングなどと称して店めぐりをしている女どもは、何の修行をしているのだ…」
「アテナなど身の回りはフルオーダーメイドで揃えられるというのに、わざわざ何時間もバーゲンとやらにお出かけになったらしいよ」
「正気の沙汰ではないな」
シュラのためでなければ、二人ともこれほど真剣に買い物をしたりしないだろう。
アイオロスはカフェラテを、サガは珈琲をそれぞれ頼み、ようやく人心地付く。
「あとはこれを二人でシュラに届けるだけだ」
勅命を終えたかのように黒サガが呟いたので、アイオロスは片肘をついて彼の顔を見た。
「なあ、今日は一体どういう風の吹き回しなのだ?」
考えてみればプレゼントの品選びなど、自分に頼らずともアフロディーテやデスマスクに尋ねる方が適任だろう。わざわざ仇敵(アイオロス側は両サガのことをそんな風には思っていないが)と一緒に外出しようと誘う意図が読めない。
黒サガはアイオロスを強く睨み返しかけ、ふと途中でその目の鋭さを弱めた。珍しく彼の方から視線を外してぼそりと呟く。
「お前とわたしが仲良くすれば、シュラも安心するだろう」
ああ、と今度こそアイオロスは得心した。
(1番の贈り物はそれなんだね)
なるほど、シュラにしてみれば、アイオロスと黒サガが過去のしがらみを捨て、手を取り合い協力する姿に喜びと安堵を覚えるだろう。品物の方はオマケなのだ。わざわざ黒サガがアイオロスと一緒に出かけて一緒に選んだ…という事実が大切なのだ。
思わず微笑んだアイオロスの心を読んだかのように、黒サガが「今日だけだ」とにべもなく言い捨てる。
しかし、アイオロスは笑みを浮かべたままだ。
「どうせなら来年もしないか?それに、お芝居だったとしても俺は楽しかったんだけど、サガは?」
「……」
ちょうどそのときウェイターが珈琲をサガの目の前に置いた。黒サガは黙ったままカップに口をつける。否定のないその無言を、アイオロスは質問への肯定とみなす事にした。
============================
急遽今日は肉体労働要員として姉妹ホテルへ日帰り出張となっておりました。き、筋肉痛が…明日も同じ仕事のために早朝出勤なので今日は寝させてください。拍手返信は明日夜こそ…(ぺこぺこ)いま字を打ちながらもう寝そうなのです(>△<)物凄い常日頃の運動不足を感じております。
あとサーバーメンテが2時~4時頃まであるモヨウです