ようやくハーデス編DVD後章の1・2巻を見ました。
一輝にやられて地面に埋まってるアイコの格好が忘れられません。
どういうポーズなんだあれは(笑)可愛いなあアイコ。
神以外には絶望しか与えないという嘆きの壁のことわりも、黄金聖闘士12人が命をかけることによって崩す事が出来るというアレは、原作で判っていても燃えますね。あの瞬間、黄金聖闘士も人を超えて神と同じ位置に立っていると思いますよ。3巻早く見たいなあ。
あとはバレンタインが男らしい!丁寧語萌え!…は。バレンタインで思い出しました。今日はホワイトデーですよ。聖域にそんな風習なくても勝手に作るお約束。だって現世の女神は日本人として育ってるから!
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バレンタインに山のような贈り物を受けた双児宮の双子は、そのお礼を返すのに四苦八苦しておりました。贈る方は二人分用意すればいいだけですが、サガとカノンはなまじモテるだけに、何十人に返していいのか判らない状態なのです。
また、お返しの対象の広さが二人を悩ませました。
サガは老若男女とわず親愛の対象となっているため、村のお年寄りによる感謝の花束から、無邪気な子供によるキャンデーボックスにいたるまで、ほぼオールジャンルの人間から満遍なくプレゼントを受け取っています。
カノンは人外にまでモテるため、海神から翼竜、はては魚(人魚姫含む)まで物を寄越しています。
お返し相手には、女神など目上の存在も含まれるため、とても一括で適当にマシュマロでも買って返せばいいかという状況ではないのです。
そういった他人との交流行事に慣れていないサガとカノンは、お返しリストを作らねばならないと考えただけでぐったりしておりました。誰にどれくらいのものを返して良いのかも、サッパリ判らないのです。皆からのプレゼントがとても嬉しかっただけに、お返しはきちんとしたいと気ばかりが焦ります。
「カノン…お前なら、こういう世俗の風習に関して詳しいだろう」
「冗談いうな。オレは他人に物を贈ったり贈られたりしたことなどない。サガ、お前こそ教皇してたんだろう?組織のトップなんて、物品贈与が日常茶飯事の世界なんじゃないのか」
「教皇は贈っておけと命じるだけで、そういう些事を実際にこなすのは下位の事務官たちなのだ」
「チッ…使えない元教皇だな…」
「お前に言われたくは無い。お前こそ海界では筆頭海将軍をしていたのだろう。金品を受けたり、それへの礼品を返す機会はなかったのか」
「あー…そういや、そういうのはテティスなんかに任せてたな」
「テティス?」
「海界の人魚姫さ。そういう組織の総務的な切り盛りをさせたら、右に出るものはないぜ」
「ほう…有能な配下がいるのだな…それは…」
サガが何かを言いかけて口篭りました。カノンが怪訝そうに兄を見て先を促します。
「何だよ、言いかけたら最後まで言えよ、気持ち悪いな」
「いやその…私が言うのは少々躊躇われるものが…」
「だから、何だよ」
弟に急かされて、サガはぼそりと言いました。
「その者に…この作業を手伝って貰えまいか」
サガのアイデアに、カノンは顔を輝かせました。しかもテティスは女性で、こういったイベントには詳しそうです。
「おお!融通の利かないサガにしちゃ、いい案じゃないか。さっそくオレの権限で呼びつけよう」
「ま、まて!海将軍筆頭として呼びつけるのは公私混同だ。個人的に頼んでくれ!」
「…そんな建前並べたって、頼むのは同じだろうに」
「私の中では全く異なるのだ」
「はいはい」
テティスもバレンタインには贈り物をしてくれています。
その本人に自分のお返しを選ばせるという事に関しては、気にしないところが双子らしいと言えましょう。いえ、サガの方はちょっぴり気にしていたのですが、フォローは彼女の上司であるカノンがするだろうと、図々しく自分を納得させて誤魔化しました。それくらい困っていたとも言えますが、聖戦後はいくぶん図太くなっているサガでした。
もっとも、呼びつけられたテティスの方も魚だけあって、そういった機敏のなさは全く気にしませんでした。それどころかカノンに『お前は特別に、金額を気にせず好きなものを3つ選んでいい』と言われて大喜びです。
人魚姫は手際よくリストを作ると、相手の立場や親密度その他を考慮しつつ品物購入の手配を行い、カードまで付けて各方面へ届けられるよう処理しました。サガは来年のために、きちんとその手順と内容を記憶に叩き込みましたし、カノンは来年以降はこの作業を兄に押し付ける決意を固めています。
見る間に片付いていく様子を見て、双子は胸をなでおろしました。
ひととおり終わった頃合を見計らい、二人はテティスに感謝して心より礼を述べました。
「助かったぞテティス。海界から呼び出してすまなかったな」
「私たちに力を貸してくれてありがとう。君のお陰で全て片付いたよ」
そんな二人をみて、テティスはにこりと笑いました。
「全てではありません。お二人の分は処理をしておりませんので」
言われて双子は顔を見合わせました。そういえば、サガもカノンもお互いへのお返しをまだ用意していません。
サガがぼそぼそ照れたようにカノンに尋ねます。
「人魚姫を海界に送りがてら…どこか二人で食事にでも行くか?」
カノンもテティスの手前、ぶっきらぼうに答えました。
「あ、ああ。そうだな。どこか美味い店があれば良いのだが」
「私は、聖域外にはあまり詳しくなく…」
そんな二人の前へ、テティスはアテネ市内グルメマップを差し出します。
「私は一人で戻れますのでお気遣いなさらずに。お返しに頂いた服とティアラとお徳用釣り餌サイマキ一袋、ありがとうございました」
仕事においては可愛くて有能なOL系テティスは、アフターケアまで万全なのでした。
テティスが魚である事を知らぬサガは、サイマキというのが何であるかさっぱりわかりませんでしたが、改めて感謝の礼を述べ、カノンと共に暖かな夜を過ごしたのでした。
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…また並行世界のごとく、多バージョン並べ立てたいココロ。