18歳復活ロスサガ
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「サガ!」
星矢が元気よく双児宮へ飛び込んでくる。
紅茶を飲んでいたサガは、ゆったりとした動作でカップをテーブルへと置いた。
「どうしたのだ、星矢?」
年の離れた後輩へ穏やかなまなざしを向けると、星矢は子犬のようにサガの元へと駆け寄ってきた。
「12月1日は俺の誕生日なんだ」
「ああ、知っているよ」
サガは正規の聖闘士の出身地や経歴その他を全て把握していた。聖闘士の修行に来る者たちは幼い頃から身寄りの無い者も多いため、正確な誕生日を知らぬことも珍しくはない。そんな中で生まれ日の判明している幸福な一群について、人間演算機なサガが失念するわけがなかった。
星矢がニコニコと続ける。
「俺、誕生日は最初にサガの顔をみたいんだけど」
さらりと凄いことを言ってのけるこの性格は、確実に城戸光政の血を引いていることを思わせる。
サガが返事をする前に、横から穏やかな声が割って入った。アイオロスだ。
「夜中に来るのはいいが、多分私も一緒だぞ」
双児宮でサガと共にティータイムを楽しんでいたアイオロスを見て、星矢は改めて挨拶をする。
「アイオロスもこんちは。そうなの?アイオロスが何で夜中にサガと一緒にいるんだ?」
サガも首をかしげて隣のアイオロスを見る。
「私もそれは初耳だが。お前は自分の誕生日のあとに此処へ居座るつもりか?」
「ああ」
「『ああ』ではなかろう。そういうことは家主の私に許可をとってから言え」
「サガに事前許可を求めると、いろいろ申請が下りなさそうだし」
言ってから、チュとサガの頬に口付ける。
「こういうのだって、事前に聞いたら許可してくれないだろう?」
サガが笑顔をひきつらせたまま固まった。
星矢も目を丸くしていたが、子供のたくましさと鈍感さでアイオロスのけん制を受け流す。
「そっか、アイオロスも誕生日が近いもんな!きっと沙織さんが誕生会の準備をしてくれるだろうし、一緒に祝おうよ」
「ああ、そうだな」
「アイオロスの誕生日の31日は譲るけど、翌日の1日は俺もサガとデートしたい!」
「簡単にいうなあお前は」
まだ深い意味を持たずに主張する少年に対して、アイオロスは苦笑しながらも大人の余裕を見せる。
だが、そんな余裕も、硬直していたサガが復活してアイオロスの頬をつねるまでのわずかな時間のことなのだった。
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朝の短い時間にSSS。帰宅してこっそり推敲訂正するかもです(><;)