星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
「お前は意外と出不精だよな」
カノンが見下ろした先には、ソファーへ仰向けに寝転がり、科学雑誌に目を通している黒サガがいた。
黒サガは、なんだという目で睨み返してくる。
「なにか問題か?」
「いや、せっかくの休みなのだからたまにはどこかへ出かけてはどうだ」
ただでさえ13年間、教皇宮に引きこもっていたのだ。村へ慰問に出かけるのも光を司る方のサガであり、こちらのサガは直接外部へ出たことなどほとんど無いはずだ。
「どこで休暇を取ろうと、わたしの勝手だ」
しかしサガはそう答えると、また雑誌に目を戻してしまった。
「そんな本なんて、いつでも読めるだろう」
口にしてから、まるで昔のサガのような物言いをしているとカノンは思った。13年以上のむかし、双児宮でごろごろしているときなどによく言われたもので、しかもそれに対して『何をしようがオレの勝手だ、好きなようにさせろ』などと思っていたはずなのだが、立場が変わるとあの頃のサガの気持ちがよくわかる。
多分あの頃のサガは、自分が宮に居るときくらい、顔を隠すことなく自由に外で楽しんでくればいいという気持ちでそう言ってくれていたに違いない。
相手の立場になってみないと、類推は出来ても実際に理解はできないものなのだなあなどと今更ながら思っていると、目の前のサガが雑誌を投げつけてきた。
「わたしがこの宮に居ては邪魔ということか?」
宙を飛んできた雑誌をパシリと受け取り、ああ、この反応にも覚えがあるとカノンは顔を抑えた。サガが自分を外へ出そうとするのは、自分の存在が邪魔だからではないかとヤサグレたこともしばしばあった。
屈みこんでソファーのサガと視線の高さを合わせる。
「そんな風に思ったことは1度もないぞ、サガ。ただ、こんなに天気が良い休日だというのに、家に篭る気なのかと思ってな。お前がインドア派というのであれば、邪魔をする気はないが」
するとサガは呆れたように言い放った。
「わたしは望めばどこへでも一瞬で行くことができる。異次元であろうとだ。いつでも出来る外出よりも、誰かと同じ時間を過ごすことのほうが貴重ではないのか」
「まあ、そりゃそうだが…え?」
カノンは目を丸くする。いまのは、まるでサガが自分と一緒に過ごすために家にいると言ったかのようではないか。
「言ったかのよう、ではなく、まさにそう言ったのだ」
サガが勝手に思考を読んでダメ押しをしてくる。カノンは口をぱくぱくとさせた。
そうだ、かつて自分がサガに外出を勧められたとき反発したのも、サガと一緒に過ごしたいという気持ちを理解してもらえなかったことへの怒りではなかったか。
「え、じゃあオレと過ごすために家にいるわけか?」
「くどい」
サガはカノンの手から雑誌を取り上げ、またそれを開こうとしている。
カノンは再びその雑誌を取り上げ返した。
「なあサガ、それならオレと一緒に出かけよう。それなら一緒に過ごせて、かつ外出ができるだろ」
今度はサガが目を丸くしている。
「そうだ、この雑誌の表紙になってるウユニ塩湖とかどうだ?いま流行りだぞ」
「流行に興味はないが…お前が行きたいのなら」
肩に流れる黒髪をはらいながらサガが立ち上がる。もしかしたら白い方のサガよりもこちらの兄のほうが扱いやすいのかもしれないとカノンは思う。
「聞こえているぞ」
また勝手に思考を読んだサガが、眉間に皺をつくっているが、ここで怒っていいのは勝手に思考を読まれている自分の方だと、カノンはサガの頬をつねった。
黒のサガは押し黙りながら、共に異次元移動するため手をさし出す。
カノンも静かにその手へ自分の手を重ねた。
カノンが見下ろした先には、ソファーへ仰向けに寝転がり、科学雑誌に目を通している黒サガがいた。
黒サガは、なんだという目で睨み返してくる。
「なにか問題か?」
「いや、せっかくの休みなのだからたまにはどこかへ出かけてはどうだ」
ただでさえ13年間、教皇宮に引きこもっていたのだ。村へ慰問に出かけるのも光を司る方のサガであり、こちらのサガは直接外部へ出たことなどほとんど無いはずだ。
「どこで休暇を取ろうと、わたしの勝手だ」
しかしサガはそう答えると、また雑誌に目を戻してしまった。
「そんな本なんて、いつでも読めるだろう」
口にしてから、まるで昔のサガのような物言いをしているとカノンは思った。13年以上のむかし、双児宮でごろごろしているときなどによく言われたもので、しかもそれに対して『何をしようがオレの勝手だ、好きなようにさせろ』などと思っていたはずなのだが、立場が変わるとあの頃のサガの気持ちがよくわかる。
多分あの頃のサガは、自分が宮に居るときくらい、顔を隠すことなく自由に外で楽しんでくればいいという気持ちでそう言ってくれていたに違いない。
相手の立場になってみないと、類推は出来ても実際に理解はできないものなのだなあなどと今更ながら思っていると、目の前のサガが雑誌を投げつけてきた。
「わたしがこの宮に居ては邪魔ということか?」
宙を飛んできた雑誌をパシリと受け取り、ああ、この反応にも覚えがあるとカノンは顔を抑えた。サガが自分を外へ出そうとするのは、自分の存在が邪魔だからではないかとヤサグレたこともしばしばあった。
屈みこんでソファーのサガと視線の高さを合わせる。
「そんな風に思ったことは1度もないぞ、サガ。ただ、こんなに天気が良い休日だというのに、家に篭る気なのかと思ってな。お前がインドア派というのであれば、邪魔をする気はないが」
するとサガは呆れたように言い放った。
「わたしは望めばどこへでも一瞬で行くことができる。異次元であろうとだ。いつでも出来る外出よりも、誰かと同じ時間を過ごすことのほうが貴重ではないのか」
「まあ、そりゃそうだが…え?」
カノンは目を丸くする。いまのは、まるでサガが自分と一緒に過ごすために家にいると言ったかのようではないか。
「言ったかのよう、ではなく、まさにそう言ったのだ」
サガが勝手に思考を読んでダメ押しをしてくる。カノンは口をぱくぱくとさせた。
そうだ、かつて自分がサガに外出を勧められたとき反発したのも、サガと一緒に過ごしたいという気持ちを理解してもらえなかったことへの怒りではなかったか。
「え、じゃあオレと過ごすために家にいるわけか?」
「くどい」
サガはカノンの手から雑誌を取り上げ、またそれを開こうとしている。
カノンは再びその雑誌を取り上げ返した。
「なあサガ、それならオレと一緒に出かけよう。それなら一緒に過ごせて、かつ外出ができるだろ」
今度はサガが目を丸くしている。
「そうだ、この雑誌の表紙になってるウユニ塩湖とかどうだ?いま流行りだぞ」
「流行に興味はないが…お前が行きたいのなら」
肩に流れる黒髪をはらいながらサガが立ち上がる。もしかしたら白い方のサガよりもこちらの兄のほうが扱いやすいのかもしれないとカノンは思う。
「聞こえているぞ」
また勝手に思考を読んだサガが、眉間に皺をつくっているが、ここで怒っていいのは勝手に思考を読まれている自分の方だと、カノンはサガの頬をつねった。
黒のサガは押し黙りながら、共に異次元移動するため手をさし出す。
カノンも静かにその手へ自分の手を重ねた。