星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
サガが花を持って帰って来た。
雑兵から贈られたのだという。数本だけの小さな束で、売り物には見えない。
いつもアフロディーテが寄越す薔薇と比べると、かなり見劣りがする。
雑兵は私用で街へ降りることなど叶わぬので、花屋から買い求めることが出来ず、聖域のどこかから探して摘んだものだろう。
そんなもの雑草と大差ない気がするのだが、サガは大切そうにそれをグラスへ挿した。
「そんな花を貰って嬉しいものか?」
何気なく尋ねると、はっきり「ああ」と肯定された。
「贈り物なんぞ貰い慣れてるだろうに」
「確かに差し入れなどは良くいただくが、慣れてもいないし、これはそういうものではない。わたしを好きだという者が、わたしのために摘んでくれた花なのだ」
思わず口がぽかんと開く。誰が何を好きだって?
「まるで告白でもされたような言い回しじゃないか、サガ」
「まるでではなく、されたのだ」
今度こそあごが外れるかと思った。
「え?雑兵って女?」
「いいや、マスクをつけていなかった」
「では男だよな。それで嬉しいって、まさかOKしたのか」
慌てて尋ねると、サガはおかしそうに笑った。
「丁重にお断りした。わたしは蘇生こそ許されているが、色恋にうつつを抜かすような立場にはないゆえ」
そういえばサガは、相手の年齢だの容姿だの性別だのに頓着するような性格ではなかった。恐ろしいほどの精神重視タイプなのである。
「だがサガ、おまえは告白されるのなんぞ日常茶飯事だろう」
「…嫌味かカノン。街で遊んでいたお前にはそのような経験も多いのだろうが、わたしには縁のない話だった」
「え…ウソだよな?」
「このようなことで、偽ってどうする」
サガを慕う人間は、身内びいきの色眼鏡を外しても大勢いた筈だ。
しかし、サガのいう事が本当だとするのならば、聖戦前という時期がら教皇候補に対しての遠慮が働いたのかもしれないし、そもそも高嶺の花と諦めたのかもしれない。
教皇を僭称していた時代は、流石にそのような者はいないだろう。
サガの視線は、手元の花へと向けられている。
「わたしのような罪人に、しかも同性に好意を打ち明けるなど、どれほどの勇気を必要としただろうか。高価な贈り物をする手段もない彼は、せめてもの気持ちにと、2月の山野に花を探したのだ。わたしには勿体ないような好意だ」
兄の報告による衝撃がおさまってくると、しだいに腹が立ってくる。
「告白されて浮きたっているのか。軟派なことだな」
「浮き立って悪いか。初めてわたしを愛してくれるという者が現れたのに」
「な…」
なんだよそれ、と言いそうになった言葉を何とか喉奥へ押し込める。
脳裏に『アテナの小宇宙に触れて初めて愛を知った』などと告げた己の言葉を思い出したからだ。
オレは女神によって愛を知ったが、同時にその言葉によって、それまで向けられていたであろうサガの愛情をまるで受け取めていなかったと白状したも同然だった。
慈愛と恋愛というジャンルの違いはあれど、オレ以上に鈍感なこいつは何も見えていないに違いない。
それにしても、おまえを愛してる人間なんて沢山いるのに、そんな花を差し出されただけで、おまえの目はその花のみに向けられてしまうのか。
何もしてこなかった連中の気持ちがどうなろうが知ったことではないが、何故だか非常に腹が立つ。
「羨ましいか?」
なのにサガが自慢げに脳天気極まりないことを言うので、手元にあったクッションを光速で顔面にぶつけてやった。
雑兵から贈られたのだという。数本だけの小さな束で、売り物には見えない。
いつもアフロディーテが寄越す薔薇と比べると、かなり見劣りがする。
雑兵は私用で街へ降りることなど叶わぬので、花屋から買い求めることが出来ず、聖域のどこかから探して摘んだものだろう。
そんなもの雑草と大差ない気がするのだが、サガは大切そうにそれをグラスへ挿した。
「そんな花を貰って嬉しいものか?」
何気なく尋ねると、はっきり「ああ」と肯定された。
「贈り物なんぞ貰い慣れてるだろうに」
「確かに差し入れなどは良くいただくが、慣れてもいないし、これはそういうものではない。わたしを好きだという者が、わたしのために摘んでくれた花なのだ」
思わず口がぽかんと開く。誰が何を好きだって?
「まるで告白でもされたような言い回しじゃないか、サガ」
「まるでではなく、されたのだ」
今度こそあごが外れるかと思った。
「え?雑兵って女?」
「いいや、マスクをつけていなかった」
「では男だよな。それで嬉しいって、まさかOKしたのか」
慌てて尋ねると、サガはおかしそうに笑った。
「丁重にお断りした。わたしは蘇生こそ許されているが、色恋にうつつを抜かすような立場にはないゆえ」
そういえばサガは、相手の年齢だの容姿だの性別だのに頓着するような性格ではなかった。恐ろしいほどの精神重視タイプなのである。
「だがサガ、おまえは告白されるのなんぞ日常茶飯事だろう」
「…嫌味かカノン。街で遊んでいたお前にはそのような経験も多いのだろうが、わたしには縁のない話だった」
「え…ウソだよな?」
「このようなことで、偽ってどうする」
サガを慕う人間は、身内びいきの色眼鏡を外しても大勢いた筈だ。
しかし、サガのいう事が本当だとするのならば、聖戦前という時期がら教皇候補に対しての遠慮が働いたのかもしれないし、そもそも高嶺の花と諦めたのかもしれない。
教皇を僭称していた時代は、流石にそのような者はいないだろう。
サガの視線は、手元の花へと向けられている。
「わたしのような罪人に、しかも同性に好意を打ち明けるなど、どれほどの勇気を必要としただろうか。高価な贈り物をする手段もない彼は、せめてもの気持ちにと、2月の山野に花を探したのだ。わたしには勿体ないような好意だ」
兄の報告による衝撃がおさまってくると、しだいに腹が立ってくる。
「告白されて浮きたっているのか。軟派なことだな」
「浮き立って悪いか。初めてわたしを愛してくれるという者が現れたのに」
「な…」
なんだよそれ、と言いそうになった言葉を何とか喉奥へ押し込める。
脳裏に『アテナの小宇宙に触れて初めて愛を知った』などと告げた己の言葉を思い出したからだ。
オレは女神によって愛を知ったが、同時にその言葉によって、それまで向けられていたであろうサガの愛情をまるで受け取めていなかったと白状したも同然だった。
慈愛と恋愛というジャンルの違いはあれど、オレ以上に鈍感なこいつは何も見えていないに違いない。
それにしても、おまえを愛してる人間なんて沢山いるのに、そんな花を差し出されただけで、おまえの目はその花のみに向けられてしまうのか。
何もしてこなかった連中の気持ちがどうなろうが知ったことではないが、何故だか非常に腹が立つ。
「羨ましいか?」
なのにサガが自慢げに脳天気極まりないことを言うので、手元にあったクッションを光速で顔面にぶつけてやった。