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カノンの策略によりシードラゴンの鱗衣を身にまとったサガは、程なくして意識を失いました。鱗衣を通してポセイドンがサガの小宇宙を封じ、海龍としての記憶を植えつけたからです。
難なくサガを海底神殿へ運んだカノンは、まずはポセイドンの元へ兄を連れて行きました。
ポセイドンはお気に入りの双子が自分の手元へ戻ってきたのでご機嫌です。さっそく歓迎の宴を開きます。
海の民もサガなら大歓迎です(海龍の兄参照)。カノンの兄がシードラゴンとして海神配下についてくれたのだと勘違いして喜びました。地上の人間と違って海の民はわりと純朴なのでした。
海界の環境は、水に親和性のあるサガにとって居心地の良い場所です。海の民は気性こそ荒っぽいところがありますが、陽気で信仰心厚く、何より親切でした。
サガはすっかり馴染んでしまい、自分も海の民の一員だとばかり思い込んでおりました。今日もカノンと仲良く海界の為に働いています。
双子&海界的には大層幸せだったのですが、自分の黄金聖闘士を取られた女神が黙っているわけがありません。まずサガに小宇宙で語りかけようとしたところ、ポセイドンの小宇宙にブロックされてしまいました。
サガの忠誠心から考えて、自分の意思でポセイドンの元へ行くわけが無いのです。さっそくポセイドンに抗議しました。
「ちょっと叔父様、どういうことかしら。教皇補佐を持っていかれると聖域としても困ります」
「ケチケチせずに貸し出せ。それにどう見ても聖域より海界の方がサガの精神状態には良い」
「それはそうなのですけれど…」
確かにサガがこの聖域に居ても、過去が重いだけです。サガ自身は決してそんな弱音を見せず、罪を償うと前を向いてひたすら働いてきました。けれども、辛くないわけが無いのです。
ここはポセイドンに貸しを作る形で、サガに精神休養をさせようと女神は妥協しました。
「わかりました。その代わりサガの様子見のため、定期的に黄金聖闘士を一人そちらに派遣します」
「カノンが居るではないか」
「ことサガの事に関すると、カノンは貴方の味方をするようですからね」
今度はポセイドンが妥協する番でした。
この話を聞いた黄金聖闘士たちが、一人どころか半数は押しかけて海界が迷惑したのはまた後の話。
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海界では、カノンはさらに行き過ぎた大人の兄弟愛発揮中。