毎度毎度アレな妄想ばかりですが、今回もサガが魔物な転生妄想!
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それは遠い神代のお話。
聖域の最奥、アテナ神殿の祭壇の前で、ニケの杖を片手に立つ女神は目の前に横たわる美しい青年を見下ろしていた。その胸元には小さな黄金の短剣が置かれている。
それは神殺しの力を持つ魔物アーレスの象徴であり、力の源。
「ようやく貴方を捕まえました」
アテナは呟く。
地上において同じ「戦い」を司りながら、理性と秩序でそれを実現する女神アテナと、狂気と混乱に拠る魔物アーレスは衝突する事が多く、何度も戦闘が繰り返されていた。
この代においてようやく女神がアーレスを制し、魂をその短剣に封じ込めたのだ。
普段のアーレスは、その本性にまるで似つかわしくない穏やかな青年の姿を見せる。
慈愛に満ちた貌は、争いごとになどまるで興味がないかのようだ。
そんな時のアーレスは、女神とも穏やかに言葉を交わした。
女神は彼が嫌いではなかった。
だが、戦場においてその姿は一変する。
艶やかな銀髪は漆黒へと変わり、目には飢えた血の色が浮かぶ。
神格とそれに相反する深淵を併せ持つ、純粋なる古代の力。
自身にすら制御できぬその二面性と、力への渇望が彼の本質だった。
狂気は時に暴走し、アーレス自身をも傷つける。
それを憂いたアテナは、彼を人として転生させることに決めた。
彼の魔性を長い年月で削り、光へと変えるために。
女神は双子座の聖闘士を呼んだ。膝をついてかしこまるジェミニへ、女神は屈みこんで目線を合わせる。
「お願いがあるのだけれど」
「は、何なりと」
「貴方に彼を預けます。ついでに聖衣を彼に貸してあげてもらえないかしら」
ジェミニは驚いたように女神を見つめ返した。
「俺…いや、私だけでアレを抑えろと言うのですか」
「双子座の善悪を制御する力を使い、彼の宿星に働きかけて、彼の本質を封じます。貴方には不安定になるであろう彼のフォローをして欲しいの」
「フォローといっても、何をして良いのか…」
戸惑っているジェミニへ、女神は悪戯っぽい目を向ける。女神はこの双子座の主がことのほかアーレスを気に入っているのを知っていた。
「やり方は貴方に任せるわ。とりあえず、彼に名前を付けてあげて?」
ジェミニは今度こそ驚いた。魔物から名を取り上げて新しい名を与える事は、彼を作り変え支配することに等しい。そんな事が可能なのだろうか。
それに、魔物とはいえアーレスの力は神にも等しいのだ。
聖衣で彼を拘束しきれるか不安でもある。
そんなジェミニの心を読んだかのように、女神はニコリと笑った。
「射手座にも手伝わせますから」
邪悪を射抜く力を持つ射手座の性格からして、たとえ魔物であっても、こんな風に相手の意思を無視して心を縛る事を好まないのではないかとジェミニは思ったが、女神には女神のお考えがあるのだろうと言葉を控えた。
ジェミニは立ち上がって横たわる魔物のそばに近寄った。
聖衣に命ずると、それは勝手に体から外れて魔物の身体を覆う。聖衣を通して女神の小宇宙が魔物を浸していく。
「…サガ」
名付けに反応するように、魔物がぼんやりと目を開けた。
その透き通った蒼い瞳の色を、ジェミニは決して忘れないだろうと思った。
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ネタはM様の拍手コメントより!M様、勝手に押し付けさせてくださ…
「カノンはサガのスタビライザー」「ロスはサガの正義増幅装置」…ホントにそうだといいですよね!同意しまくりです。「意外に真面目な黒さんも含めてサガは黄金聖衣でもって拘束してある人だといいな」に萌えまくってしまい、勝手に妄想を繰り広げさせて頂きました。”黄金聖衣で拘束”というだけでもいろんな妄想が沸きます。サガは何故こんなに拘束が似合う人なんでしょうか!エピG3巻の、魔の気配を持ちながら「私は己が誰なのかと探している」と泣く黒サガはキュート過ぎますよね。是非またM様の萌えをお分け下さい(ぺこり)嬉しい充足を有難うございました!
ほか、拍手を押して下さった大勢の皆様に厚く御礼申し上げます(^▽^)
ここでの皆様との交流が隠れオタの心の潤いです。