ロストキャンバス経由のシオンは、そりゃあもうヒュプノスやハーデスが憎いと思うんですよ。シオンの師のハクレイの悲願が二神の封印であるのならば、シオンの悲願はハーデスの打倒のはず。
でも、その憎いハーデスの走狗として十二宮を駆け抜けねばならない運命。どれだけ悔しさを抑えて童虎たちに拳を向けたかと考えると、まさに血の慟哭ですね。
そんなわけで、蘇生組のなかで一番悔しかったのはシオンだと思うのですが、そこで冷静に対応しているのが流石元教皇の貫禄です。演技男優なデスマスクとアフロもある意味余裕の冷静さですが(笑)。
えーと、そんな打倒!冥界軍なシオンですので、ラダマンティスと付き合うカノンや、タナトスにひっかかってるサガを見たら、小姑のごとくご立腹ですよ!とくに後者!
いきなり腐妄想話への転換すみません。
ラダマンティスに対してはその人柄を判ってくれば、戦士としてそれなりに認めても、タナトスに対してのサガの駄目っぷりは許容範囲外でしょうなと。
以下そんな駄目っぷり大爆発白サガSS
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夜半に双子を呼びつけたシオンは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「そなた達、冥界の者と付き合いがあるというのはまことか」
参じた双子が膝をついて、拝謁の姿勢を見せると同時に尋ねる。
双子は顔を見合わせた。
何を言われているのか全く理解していない顔で、サガは涼しく答えた。
「三界会議などで面識も増えましたので、交流もそれなりに御座います」
カノンが続けて婉曲に答えのはワザとだ。
「私は海将軍筆頭でもあり、各界との繋ぎを持つ必要がありますから」
シオンや童虎、そして女神の前では語調を整え『私』と称するカノンであった。
教皇はぎろりと二人を睨む。
「そういう意味ではない。おぬしらが個人的に持つ付き合いについてだ」
言外にラダマンティスとタナトスの事だと示唆する。
プライベートな話題を振られて、カノンはがらりと口調を変えた。
「聖域では個人の私生活にまで口を挟むのか?心配せずとも公私混同はしない」
「お前はそうだろうが、相手はどうなのだ。信用出来る相手なのか」
「さあな」
「さあな、ではない。何かあって痛い目を見るのはお主なのだぞ!」
口やかましいものの、シオンはシオンなりに二人のことを心配しているのだとわかり、カノンは苦笑した。
「いや、そういう事ならなおさら口出しは無用だ。何があろうとそれはオレの責任で、聖域に迷惑はかけない。それに、あいつ…ラダマンティスも公私のけじめはつける男だ」
翼竜の名が出たことで、隣にいたサガがようやく今の話題の方向性に気づく。
サガは首をかしげてシオンに伝えた。
「私は別に誰とも付き合っておりませんが…」
「サガよ。お主がよくタナトスを双児宮に呼び込んだり、冥界のエリシオンを訪れていることを儂が知らぬと思うているか」
はっきりと元敵神の名前を出されても、まだサガは良く判っていない顔をしている。
「確かに仰せの通りですが、それが何か…」
「貴様らが大人の関係を持っているのではないかと言っておるのだ!」
具体的に言わねばならなくなったシオンは、内心情けなさに涙した。
サガはどうも人心掌握や他人の気持ちを推し量ることは長けているのに、己に関しては鈍感なところがある。嫌な予感のとおり、まだサガは良く判っていない顔だ。
「それは、寝たことがあるかという事でしょうか」
「そのとおりじゃが、はっきりと申すな!聞きたくもないわ!よりにもよって、何故タナトスのような悪神と付き合っておるのだ」
「その、ですから付き合っておりませんが…」
「なんじゃと?」
「タナトスは基本的に人間など塵芥扱いです。私に対しても気の向いた時に呼びつけるだけで、付き合うなどという対等の関係ではないのです」
シオンは絶句したあと、つとめて冷静に、声を低めて尋ねた。
「つまり、お主は適当に遊ばれているのが判っていて、それに甘んじていると?」
サガは目をぱちくりさせ、少し考えて答えた。
「そう言われてみると、そうかもしれません」
「なお悪いわ!!!!」
「この愚兄が!!!!」
シオンとカノンが同時に叫んだ。
「な、何故カノンまで一緒になって怒るのだ」
「これが怒らずにいられるか馬鹿サガ!」
「私も公私混同するつもりなどないが…」
もぐもぐ弟へ返すサガの頭に、シオンの鉄拳が落ちた。
「もはやそのような問題ではない!黒い方のお前は何をやっておるのだ!もう少し片割れの私生活を監督せよと伝えろ!」
散々二人に怒られたサガだったが、説教の最後まで良く判っていなさそうな顔をしていたことから、二人の怒りの理由を把握していないことは明白だった。
かつて自ら死を選んだ白サガは死の神タナトスの影響を受けやすい。しかし、現状それだけが原因ではなかろうとシオンは頭を抱えた。
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