星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
アスぷの反旗半年前くらい。
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アスプロスがやってきて、デフテロスの隣へ座った。
それだけでなく、戯れるかのごとく、肩を寄せて寄りかかる。
実のところ、それは親愛によるものではなかった。例えるならば、獲物を捕まえんとする肉食獣の擬態だ。殺意をそっと消して近寄り、様子を探る捕獲行動と同種のものである
デフテロスは他者の悪意に敏感であり、通常であればいくら隠そうとしても通用するものではないのだが、ただひとりアスプロスに対してだけは、その勘が鈍るのだ。
「デフテロス、今日は節句だぞ」
「節句?なんだそれは」
「陰陽思想では奇数を陽として扱うが、陽が重なると陰に反転することから、同じ奇数の重なる月日を節句と呼び、災いを避けるためのまじないを行う。東洋の行事だ」
相変わらずアスプロスは勉強家で、その知識は東西を問わない。唐突とも思える語り掛けに、デフテロスは一瞬首をかしげたが、まだ続きがあるようなので、黙って耳を傾ける。
「ちなみに陰陽では陽を兄、陰を弟として表す。つまり兄(え)弟(と)だ」
「ふむ」
「これをこの世の五大元素、木・火・土・金・水に当てはめて、それぞれ陰陽にわけた物を十干という。木の兄(きのえ)木の弟(きのと)のようにな。干支(えと)は本来、このように陰陽を指す」
「そうなのか」
「世界のすべては陰と陽で成り立っている。なあ、デフテロス。その全てを俺とお前で手に入れてみないか」
「……は?」
「俺が陽でお前が陰。この世で最強の陰と陽が互いを補いあえば、世界を支配することも可能ではないだろうか」
「アスプロス!」
慌て気味ながら強めの声色には、抗議の意思が篭められている。
「兄さんは教皇を目指していたのではなかったのか」
アスプロスはその感情を受け止めながらも、引く様子は見せない。
「お前が俺を助けてくれるのなら、俺は教皇よりももっと上を目指せるだろう」
彼には目算があった。
(もし、聖域を敵にまわしても俺につくというのなら、昔のように信じても良い。しかし逆に俺を追い落とす好機とみて、断罪というかたちで殺そうとしてくるかもしれない。何故ならデフテロスにとって俺は障害物だから)
この頃になると、闇の一滴はかなり深くアスプロスを浸食していた。
デフテロスはといえば、慌てて周囲の気配を探り、互い以外のいかなる小宇宙も感じられないことに安堵している。
(双児宮内に守護者の許しなく誰かが侵入できるとは思えないが、女神や教皇セージの耳がないとも限らん。もしも今のアスプロスの言葉を誰かに聞かれていたら、教皇候補脱落では済まないだろう)
場合によっては反逆罪も適用されかねない内容だった。
自分のことなどどうでもいいが、アスプロスが失墜することなど耐えられない。
いつでも一人邁進している兄が、初めて『共に』と言ってくれたことは正直嬉しいし、置いて行かれる寂しさが和らいだ気もする。けれども、これはかつての約束とは違う道だとも思う。
ただ、デフテロスはそのような想いを口にすることはない。
「くだらぬ戯言はよせ」
「なんだ、助けてはくれないのか」
「当然だろう」
弟の拒否に、アスプロスは色をなすでもなく、にこりと笑った。
「そうか。お前は断ると思った」
まるで最初から弟の反応など判っているといった風情だ。
反逆を誘って断られたにしては呆気なさすぎるアスプロスの態度を、例えばアスミタであれば眉を顰めたに違いない。
けれども、デフテロスはほっとして息をついた。
アスプロスが己を信じてくれた上で試し、からかったに違いないと受け止めたのだ。
「お前の冗談は心臓に良くない」
「それは悪かった」
「だいいち、陰陽だの占星だのに従うとろくな事にならん」
「そうだったな」
アスプロスの笑顔は仮面めいていたが、デフテロスも兄への想いをおして語らないという意味では同じだった。
「節句のように陽の強すぎる日は、陰に触れていた方が厄除けになるという。だが陰陽に流されるなというのであれば、お前に触れる理由をオレはどうやってひねり出せばいいのだ?」
冗談めかして茶化す兄に、デフテロスからもそっと寄りかかる。
「節句にしか俺へ触れぬつもりか」
アスプロスは身をこわばらせたことを気取らせぬよう、意地のように身体を押し付けている。
猜疑心や盲信で塗りつぶされた心は、まるで交わっていない。
それでも、互いを繋ぐ何かは確かにあるのだった。
触れ合った箇所から、心の代わりに互いの体温が混じり合っていくのを、二人は黙って味わい続けた。
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いちゃいちゃさせるつもりが(>ω<)
聖戦後妄想ではこの分も存分にベタ甘で行こうと思います。
ところで今週のジャンプのニセコイネタをサガでやりたい。
サガが女神をデートに誘いたくて、女性であるシャイナさんから女性の扱いを習うことになり、「まずはレベルを見てやるから私をアテナだと思って誘ってみな」って言われたので、可愛く頬を染めながら「あ…あの、今度の日曜日良かったら…」って頑張ったのに、シャイナさんに蹴り飛ばされるパターン(・ω・)
サガは超恰好よくても超可愛くても矛盾のない不思議美青年だな!
今日もぱちぱち有難うございます!毎日の潤いです。
D様、ご返信は次回にさせて下さい\(^▽^)/
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アスプロスがやってきて、デフテロスの隣へ座った。
それだけでなく、戯れるかのごとく、肩を寄せて寄りかかる。
実のところ、それは親愛によるものではなかった。例えるならば、獲物を捕まえんとする肉食獣の擬態だ。殺意をそっと消して近寄り、様子を探る捕獲行動と同種のものである
デフテロスは他者の悪意に敏感であり、通常であればいくら隠そうとしても通用するものではないのだが、ただひとりアスプロスに対してだけは、その勘が鈍るのだ。
「デフテロス、今日は節句だぞ」
「節句?なんだそれは」
「陰陽思想では奇数を陽として扱うが、陽が重なると陰に反転することから、同じ奇数の重なる月日を節句と呼び、災いを避けるためのまじないを行う。東洋の行事だ」
相変わらずアスプロスは勉強家で、その知識は東西を問わない。唐突とも思える語り掛けに、デフテロスは一瞬首をかしげたが、まだ続きがあるようなので、黙って耳を傾ける。
「ちなみに陰陽では陽を兄、陰を弟として表す。つまり兄(え)弟(と)だ」
「ふむ」
「これをこの世の五大元素、木・火・土・金・水に当てはめて、それぞれ陰陽にわけた物を十干という。木の兄(きのえ)木の弟(きのと)のようにな。干支(えと)は本来、このように陰陽を指す」
「そうなのか」
「世界のすべては陰と陽で成り立っている。なあ、デフテロス。その全てを俺とお前で手に入れてみないか」
「……は?」
「俺が陽でお前が陰。この世で最強の陰と陽が互いを補いあえば、世界を支配することも可能ではないだろうか」
「アスプロス!」
慌て気味ながら強めの声色には、抗議の意思が篭められている。
「兄さんは教皇を目指していたのではなかったのか」
アスプロスはその感情を受け止めながらも、引く様子は見せない。
「お前が俺を助けてくれるのなら、俺は教皇よりももっと上を目指せるだろう」
彼には目算があった。
(もし、聖域を敵にまわしても俺につくというのなら、昔のように信じても良い。しかし逆に俺を追い落とす好機とみて、断罪というかたちで殺そうとしてくるかもしれない。何故ならデフテロスにとって俺は障害物だから)
この頃になると、闇の一滴はかなり深くアスプロスを浸食していた。
デフテロスはといえば、慌てて周囲の気配を探り、互い以外のいかなる小宇宙も感じられないことに安堵している。
(双児宮内に守護者の許しなく誰かが侵入できるとは思えないが、女神や教皇セージの耳がないとも限らん。もしも今のアスプロスの言葉を誰かに聞かれていたら、教皇候補脱落では済まないだろう)
場合によっては反逆罪も適用されかねない内容だった。
自分のことなどどうでもいいが、アスプロスが失墜することなど耐えられない。
いつでも一人邁進している兄が、初めて『共に』と言ってくれたことは正直嬉しいし、置いて行かれる寂しさが和らいだ気もする。けれども、これはかつての約束とは違う道だとも思う。
ただ、デフテロスはそのような想いを口にすることはない。
「くだらぬ戯言はよせ」
「なんだ、助けてはくれないのか」
「当然だろう」
弟の拒否に、アスプロスは色をなすでもなく、にこりと笑った。
「そうか。お前は断ると思った」
まるで最初から弟の反応など判っているといった風情だ。
反逆を誘って断られたにしては呆気なさすぎるアスプロスの態度を、例えばアスミタであれば眉を顰めたに違いない。
けれども、デフテロスはほっとして息をついた。
アスプロスが己を信じてくれた上で試し、からかったに違いないと受け止めたのだ。
「お前の冗談は心臓に良くない」
「それは悪かった」
「だいいち、陰陽だの占星だのに従うとろくな事にならん」
「そうだったな」
アスプロスの笑顔は仮面めいていたが、デフテロスも兄への想いをおして語らないという意味では同じだった。
「節句のように陽の強すぎる日は、陰に触れていた方が厄除けになるという。だが陰陽に流されるなというのであれば、お前に触れる理由をオレはどうやってひねり出せばいいのだ?」
冗談めかして茶化す兄に、デフテロスからもそっと寄りかかる。
「節句にしか俺へ触れぬつもりか」
アスプロスは身をこわばらせたことを気取らせぬよう、意地のように身体を押し付けている。
猜疑心や盲信で塗りつぶされた心は、まるで交わっていない。
それでも、互いを繋ぐ何かは確かにあるのだった。
触れ合った箇所から、心の代わりに互いの体温が混じり合っていくのを、二人は黙って味わい続けた。
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いちゃいちゃさせるつもりが(>ω<)
聖戦後妄想ではこの分も存分にベタ甘で行こうと思います。
ところで今週のジャンプのニセコイネタをサガでやりたい。
サガが女神をデートに誘いたくて、女性であるシャイナさんから女性の扱いを習うことになり、「まずはレベルを見てやるから私をアテナだと思って誘ってみな」って言われたので、可愛く頬を染めながら「あ…あの、今度の日曜日良かったら…」って頑張ったのに、シャイナさんに蹴り飛ばされるパターン(・ω・)
サガは超恰好よくても超可愛くても矛盾のない不思議美青年だな!
今日もぱちぱち有難うございます!毎日の潤いです。
D様、ご返信は次回にさせて下さい\(^▽^)/