星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
「今回は泊まり仕事になる。海界からの戻りは一週間後だな」
カノンが出かけがてら告げた。もう半分、海将軍としての顔になっている。
海将軍筆頭である彼が、無理を言って聖域から通っていることを知っているサガは、そのことについて文句を言うつもりはない。むしろ、一緒に暮らせる幸せに感謝しているくらいだ。
「わかった。丁度その頃に灯油が切れる。仕事帰りに申し訳ないが、町へ寄って買ってきて貰えまいか」
「ああ、代わりに留守の間の掃除や宮のことは頼んだぞ」
双児宮には、従者を置いていない。そのため、生活周りの事はできるだけ二人で片付けていた。元反逆者としての、ささやかな遠慮だった。
そのまま出かけようとしたカノンの服を、サガが掴む。
「なんだ?」
振り返ったカノンの前へ差し出されたのは、ちいさな水色の花だ。
「…その、単にわたしにとっての、気休めだが」
「忘れな草…?」
何気なく受け取ってから、カノンは花の名に気づいて笑った。海界へ行っても、聖域を、黄金聖闘士であることを、そして兄を忘れてくれるなという直積的な謎かけか。
「心配性だな、お前は」
言葉はそっけなかったものの、ひらりと手を振って十二宮を降りて行くカノンの顔には笑みが浮かんでいる。いつもこれくらい可愛げがあればいいのに、と胸元のポケットへ突っ込んだ花を見る。
仕事は長丁場となるだろうが、気分は晴れていた。
カノンを見送ったサガの横へ、いつの間に来ていたのか隣宮の主デスマスクが並んでいた。
「アンタにしちゃ、随分直球なことをしたもんですね」
勿論、カノンへ贈った花の事である。
「直接的過ぎたろうか…その、カノンを信頼していないわけではないのだが」
サガが顔をあからめる。朴念仁なサガのその反応も、珍しいもんだとデスマスクは思った。
(こんな男でも、弟の留守は寂しいものなんだろうか)
しかしサガが続けて
「カノンが、わたしの頼んだ買い物を忘れると困るなと思って」
と続けたので、漫才よろしくその場でずっこけたデスマスクであった。
同時に、罪作りな兄を持つカノンに深く同情を寄せたのであった。
カノンが出かけがてら告げた。もう半分、海将軍としての顔になっている。
海将軍筆頭である彼が、無理を言って聖域から通っていることを知っているサガは、そのことについて文句を言うつもりはない。むしろ、一緒に暮らせる幸せに感謝しているくらいだ。
「わかった。丁度その頃に灯油が切れる。仕事帰りに申し訳ないが、町へ寄って買ってきて貰えまいか」
「ああ、代わりに留守の間の掃除や宮のことは頼んだぞ」
双児宮には、従者を置いていない。そのため、生活周りの事はできるだけ二人で片付けていた。元反逆者としての、ささやかな遠慮だった。
そのまま出かけようとしたカノンの服を、サガが掴む。
「なんだ?」
振り返ったカノンの前へ差し出されたのは、ちいさな水色の花だ。
「…その、単にわたしにとっての、気休めだが」
「忘れな草…?」
何気なく受け取ってから、カノンは花の名に気づいて笑った。海界へ行っても、聖域を、黄金聖闘士であることを、そして兄を忘れてくれるなという直積的な謎かけか。
「心配性だな、お前は」
言葉はそっけなかったものの、ひらりと手を振って十二宮を降りて行くカノンの顔には笑みが浮かんでいる。いつもこれくらい可愛げがあればいいのに、と胸元のポケットへ突っ込んだ花を見る。
仕事は長丁場となるだろうが、気分は晴れていた。
カノンを見送ったサガの横へ、いつの間に来ていたのか隣宮の主デスマスクが並んでいた。
「アンタにしちゃ、随分直球なことをしたもんですね」
勿論、カノンへ贈った花の事である。
「直接的過ぎたろうか…その、カノンを信頼していないわけではないのだが」
サガが顔をあからめる。朴念仁なサガのその反応も、珍しいもんだとデスマスクは思った。
(こんな男でも、弟の留守は寂しいものなんだろうか)
しかしサガが続けて
「カノンが、わたしの頼んだ買い物を忘れると困るなと思って」
と続けたので、漫才よろしくその場でずっこけたデスマスクであった。
同時に、罪作りな兄を持つカノンに深く同情を寄せたのであった。