寝起きカノン
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「朝ごはんにするか?シャワーにするか?それともわたしか」
たいそうベタな台詞が降ってきたかと思うと、かぶっていた暖かな布団が取り上げられ、カノンは寝ぼけまなこのまましぶしぶ目をあけた。
「…言葉と行動があっていない。もうすこし兄らしく起こせ」
「そうか」
返事とともに彼はシーツを乱暴に引き上げる。上に横たわっていたカノンはなすすべもなく寝台の下へ転がり落ちた。
「おい…もう少し優しく起こせといったのだ!」
「文句を言うな。きちんとお前の記憶のなかから選んだサガの動作だ」
ここは海底神殿の仮眠室。寝坊をした海将軍筆頭をたたき起こしているのは、サガの姿をとったカーサだ。
仕事が忙しく、双児宮へ戻る暇もないときには、ここで簡単な休息をとる。
しかし、先日カノンを起こそうとした従者がゴールデントライアングルで飛ばされて以降、彼を起こすのはサガの姿をとったカーサの役目となっている。カノンはサガには手を上げないからだ。
「本物のサガであれば、寝坊をするほど疲れたお前を労わり、代わりにわたしが…などと言うのかも知れないが、あいにくとわたしは本物ではなく、なおかつ仕事はまだまだ溜まっている。甘やかすわけにはいかないのだ」
声色も表情もサガのままに、カーサはシーツを畳んでいる。
もそもそ起き上がったカノンは、がしがしと頭をかきながらその様子を見た。
「いや、思った以上に、似ているぞ」
ぼそりと呟いたカノンへ、サガの姿のカーサは「日々精進しているからな」と答えて二コリと笑った。
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カーサガ。拍手でつっこみを下さったaki様へ(>x<)
サガにそのつもりがなくても、彼はいつも弟を振り回してそうですよね(笑)罪作りな兄…!そしてカノンは結構なんだかんだいって、兄に振り回されるのも嫌いではないのではないかなあと思いました。
またぜひお気軽にお声をかけてやってくださいね!ありがとうございました!
ほかパチパチ下さった皆様に御礼申し上げます!出勤前の活力源です。