星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
シュラ黒で誕生日前日!9日SS続き
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「いくら気に入ったからと言って、腹を壊すまで食すことはあるまい」
黒い髪をかきあげながら、サガが紅い瞳に呆れの色をのぼらせている。
シュラは麿羯宮の寝台からそれを見上げた。
昨日の山羊煮を気に入ったわけでも、食べ過ぎたわけでもないのだが、それを告げる勇気はない。
アイオリアと白サガの共同制作であるその山羊煮は、二人とも「シュラのために作ったのだから」と言って自分たちは手を出さず、処理作業はシュラの単独担当となったのだ。
血と内臓で作られたチーイリチーの匂いは凄まじく、1日たった今でもまだ麿羯宮にその痕跡を残していた。見かねたアフロディーテが匂い消しにと大量に薔薇とハーブを持ってきてくれたくらいなのだ。
「アレの手料理はそれほど良かったか」
どこか拗ねたような顔をしながら、黒サガは片手に持っていた蝋燭をサイドテーブルに置いた。
そこはきっぱり否定したほうがいいのか、あの破壊的な料理の腕前について気遣った方がいいのか、シュラが逡巡しているあいだに時は過ぎ、返事をするタイミングは流れていく。
ふと鼻腔をくすぐる慣れぬ匂いに気づいて、シュラはサガの持ってきた蝋燭をみた。
「それは…いつもの聖域支給の蜜蝋ではないですね」
話題を逸らすつもりはなかったが、黒サガは片眉をわずかに上げた。
「…獣脂蝋燭だ」
「珍しいものを」
独特の匂いはグリセリンであろうと思われる。キャンドルの語源ともなった獣脂蝋燭は、昨今あまり見かけない。揺らめく灯りも蜜蝋とは微妙に異なり、サガの表情を陰影深く照らし出す。
黒サガは口元を子供のようにへの字にしてから、ぼそりと吐き出した。
「それは山羊の獣脂で作ってある」
「…そ、そうなのですか」
彼まで山羊尽くしに参加するつもりなのかとシュラは目を瞬かせる。
「アレとアイオリアが祝っただけで充分のようだな」
「いえ」
今度は思うより早く言葉が飛び出した。それだけでなくサガの法衣の袖を掴んだ己にシュラは驚く。はっと気づいて慌てて手を離したものの、持て余したその手のひらをどうすればいいのか。
黒サガは何も言わず、宙を彷徨うその手を取った。
暫しの無言のあと、黒サガが口を開く。
「早く体調を万全にしろ。明日は私の供をさせるつもりなのだからな」
明日はシュラの誕生日だった。
シュラは黒サガの手をぎゅっと強く握り返した。
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めるへん。
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「いくら気に入ったからと言って、腹を壊すまで食すことはあるまい」
黒い髪をかきあげながら、サガが紅い瞳に呆れの色をのぼらせている。
シュラは麿羯宮の寝台からそれを見上げた。
昨日の山羊煮を気に入ったわけでも、食べ過ぎたわけでもないのだが、それを告げる勇気はない。
アイオリアと白サガの共同制作であるその山羊煮は、二人とも「シュラのために作ったのだから」と言って自分たちは手を出さず、処理作業はシュラの単独担当となったのだ。
血と内臓で作られたチーイリチーの匂いは凄まじく、1日たった今でもまだ麿羯宮にその痕跡を残していた。見かねたアフロディーテが匂い消しにと大量に薔薇とハーブを持ってきてくれたくらいなのだ。
「アレの手料理はそれほど良かったか」
どこか拗ねたような顔をしながら、黒サガは片手に持っていた蝋燭をサイドテーブルに置いた。
そこはきっぱり否定したほうがいいのか、あの破壊的な料理の腕前について気遣った方がいいのか、シュラが逡巡しているあいだに時は過ぎ、返事をするタイミングは流れていく。
ふと鼻腔をくすぐる慣れぬ匂いに気づいて、シュラはサガの持ってきた蝋燭をみた。
「それは…いつもの聖域支給の蜜蝋ではないですね」
話題を逸らすつもりはなかったが、黒サガは片眉をわずかに上げた。
「…獣脂蝋燭だ」
「珍しいものを」
独特の匂いはグリセリンであろうと思われる。キャンドルの語源ともなった獣脂蝋燭は、昨今あまり見かけない。揺らめく灯りも蜜蝋とは微妙に異なり、サガの表情を陰影深く照らし出す。
黒サガは口元を子供のようにへの字にしてから、ぼそりと吐き出した。
「それは山羊の獣脂で作ってある」
「…そ、そうなのですか」
彼まで山羊尽くしに参加するつもりなのかとシュラは目を瞬かせる。
「アレとアイオリアが祝っただけで充分のようだな」
「いえ」
今度は思うより早く言葉が飛び出した。それだけでなくサガの法衣の袖を掴んだ己にシュラは驚く。はっと気づいて慌てて手を離したものの、持て余したその手のひらをどうすればいいのか。
黒サガは何も言わず、宙を彷徨うその手を取った。
暫しの無言のあと、黒サガが口を開く。
「早く体調を万全にしろ。明日は私の供をさせるつもりなのだからな」
明日はシュラの誕生日だった。
シュラは黒サガの手をぎゅっと強く握り返した。
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めるへん。
1/9 23時頃 M様>シュラを祝う為に頭の中で山羊グッズを揃えてみたら、本気でサバトにしかなりませんでした(>△<;)どうしたもんでしょうか。可愛い子山羊のぬいぐるみとかも脳内でセットしてみたのですが、なんか生贄っぽくなってしまい…そんな訳で出来たのがあの話でした。ちゃんとシュラが喜ぶお祝いも黒サガにしてもらおうと思います。しかしシュラ誕当日はアップ出来るか微妙なので今のうちに前日話を書いてみました。へぼんで申し訳ないです。シュラと黒はもっと普段は殺伐としている気がしますが、話を書こうとすると何故か甘々に…Mさんのシュラ誕話も楽しみにしております!いつも萌え溢れるお言葉を愛しています!マジ戦闘シーンもいいですよね。書いてくださいよう。
そしてぱちぱち下さった皆様にも御礼申し上げます(^^)心の潤いです!
そしてぱちぱち下さった皆様にも御礼申し上げます(^^)心の潤いです!