星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
ああああ何故にクリスマスにSSがタナトス三昧になっているのか。
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デスマスクは遠い眼で異界ゲートから出てきたタナトスをみやった。冬至・世界滅亡(予定)日に続き、クリスマスにまで聖域に入り浸る神というのは如何なものだろう。とりあえず、死の神が暇なことは理解した。
しかし、今日のタナトスは来訪早々、機嫌がよろしくない。
「何故ハリストスとやらばかりが、このように誕生日を祝われるのだ。塵芥どもめ、オレには1度たりとてこのようなイベントを企画せぬくせに」
ハリストスとはキリストのことである。
この季節、地上の1/3はクリスマスで華やいでいる。同じ神でありながら、ほぼ祝われたことのないタナトスとは雲泥の差だ。
「ほかの神様の人気をやっかむのは大人気ないですよ」
「やっかんでなどおらん!塵芥の信奉など不快なだけだ!」
「では、ほうっておけば良いじゃないですか」
「ヒュプノスがそのように冷たくほざくので捨て置いてきたというのに、貴様まで同じ事をいうとは」
その場面が眼に浮かぶようである。そして、それによりますます拗ねたタナトスが、地上へ八つ当たりに来たというわけだ。
(そりゃ言うだろう、アンタは子供か)
ヒュプノスには同情を禁じえない。
ただ、タナトスの気持ちも判らないでもない。おそらくタナトスは、人間からの人気云々はどうでも良くとも、そのときにヒュプノスには構って欲しかったに違いないのだ。
「人類を滅亡させようなどとせず、安らかな死を約束すれば、多少は人間からの待遇が良くなるんじゃないスか?」
「信奉など望んでおらぬと言った。しかし、オレとてケーキや鶏肉の供物は受け取らないでもないぞ」
敬ってもらわずとも結構だが、捧げ物を貰えるならば貰うというスタンスらしい。
「今回の来訪は食い物目的かよ」
「美味い供物でないと受け取らぬぞ。ヒュプノスに自慢するゆえ」
違った。『貰えるならば』ではない。貰うことは決定事項であった。
珍しく双児宮へ向かわず巨蟹宮へ居座っているなと思っていたのだが、これはデスマスクに自分を祝う供物を提供せよと要求しているのである。
サガの手料理は壊滅的だし、カノンはタナトスをもてなしはしないだろうので、目的行使の手段としては正しい。
自分なら断らずに作ると思われているのも納得いかないが、とりあえず貯蔵してあった上等なワインをタナトスのために開けてやることにした。開栓してすぐにはワインの香りがふくらまないため、デカンタに移して空気になじませ、その間にカナッペとチーズを添えた簡単な肴を作る。
「それ飲んで少し待っててくれ。ハリストスではなく、アンタにちなんだ供物を供えれば満足するんだな?」
言われたタナトスの顔が、ぱっと明るくなった。やはり期待してたようだ。
そんな風に毎回タナトスの我侭を聞くから押しかけられるのだけれども、わかっていても外交と割り切って要求を叶えるところが、デスマスクのスペックの高さであり、気のいいところである。13年間、同じように黒サガの世話をしてきた経歴は伊達ではない。
暫くしてデスマスクは、ワンカップサイズのクリスタルガラスの小皿に何かを入れて戻ってきた。
差し出されたタナトスが覗き込むと、粒のままの小麦煮にくわえ、ザクロとぶどうにクルミなどを細かく砕いた果実類、そしてそれへ砂糖と葡萄汁のシロップが混ぜられただけの、素朴なお菓子が盛られている。
「イタリアとギリシャにちなんだ死者の菓子(dolce dei morti )だ。イタリアでは死者の日(11/2)に食ってる。生を意味するシンボルも入ってるが、クルミなんかは死も象徴してるし、ザクロは冥界に縁ある果物だし、まあいいだろ」
「貴様、死者の日は、死者が煉獄にある期間が少なくてすむよう祈る日であって、オレのための日ではないぞ」
「神様なんだから、細かいことを気にすんなよ」
「気にするわ。それに、思いっきりハリストス由来ではないか」
デスマスクの強引なこじつけにぶつぶつ言いながらも、タナトスは添えられた木製匙でそれを食べ始める。なんだかんだ言って、デスマスクの出す食べ物のレベルを認めているのだ。
数匙分しかないそれは、あっという間に食べつくされてタナトスの腹に納まってしまった。
「まずいとは言わぬが、足りぬし、華やかさがない。それにこれはケーキではない」
しかし、珍しく食べた後に不満が出た。さすがに味にケチはつけなかったものの、巷の商業クリスマス的なものを求めてやってきた彼にとって、これは美味しくても方向性が違う。
「ケーキねえ。ギリシアのクリスマスはケーキよりグラビデス(アーモンドクッキー)じゃねえの?」
「200年以上も封印されていたのだぞ。近代的スイーツを所望して何が悪い」
ふんぞり返っているタナトスの態度は、まるで正当な権利を主張しているかのようだ。適当に対応をして追い払うつもりでいたデスマスクは、仕方なく根本的解決を目指すことにした。
「アンタの言い分はわかった。だがオレはアンタの好みを知らねえし、きっちりしたケーキを作るには下ごしらえをする時間も足りん。それよりは、デパ地下で好きなものを選んだほうがいい。今から連れて行ってやる」
「デパ地下とは何だ」
「女神の育った国では、デパートの地下階をそう呼ぶ。スイーツ店が入ってることが多いから、クリスマスのこの時期は選びたい放題だぜ。ただし、ちゃんと現代の格好をして、神であることは隠してくれよ?」
思わぬデスマスクの提案に、タナトスは一瞬目を丸くするも、すぐに興味がわいたのか眼を輝かせる。
「ふむ、虎穴に入らずんば虎児を得ずという。ケーキが欲しければ塵芥どもの集まるデパートへ潜入せよということだな」
「多分、街に出ればイベント気分も味わえる。ケーキ以外にも欲しいものがあれば買ってやるぞ」
だんだん突っ込むのも面倒になってきたのか、スルー耐性のついてきたデスマスクだった。そして、そろそろ地が出てしまい、神への言葉遣いではなくなってきているが、幸いタナトスは気づいていない。
ちなみに、購入費用は接待費として落とすつもりでいるため、気前だけは良かった。
街を巡ってクリスマス気分を堪能させ、文句無く美味いケーキを土産として持たせれば、おそらくタナトスは満足するだろうとデスマスクは見積もる。
気難しいタナトスを怒らせぬよう、また飽きさせぬような綿密なルートを脳内でシミュレートしつつ、気合をこめて拳をぐっと握り締めた。
結果的に、連れ出されたタナトスの反応は大変良かった。
話題のミュージアムやイルミネーション、映画などをみせたあと、ヒュプノスへのプレゼントを一緒に選んでやり、自身も携帯ゲーム機とゲームソフトをセットでタナトスへ購入してやる。
宝石のようなケーキの並ぶショーケースの前で、タナトスが「全店舗、全種類2個ずつ」などと言い出したときには冷や汗をかいたが、気に入ったがゆえの言動と思えば可愛いものだ。
性格のあまりよろしくない元敵神であるとはいえ、自分のエスコートによって子供のように上機嫌になっている姿を見るのは、デスマスクにとっても悪い気分ではない。いや、悪くないどころか、かなり気分がいい。
(結構可愛いところもあるじゃん)
そんな風に思ってしまったデスマスクは、根っからの世話焼き体質である。
それゆえ、タナトスとの巡回ルートが実質的に『男二人によるクリスマスデートコース』であったことに気づいて撃沈するのは、翌日それを話したカノンに突っ込まれた時になるのであった。
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蟹とタナトスの組み合わせも大好きなのです(>ω<)
このあとタナトスにケーキの土産を渡されるヒュプノスは喜びますが、1日デスマスクと一緒だったことを知ると、ちょっと複雑な気持ちになりますよ。でも「今度はお前と行く」というタナトスのひとことで機嫌直しますけど!
朝食のあと、寒くてちょっと布団にもぐるだけのつもりが、気づいたら午後になっていてあわあわ。でも今から夜までまた多分寝るという駄目人間。寝正月ならぬ寝クリスマス(…)。
冬のヒュプノス様が強力すぎるのが悪い。
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デスマスクは遠い眼で異界ゲートから出てきたタナトスをみやった。冬至・世界滅亡(予定)日に続き、クリスマスにまで聖域に入り浸る神というのは如何なものだろう。とりあえず、死の神が暇なことは理解した。
しかし、今日のタナトスは来訪早々、機嫌がよろしくない。
「何故ハリストスとやらばかりが、このように誕生日を祝われるのだ。塵芥どもめ、オレには1度たりとてこのようなイベントを企画せぬくせに」
ハリストスとはキリストのことである。
この季節、地上の1/3はクリスマスで華やいでいる。同じ神でありながら、ほぼ祝われたことのないタナトスとは雲泥の差だ。
「ほかの神様の人気をやっかむのは大人気ないですよ」
「やっかんでなどおらん!塵芥の信奉など不快なだけだ!」
「では、ほうっておけば良いじゃないですか」
「ヒュプノスがそのように冷たくほざくので捨て置いてきたというのに、貴様まで同じ事をいうとは」
その場面が眼に浮かぶようである。そして、それによりますます拗ねたタナトスが、地上へ八つ当たりに来たというわけだ。
(そりゃ言うだろう、アンタは子供か)
ヒュプノスには同情を禁じえない。
ただ、タナトスの気持ちも判らないでもない。おそらくタナトスは、人間からの人気云々はどうでも良くとも、そのときにヒュプノスには構って欲しかったに違いないのだ。
「人類を滅亡させようなどとせず、安らかな死を約束すれば、多少は人間からの待遇が良くなるんじゃないスか?」
「信奉など望んでおらぬと言った。しかし、オレとてケーキや鶏肉の供物は受け取らないでもないぞ」
敬ってもらわずとも結構だが、捧げ物を貰えるならば貰うというスタンスらしい。
「今回の来訪は食い物目的かよ」
「美味い供物でないと受け取らぬぞ。ヒュプノスに自慢するゆえ」
違った。『貰えるならば』ではない。貰うことは決定事項であった。
珍しく双児宮へ向かわず巨蟹宮へ居座っているなと思っていたのだが、これはデスマスクに自分を祝う供物を提供せよと要求しているのである。
サガの手料理は壊滅的だし、カノンはタナトスをもてなしはしないだろうので、目的行使の手段としては正しい。
自分なら断らずに作ると思われているのも納得いかないが、とりあえず貯蔵してあった上等なワインをタナトスのために開けてやることにした。開栓してすぐにはワインの香りがふくらまないため、デカンタに移して空気になじませ、その間にカナッペとチーズを添えた簡単な肴を作る。
「それ飲んで少し待っててくれ。ハリストスではなく、アンタにちなんだ供物を供えれば満足するんだな?」
言われたタナトスの顔が、ぱっと明るくなった。やはり期待してたようだ。
そんな風に毎回タナトスの我侭を聞くから押しかけられるのだけれども、わかっていても外交と割り切って要求を叶えるところが、デスマスクのスペックの高さであり、気のいいところである。13年間、同じように黒サガの世話をしてきた経歴は伊達ではない。
暫くしてデスマスクは、ワンカップサイズのクリスタルガラスの小皿に何かを入れて戻ってきた。
差し出されたタナトスが覗き込むと、粒のままの小麦煮にくわえ、ザクロとぶどうにクルミなどを細かく砕いた果実類、そしてそれへ砂糖と葡萄汁のシロップが混ぜられただけの、素朴なお菓子が盛られている。
「イタリアとギリシャにちなんだ死者の菓子(dolce dei morti )だ。イタリアでは死者の日(11/2)に食ってる。生を意味するシンボルも入ってるが、クルミなんかは死も象徴してるし、ザクロは冥界に縁ある果物だし、まあいいだろ」
「貴様、死者の日は、死者が煉獄にある期間が少なくてすむよう祈る日であって、オレのための日ではないぞ」
「神様なんだから、細かいことを気にすんなよ」
「気にするわ。それに、思いっきりハリストス由来ではないか」
デスマスクの強引なこじつけにぶつぶつ言いながらも、タナトスは添えられた木製匙でそれを食べ始める。なんだかんだ言って、デスマスクの出す食べ物のレベルを認めているのだ。
数匙分しかないそれは、あっという間に食べつくされてタナトスの腹に納まってしまった。
「まずいとは言わぬが、足りぬし、華やかさがない。それにこれはケーキではない」
しかし、珍しく食べた後に不満が出た。さすがに味にケチはつけなかったものの、巷の商業クリスマス的なものを求めてやってきた彼にとって、これは美味しくても方向性が違う。
「ケーキねえ。ギリシアのクリスマスはケーキよりグラビデス(アーモンドクッキー)じゃねえの?」
「200年以上も封印されていたのだぞ。近代的スイーツを所望して何が悪い」
ふんぞり返っているタナトスの態度は、まるで正当な権利を主張しているかのようだ。適当に対応をして追い払うつもりでいたデスマスクは、仕方なく根本的解決を目指すことにした。
「アンタの言い分はわかった。だがオレはアンタの好みを知らねえし、きっちりしたケーキを作るには下ごしらえをする時間も足りん。それよりは、デパ地下で好きなものを選んだほうがいい。今から連れて行ってやる」
「デパ地下とは何だ」
「女神の育った国では、デパートの地下階をそう呼ぶ。スイーツ店が入ってることが多いから、クリスマスのこの時期は選びたい放題だぜ。ただし、ちゃんと現代の格好をして、神であることは隠してくれよ?」
思わぬデスマスクの提案に、タナトスは一瞬目を丸くするも、すぐに興味がわいたのか眼を輝かせる。
「ふむ、虎穴に入らずんば虎児を得ずという。ケーキが欲しければ塵芥どもの集まるデパートへ潜入せよということだな」
「多分、街に出ればイベント気分も味わえる。ケーキ以外にも欲しいものがあれば買ってやるぞ」
だんだん突っ込むのも面倒になってきたのか、スルー耐性のついてきたデスマスクだった。そして、そろそろ地が出てしまい、神への言葉遣いではなくなってきているが、幸いタナトスは気づいていない。
ちなみに、購入費用は接待費として落とすつもりでいるため、気前だけは良かった。
街を巡ってクリスマス気分を堪能させ、文句無く美味いケーキを土産として持たせれば、おそらくタナトスは満足するだろうとデスマスクは見積もる。
気難しいタナトスを怒らせぬよう、また飽きさせぬような綿密なルートを脳内でシミュレートしつつ、気合をこめて拳をぐっと握り締めた。
結果的に、連れ出されたタナトスの反応は大変良かった。
話題のミュージアムやイルミネーション、映画などをみせたあと、ヒュプノスへのプレゼントを一緒に選んでやり、自身も携帯ゲーム機とゲームソフトをセットでタナトスへ購入してやる。
宝石のようなケーキの並ぶショーケースの前で、タナトスが「全店舗、全種類2個ずつ」などと言い出したときには冷や汗をかいたが、気に入ったがゆえの言動と思えば可愛いものだ。
性格のあまりよろしくない元敵神であるとはいえ、自分のエスコートによって子供のように上機嫌になっている姿を見るのは、デスマスクにとっても悪い気分ではない。いや、悪くないどころか、かなり気分がいい。
(結構可愛いところもあるじゃん)
そんな風に思ってしまったデスマスクは、根っからの世話焼き体質である。
それゆえ、タナトスとの巡回ルートが実質的に『男二人によるクリスマスデートコース』であったことに気づいて撃沈するのは、翌日それを話したカノンに突っ込まれた時になるのであった。
============================
蟹とタナトスの組み合わせも大好きなのです(>ω<)
このあとタナトスにケーキの土産を渡されるヒュプノスは喜びますが、1日デスマスクと一緒だったことを知ると、ちょっと複雑な気持ちになりますよ。でも「今度はお前と行く」というタナトスのひとことで機嫌直しますけど!
朝食のあと、寒くてちょっと布団にもぐるだけのつもりが、気づいたら午後になっていてあわあわ。でも今から夜までまた多分寝るという駄目人間。寝正月ならぬ寝クリスマス(…)。
冬のヒュプノス様が強力すぎるのが悪い。
12/23 einhundertkind様>のんきなタナトスにほのぼのとのお言葉をありがとうございます!懲りずに今回もまたのんきなタナトスを書いてしまいました(・▽・;)タナトス様はニンフにモテて格好よくて強いのに、短気で短慮なところが魅力だと思います。
そして、Ωの水瓶座聖衣にはびっくりですよね!「サガに取り付いてたものみたいなやつ」の表現に笑ってしまいました。そういえば正義の盾で払われた黒サガとか、魂だけのときのハーデス様とか、あんなイメージでしたよね(笑)あの水瓶座聖衣がどうなるのか、再来週が楽しみでなりません。
ところで、幼少の頃のお姉さんはワイルドでいらしたのですね(・ω・;)玄関へ入るなり妹であるeinhundertkindさんを殴るとは…当時の慰謝料としてケーキでも要求してみるのはいかがでしょうか(汗)einhundertkindさんが双子座のお姉さんにスニオン岬へ閉じ込められなくて良かったです。
いつも楽しいコメントをありがとうございます(^-^)einhundertkindさんにも良いクリスマスが訪れておられますように!
ほかぱちぱち下さった皆様に御礼申し上げます!毎日の癒しです♪
そして、Ωの水瓶座聖衣にはびっくりですよね!「サガに取り付いてたものみたいなやつ」の表現に笑ってしまいました。そういえば正義の盾で払われた黒サガとか、魂だけのときのハーデス様とか、あんなイメージでしたよね(笑)あの水瓶座聖衣がどうなるのか、再来週が楽しみでなりません。
ところで、幼少の頃のお姉さんはワイルドでいらしたのですね(・ω・;)玄関へ入るなり妹であるeinhundertkindさんを殴るとは…当時の慰謝料としてケーキでも要求してみるのはいかがでしょうか(汗)einhundertkindさんが双子座のお姉さんにスニオン岬へ閉じ込められなくて良かったです。
いつも楽しいコメントをありがとうございます(^-^)einhundertkindさんにも良いクリスマスが訪れておられますように!
ほかぱちぱち下さった皆様に御礼申し上げます!毎日の癒しです♪