星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
指輪SSを昨晩アップするはずが寝潰れてました(>ω<)
ロスサガ要素コミコミ!
=============================
十二宮の公用通路を下りてきたアイオロスは、目指す双児宮が見えてきたところで一瞬足を止めた。宮の入り口たる門柱前には、何人かの雑兵と黒髪のサガが見える。
雑兵たちはサガへ何か包みを渡していた。今日はサガの誕生日だ。白い方のサガだけでなく、黒い方のサガへも果敢に贈り物をする者は多く、その度胸は大したものだと感心する。
サガはさっそく包みを開けたようだ。立ち止まって眺めているのも不自然なので、アイオロスは再び歩き出した。雑兵たちが気づいて彼へと頭を下げる。こちらのサガも他人の居る場所では、あからさまに次期教皇を無碍にはしない。ちらりと一瞥して、けれども挨拶をするでもなく、包みに視線を戻す。しかたなくアイオロスのほうから声をかけた。
「こんにちは、君たちもサガへのプレゼントかい?」
『も』の一言へ、自分の用件を暗に込める。
雑兵たちは目上の登場に遠慮するそぶりを見せながらも、それぞれ嬉しそうに肯定した。皆で金を集めて購入したのだという。なんら含むもののない純粋な好意だ。必要であれば牽制という手段も考えていたアイオロスは、少しだけ彼らを羨んだ。
「何をあげたの?」
答えが返る前に、サガが包みから小さな箱を取り出した。上品な色合いのビロードで外張りされたリングケース。思わず声をあげそうになる。
「…指輪?」
箱を開けたサガが、不思議そうな顔をして呟いた。どさくさに紛れてアイオロスが横から一緒に覗き込むと、両手で王冠の乗ったハートを持つ意匠の、シンプルとは言いがたいシルバーリングが収められている。
「クラダリングというのです」
雑兵のひとりが言った。アイルランドに伝わる指輪で、ハートは「愛」を、王冠は「忠誠」を、両手は「友情」をあらわすのだそうだ。つまり、サガがそれらの幸せを手に掴むことが叶うようにという、彼らの願いが篭められている。
サガはなおも妙な顔をして聞いていたが、おもむろにその指輪を左手の薬指に嵌めた。なんの躊躇もない動きで、アイオロスや雑兵たちもあっけにとられる。また空気を読まぬことに、サイズもぴったりと合っているようだ。
サガは左手を目の前にかざし、じっと指輪を眺めた。
「装身具をもらったのは初めてだ。指輪印の付いた教皇の指輪とは、また用途も異なるのだろうな」
「ちょ、サガ」
ようやくアイオロスが突っ込みを入れる。
「何故、あえてその指に嵌めるんだ」
「利き手では邪魔になろう。この指が一番不便なさそうだ。それに、下界ではこの指に嵌めている者をよく見る」
「嵌める指で意味がつくんだよ」
サガはアイオロスへは返事をかえさず、くるりと雑兵の方をむき、嵌めた指輪をみせた。
「そうなのか?この指には、どのような意味が?」
元偽教皇である彼はとても頭がいい。知識もずば抜けている。しかし、世俗の恋愛風俗や慣習については全く興味を持っておらず、『どうでもいいこと』であると判じている。ただでさえ聖域箱入りの彼だ。あえて得ようとしない下界の情報は、知らぬままに捨て置かれており、意外な一般常識を知らなかったりもする。
「通常、妻帯者である・恋人がいる…といった意味合いになります」
「そうか、では問題ないな。このわたしを妻帯者と思う者もおるまい」
あっさりと答えた黒髪の双子座へ、あわててアイオロスが食い下がる。
「サガ、今の話聞いてたのか!?恋人持ちだと誤解するヤツはいるかもしれないだろ!」
雑兵たちにサガを取られたような気がして、正直それはおもしろくない。事実、雑兵たちは驚きつつも大そう嬉しそうにしている。黒髪のサガが怪訝そうに尋ね返した。
「誤解は誤解で事実ではない。それに、誤解があったところで何だというのだ」
慣習よりも己の利便性を優先させようとする思考回路は、彼らしい。
ならば、利便性よりも問題のほうが多いということを知らしめることが出来れば、考えを覆すだろうか。
(ちょっと痛い目を見てもらおうかな)
ほんの少しだけ、無防備すぎるサガに腹をたててもいたアイオロスは、にっこりと笑みを浮かべて宣告した。
「では、ためしに夜までそのままつけていてごらん。そうしたら、意味がわかるよ」
夕方、アイオロスが再び双児宮を訪れると、黒髪のサガはソファーでぐったりしていた。目の前のテーブルには訪問者たちが置いていったのであろう贈り物や花などが積み上げられたままになっている。
ちらりと手元に目を走らせると、指輪は外されていた。
「ね、俺の言った意味わかった?」
「……業腹だがな」
アイオロスが来たというのに、虚勢をはる元気もないらしい。
双児宮を訪れた者たちは、口々に指輪の件を問いただしたはずだ。ことにサガに執心のものたちは、相手は誰だと迫ったに違いない。サガが『相手も意味もない』と答えたところで、半数は納得しなかったはずだ。それどころか、相手を庇って隠しているのかと、余計説明の手間は増えたろう。
そして、そんな説明は黒のサガがもっとも不得手とする方面である。誤解を解くために相当の労力を使ったと思われる。
アイオロスはサガの隣へ腰を下ろした。常であれば睨んでくるこちらのサガも、いまは大人しい。
「はい、誕生日おめでとう。昼間に渡しそこなったからね」
サガの目の前に置かれたのは、アクリルで作られた、中身のない空のリングケースだった。無言でそれを見つめたサガが、異星人でもみるような瞳でアイオロスに視線を移す。
「貴様、何を考えているのだ」
「中身はもう少し先になるけど、俺からの指輪をつけるときのために、薬指は空けておいて欲しいんだよね」
「その時にはまた誤解を解くための説明を強制されるのか、わたしは」
「誤解でなければ、説明は楽だよ?俺の名前出せばいいだけだもん」
ね、と笑いかけたアイオロスを見る黒サガの表情は、やっぱり理解不能な相手を眺めるそれだった。
アイオロスはもう1つ包みをとりだした。甘いギリシア菓子の詰め合わせ。そこから1つ蜂蜜タルトを摘まむと、サガの口元へ運ぶ。
「こっちが用意してた誕生日祝い。食べない?甘いものを食べると疲れがとれるよ」
「…貰おうか」
サガは珍しく反発することなく、その菓子にかぶりついた。
=============================
雑兵たちの指輪はちゃんと今後もときおり中指で活躍。説明を迫った面子は年中組とか女神とか星矢とか興味本位の年長組とか…まだカノンが海界から帰宅してないので、1番大変な説明相手は逃れてる黒サガです。でもアイオロスが置いてった空のリングケースの説明は求められるんですケド。
昨日は色々なサイト様で双子誕作品を拝見できて幸せでした\(>▽<)/
ロスサガ要素コミコミ!
=============================
十二宮の公用通路を下りてきたアイオロスは、目指す双児宮が見えてきたところで一瞬足を止めた。宮の入り口たる門柱前には、何人かの雑兵と黒髪のサガが見える。
雑兵たちはサガへ何か包みを渡していた。今日はサガの誕生日だ。白い方のサガだけでなく、黒い方のサガへも果敢に贈り物をする者は多く、その度胸は大したものだと感心する。
サガはさっそく包みを開けたようだ。立ち止まって眺めているのも不自然なので、アイオロスは再び歩き出した。雑兵たちが気づいて彼へと頭を下げる。こちらのサガも他人の居る場所では、あからさまに次期教皇を無碍にはしない。ちらりと一瞥して、けれども挨拶をするでもなく、包みに視線を戻す。しかたなくアイオロスのほうから声をかけた。
「こんにちは、君たちもサガへのプレゼントかい?」
『も』の一言へ、自分の用件を暗に込める。
雑兵たちは目上の登場に遠慮するそぶりを見せながらも、それぞれ嬉しそうに肯定した。皆で金を集めて購入したのだという。なんら含むもののない純粋な好意だ。必要であれば牽制という手段も考えていたアイオロスは、少しだけ彼らを羨んだ。
「何をあげたの?」
答えが返る前に、サガが包みから小さな箱を取り出した。上品な色合いのビロードで外張りされたリングケース。思わず声をあげそうになる。
「…指輪?」
箱を開けたサガが、不思議そうな顔をして呟いた。どさくさに紛れてアイオロスが横から一緒に覗き込むと、両手で王冠の乗ったハートを持つ意匠の、シンプルとは言いがたいシルバーリングが収められている。
「クラダリングというのです」
雑兵のひとりが言った。アイルランドに伝わる指輪で、ハートは「愛」を、王冠は「忠誠」を、両手は「友情」をあらわすのだそうだ。つまり、サガがそれらの幸せを手に掴むことが叶うようにという、彼らの願いが篭められている。
サガはなおも妙な顔をして聞いていたが、おもむろにその指輪を左手の薬指に嵌めた。なんの躊躇もない動きで、アイオロスや雑兵たちもあっけにとられる。また空気を読まぬことに、サイズもぴったりと合っているようだ。
サガは左手を目の前にかざし、じっと指輪を眺めた。
「装身具をもらったのは初めてだ。指輪印の付いた教皇の指輪とは、また用途も異なるのだろうな」
「ちょ、サガ」
ようやくアイオロスが突っ込みを入れる。
「何故、あえてその指に嵌めるんだ」
「利き手では邪魔になろう。この指が一番不便なさそうだ。それに、下界ではこの指に嵌めている者をよく見る」
「嵌める指で意味がつくんだよ」
サガはアイオロスへは返事をかえさず、くるりと雑兵の方をむき、嵌めた指輪をみせた。
「そうなのか?この指には、どのような意味が?」
元偽教皇である彼はとても頭がいい。知識もずば抜けている。しかし、世俗の恋愛風俗や慣習については全く興味を持っておらず、『どうでもいいこと』であると判じている。ただでさえ聖域箱入りの彼だ。あえて得ようとしない下界の情報は、知らぬままに捨て置かれており、意外な一般常識を知らなかったりもする。
「通常、妻帯者である・恋人がいる…といった意味合いになります」
「そうか、では問題ないな。このわたしを妻帯者と思う者もおるまい」
あっさりと答えた黒髪の双子座へ、あわててアイオロスが食い下がる。
「サガ、今の話聞いてたのか!?恋人持ちだと誤解するヤツはいるかもしれないだろ!」
雑兵たちにサガを取られたような気がして、正直それはおもしろくない。事実、雑兵たちは驚きつつも大そう嬉しそうにしている。黒髪のサガが怪訝そうに尋ね返した。
「誤解は誤解で事実ではない。それに、誤解があったところで何だというのだ」
慣習よりも己の利便性を優先させようとする思考回路は、彼らしい。
ならば、利便性よりも問題のほうが多いということを知らしめることが出来れば、考えを覆すだろうか。
(ちょっと痛い目を見てもらおうかな)
ほんの少しだけ、無防備すぎるサガに腹をたててもいたアイオロスは、にっこりと笑みを浮かべて宣告した。
「では、ためしに夜までそのままつけていてごらん。そうしたら、意味がわかるよ」
夕方、アイオロスが再び双児宮を訪れると、黒髪のサガはソファーでぐったりしていた。目の前のテーブルには訪問者たちが置いていったのであろう贈り物や花などが積み上げられたままになっている。
ちらりと手元に目を走らせると、指輪は外されていた。
「ね、俺の言った意味わかった?」
「……業腹だがな」
アイオロスが来たというのに、虚勢をはる元気もないらしい。
双児宮を訪れた者たちは、口々に指輪の件を問いただしたはずだ。ことにサガに執心のものたちは、相手は誰だと迫ったに違いない。サガが『相手も意味もない』と答えたところで、半数は納得しなかったはずだ。それどころか、相手を庇って隠しているのかと、余計説明の手間は増えたろう。
そして、そんな説明は黒のサガがもっとも不得手とする方面である。誤解を解くために相当の労力を使ったと思われる。
アイオロスはサガの隣へ腰を下ろした。常であれば睨んでくるこちらのサガも、いまは大人しい。
「はい、誕生日おめでとう。昼間に渡しそこなったからね」
サガの目の前に置かれたのは、アクリルで作られた、中身のない空のリングケースだった。無言でそれを見つめたサガが、異星人でもみるような瞳でアイオロスに視線を移す。
「貴様、何を考えているのだ」
「中身はもう少し先になるけど、俺からの指輪をつけるときのために、薬指は空けておいて欲しいんだよね」
「その時にはまた誤解を解くための説明を強制されるのか、わたしは」
「誤解でなければ、説明は楽だよ?俺の名前出せばいいだけだもん」
ね、と笑いかけたアイオロスを見る黒サガの表情は、やっぱり理解不能な相手を眺めるそれだった。
アイオロスはもう1つ包みをとりだした。甘いギリシア菓子の詰め合わせ。そこから1つ蜂蜜タルトを摘まむと、サガの口元へ運ぶ。
「こっちが用意してた誕生日祝い。食べない?甘いものを食べると疲れがとれるよ」
「…貰おうか」
サガは珍しく反発することなく、その菓子にかぶりついた。
=============================
雑兵たちの指輪はちゃんと今後もときおり中指で活躍。説明を迫った面子は年中組とか女神とか星矢とか興味本位の年長組とか…まだカノンが海界から帰宅してないので、1番大変な説明相手は逃れてる黒サガです。でもアイオロスが置いてった空のリングケースの説明は求められるんですケド。
昨日は色々なサイト様で双子誕作品を拝見できて幸せでした\(>▽<)/
5/30 23時頃 素敵な「兄!」ですね!目出度い~様>暖かいお言葉をありがとうございます!サガの生足に気づいてくださって感動でした。そこ自分的ポイントだったのです(>ω<)。弟による撮影大会って可愛すぎます!しかして「弟さん達は気合いで負けても萌えでは兄組を上回りそう」のお言葉に超同意です。もし弟たちがポーズをとったら、兄達も撮影大会に入りそうだと思いました。ちなみに弟エクスクラメーションの場合、カノンが海龍鱗衣(サガに聖衣とられてるので)、アベルは黄金聖衣(NDでは幻影か判りませんが、兄と同時着用してるので)、デフテロスが黄金聖衣(兄が冥衣着用なので黄金聖衣が空いてる)の予定でした。
あと弟による撮影会の時は、サガが下着つけてないので下からのアングルは控えめにしてあげてください(…)。素敵なコメントで一緒に萌えさせていただきました!また是非いろいろお声をかけてやってくださいね(^▽^)
ほかぱちぱち下さった皆様に御礼もうしあげます!毎日のエネルギー源です♪
あと弟による撮影会の時は、サガが下着つけてないので下からのアングルは控えめにしてあげてください(…)。素敵なコメントで一緒に萌えさせていただきました!また是非いろいろお声をかけてやってくださいね(^▽^)
ほかぱちぱち下さった皆様に御礼もうしあげます!毎日のエネルギー源です♪