星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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海界の仕事から双児宮へ戻ると、そこにいたのは黒髪のほうのサガであった。
元反逆者である彼が、聖域に住むことを許されているだけでなく、こうして監視もなく一人で双児宮にいられるというのは、アテナの懐が深いからだろう。もちろん精神論だけでなく、実際にサガを抑えることのできる実力を、成長したアテナが手に入れたからに他ならないが。
そのサガはオレを見るなり、お帰りのあいさつも抜きにして、突然問いかけてきた。
「カノンよ、お前にとって良い兄とはどのようなわたしだ?」
こちらのサガは能率を重んじるあまり、説明を省きすぎて不親切なところがあるとよく言われているけれども、近しい者に向けられる言葉は、大抵の場合そのままの意味である。
「突然なんだ。お前」
「聞き方を変えよう。わたしはお前にとって良い兄か」
そんなことを急に言われても、答えに窮する。アテナに不敬な言動を改めぬこちらの兄を良い兄と言ってよいものだろうか。いやしかし、考えてみればそれは聖闘士としての基準であって、兄としての基準ではない。では兄としてはどうなのだろう。もう一人のサガは文句なく良い兄なのではなかろうか。多分。ではこちらの兄はどうかというと…そもそも良い兄ってどういうものだ。
「…よくわからん」
即答しない時点で良い兄ではないと言っているようなものだが、さすがに濁しておく。
「逆に聞くがサガ、オレはお前にとって良い弟なのか?」
「いや、お前は愚弟だろう」
「おまえな」
カノンは遠慮したというのに、黒髪のサガの言葉には一枚のオブラートもない。黒髪のサガは肩へ流れ落ちた髪をさらりと払い、ソファーへと腰を下ろす。
「アイオリアがな、サジタリアスを無類の兄と自慢をするのだ。だが、お前は愚弟でもわたしにとっては特別なのだから、そのほうが凄くはないか」
急に兄が変なことを言い出したのは、どうやら別宮の黄金兄弟に張り合いの気持ちを持ったからのようだ。しかも妙なところで勝敗をつけている。
「あ、それいいな。『お前も愚兄だが、俺には必要な兄だ』というのでどうだ」
「…昔からお前はわたしの真似ばかりする」
そう言いながらも、サガの顔はまんざらでもなさそうであった。
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