星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
ロスサガが下地なんですがががが
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あいにくの曇り空だ。いまにも降り出しそうな様相をみせながら、夕方まで来てしまったような天気である。
アイオロスとサガは、教皇宮から十二宮へ向かう一本道を、並んで下りていた。
「ねえ、サガは先ほどの課題についてどう思う?」
アイオロスはサガを見ていたが、サガの視線は空の雨雲へ向かっている。
「お前の思うとおりで、良いのではないだろうか」
「まだ俺の意見も聞いていないのに?」
「考えるのは教皇の役目。それにあれはお前に出された課題だ」
まだアイオロスは補佐であったけれども、次期教皇として名指しされているからには、その地位を継ぐのも遠いことではないだろう。
サガの指摘にアイオロスは苦笑して、同じように空を見上げた。
「降ってきそうだね」
「そうだな」
しかし、答えながらサガは視線を道の先へと移した。まるで、アイオロスと同じものを見ることを拒否するかのように。
それはとてもさりげなく行われ、常人であれば気づかぬ完璧なそぶりであったが、あいにくと射手座のアイオロスは愚鈍ではなかった。
人馬宮へたどり着いた途端に雨が降り出した。
「寄って行かないか」
わずかながらの期待と痛みをこめて、雨宿りを勧めてみたが、案の定サガはそれを辞退し、しとしとと法衣を濡らす小雨のなかを歩き去っていった。
天秤宮を抜ける頃には、雨足も勢いを増し、本格的な降りとなった。
長い髪が雨に濡れてぺたりと頬に張り付くが、サガは頓着せずに歩き続けた。
『変われ』
サガの中から闇が主張する。
『わたしと変われ。何だそのザマは』
闇は怒っていたが、サガは返事をしなかった。歩きながらその髪の色は先端から黒くなりかけるも、すぐに元の色となる。
『…なぜ、考えることをやめてしまったのだ』
諦念とともに、暫くして発せられた問いへの答えは簡潔だった。
「比較してしまうから」
サガは立ち止まらない。真っ直ぐに前をみている。
「考えたら比較してしまう。わたしならどうするだろうかと」
『当たり前だ』
「そのあとお前は…わたしはこう続けるだろう。『わたしならもっと上手くやれる』。あるいは『彼のほうが優れている』と」
周囲に人がいたならば、サガは独り言を呟いているようにしか見えず、正気を疑われるに違いない。幸いなことに夕刻をすぎた雨の中、十二宮の公道を通るものは誰もいなかった。
「だから、考えることは彼に一任しようと思う」
『馬鹿な』
闇の声には、どこか焦りが感じられた。
『おまえはあの13年間ですら、決してわたしに思考を譲ろうとはしなかったではないか。最後のさいごで、いつでもわたしの邪魔を』
「アイオロスは信用できる。しかし自分のことは信用できない」
きっぱりと言い放つサガの視線は宙にあったが、実際のところ何も見てはいなかった。
『…完全に侵蝕されてしまったのだな』
闇の声は、それを最後にもう聞こえることはなかった。
いつのまにか目の前には双児宮の門柱が、主を迎えるようにそびえ立っている。
「ただいま」
サガは誰も居ないがらんどうへ呼びかけた。
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駄目サガパターン。
黒サガの恐れる侵蝕については、そのうち改めてちゃんと書いてみたいココロ。
あと、白サガは何気にいつも自分に厳しい延長で黒サガにひどい。
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あいにくの曇り空だ。いまにも降り出しそうな様相をみせながら、夕方まで来てしまったような天気である。
アイオロスとサガは、教皇宮から十二宮へ向かう一本道を、並んで下りていた。
「ねえ、サガは先ほどの課題についてどう思う?」
アイオロスはサガを見ていたが、サガの視線は空の雨雲へ向かっている。
「お前の思うとおりで、良いのではないだろうか」
「まだ俺の意見も聞いていないのに?」
「考えるのは教皇の役目。それにあれはお前に出された課題だ」
まだアイオロスは補佐であったけれども、次期教皇として名指しされているからには、その地位を継ぐのも遠いことではないだろう。
サガの指摘にアイオロスは苦笑して、同じように空を見上げた。
「降ってきそうだね」
「そうだな」
しかし、答えながらサガは視線を道の先へと移した。まるで、アイオロスと同じものを見ることを拒否するかのように。
それはとてもさりげなく行われ、常人であれば気づかぬ完璧なそぶりであったが、あいにくと射手座のアイオロスは愚鈍ではなかった。
人馬宮へたどり着いた途端に雨が降り出した。
「寄って行かないか」
わずかながらの期待と痛みをこめて、雨宿りを勧めてみたが、案の定サガはそれを辞退し、しとしとと法衣を濡らす小雨のなかを歩き去っていった。
天秤宮を抜ける頃には、雨足も勢いを増し、本格的な降りとなった。
長い髪が雨に濡れてぺたりと頬に張り付くが、サガは頓着せずに歩き続けた。
『変われ』
サガの中から闇が主張する。
『わたしと変われ。何だそのザマは』
闇は怒っていたが、サガは返事をしなかった。歩きながらその髪の色は先端から黒くなりかけるも、すぐに元の色となる。
『…なぜ、考えることをやめてしまったのだ』
諦念とともに、暫くして発せられた問いへの答えは簡潔だった。
「比較してしまうから」
サガは立ち止まらない。真っ直ぐに前をみている。
「考えたら比較してしまう。わたしならどうするだろうかと」
『当たり前だ』
「そのあとお前は…わたしはこう続けるだろう。『わたしならもっと上手くやれる』。あるいは『彼のほうが優れている』と」
周囲に人がいたならば、サガは独り言を呟いているようにしか見えず、正気を疑われるに違いない。幸いなことに夕刻をすぎた雨の中、十二宮の公道を通るものは誰もいなかった。
「だから、考えることは彼に一任しようと思う」
『馬鹿な』
闇の声には、どこか焦りが感じられた。
『おまえはあの13年間ですら、決してわたしに思考を譲ろうとはしなかったではないか。最後のさいごで、いつでもわたしの邪魔を』
「アイオロスは信用できる。しかし自分のことは信用できない」
きっぱりと言い放つサガの視線は宙にあったが、実際のところ何も見てはいなかった。
『…完全に侵蝕されてしまったのだな』
闇の声は、それを最後にもう聞こえることはなかった。
いつのまにか目の前には双児宮の門柱が、主を迎えるようにそびえ立っている。
「ただいま」
サガは誰も居ないがらんどうへ呼びかけた。
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駄目サガパターン。
黒サガの恐れる侵蝕については、そのうち改めてちゃんと書いてみたいココロ。
あと、白サガは何気にいつも自分に厳しい延長で黒サガにひどい。