星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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「サガ、サガ、海に行きたい!」
そう言いながら、すっかり準備万端で飛び込んできたのは、青銅の後輩・ペガサスの星矢だ。その後ろから多少遠慮がちに瞬がついてくる。
「星矢、サガにも予定があるのだから、急には難しいのでは」
「無理だったら諦めるけど、今日はお休みだよな?」
突然の闖入者を、リビングで珈琲を飲んでいたカノンは『うるせえぞ』という目で睨み、朝食後の皿を片付けていたサガは目を丸くする。
「先ほど、カミュたちが海水浴へ行くからと、ここ双児宮を通り抜けていったばかりだ。今から追いかければ、一緒に行けるのではないか?」
二人分の食器を棚の中へしまい、振り返ったサガは優しく答える。
水瓶座のカミュがめずらしく氷河と一緒に夏の海へ行くと言うので、微笑ましく見送ったのがほんの数分前のこと。途中でアイザックとも合流予定だという。師弟水入らずではあるが、星矢と瞬であれば皆喜ぶだろう。
「ホントは一緒に行くつもりだったんです。氷河も一緒に行こうと言ってくれていましたし、泳ぐのにうってつけの、とても綺麗ないい場所があるって」
瞬が申し訳なさそうに言い、カノンの方へもぺこりと頭を下げる。
「では、どうして?」
「だって、良く聞いたら『シベリアの海も夏は流氷が減って水がぬるむ』だの『アザラシを捕まえてバーベキューにしよう』とか言ってるんだぜ!俺たちの思ってる海水浴と違う!」
「…ああ、それは違うかもしれないな」
星矢の言い分を、多少遠い目でサガは聞いた。シベリアも夏はそれなりに暑いのだが、カミュたちが暮らすあたりは永久凍土のエリアだ。星矢と瞬が海水浴を楽しむには厳しい気候だろう。
横から瞬も言葉を添える。
「その、カノンならいい場所を知っているのではないかなと…」
「ふむ、そうだな」
サガは頷いた。海将軍だからと言わないのは瞬の配慮に違いない。
弟が後輩たちに頼られているのは、内容がなんであれ、少し嬉しい。
「カノン、どうだ?」
と振り向くと、ちゃんと話は聞いていたのか、ぶっきらぼうながらエーゲ海の無人島の名前を挙げてくれた。海将軍としてのカノンが所持する拠点のひとつで、砂浜も岩場もあるという。
「じゃあ早く行こう!」
「お二人と一緒に海に行けるなんて嬉しいです」
子犬のようにサガへじゃれつく星矢と、控えめな喜びを表現している瞬は、まだまだ子供だ。聖戦時には黄金聖闘士をも上回る力を発揮するようにはとても見えない。
『一緒に行くとはまだ言ってねえ』と言いかけたカノンの頭を小突き、サガは水筒とバスケットを探すために戸棚を開いた。
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