星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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あの人のことをどう思っているかですって?そりゃもう最悪です。
神をたばかり、海闘士たちを騙し、あれだけの災厄を引き起こした男ですからね。しかも、理由が私欲のためだなんて、眩暈がするほど勝手でしょう。大勢の人が死ぬというのに、そんな理由だったんですから。
私たちとて人類の粛清が恐ろしくなかったわけじゃない。それでも、神のおぼしめしと思うからこそ、地上に楽園が訪れると信じて戦えたんです。
はかりごとが明るみに出たとき、フェニックスは「戦う価値もない」って言ってましたけど、私も同感でしたね。殺すほどの価値もありませんでした。
それがまさか生き延びて、アテナとともに聖戦に参加するとは。更におめおめと海将軍に返り咲くとは。あまつさえ、その兄まで押しかけて来るようになるとはね。
あ、最後の厭味は通じたんですか。良かった、聞き流されたらどうしようかと思いました。まあ海皇がお許しになっていることですから、私たちがどうこう言える立場でもないですが、貴方とて聖域では大罪人なのでしょう。大丈夫なんですか、海界なんぞへ頻繁に足を運んで。また何ぞ目論んでいるのかと疑われるのではないですか?
は?心配ありがとう?違いますよ、呆れてるだけです!
だいたいあの人、貴方が生きていたら地上を海に沈めようとまでは思わなかったですよね。いや、本当に。何で貴方がそこで不思議そうな顔をするんですか。
私たちにはそこまで心にかかる相手はいませんでした。友人も家族も祖国も、理想の歯止めにはならなかった。全てが清められるなら、大いなる犠牲は仕方ないと思っていました。
え?ジュリアン様?ポセイドン様ではなく?
ああ…なるほど。貴方の言うとおりですよ。今なら、ジュリアン様が地上にいるとなれば、大洪水の実行に躊躇します。
生きていくうちに、大切な存在というのは生まれもすれば、消えもする。ある時点で大切な相手がいないからといって、地上に価値はないと沈めていいわけなかった。そんなことも私たちは判っていなかった。勝手なのは私もだったんです。
ジュリアン様と水害のあった地域の慰問にまわるうちに、そんな風に思うようになりました。
被災地をまわってみると判りますが、みな大切な者の死を誰かのせいにすることが出来ないんです。『災害』ですから。巡りあわせが悪かった…そう思うしかない。
本当は私たちがやったのです、と何度その場で土下座したくなったことか。
ええ、判っています。そんなことをわざわざ告げて、辛くとも乗り越えようとしている人々の心に、憎しみの種を撒くことなんて出来るわけないですよね。
謝罪すら許されないことが、罰なのだとそのとき感じました。
罰といっても、神罰じゃありません。ポセイドン様は配下の海将軍を罰しはしません。外部からのものではなく、もっとなにか…上手くいえませんけれど、この罰がこころになければ、私は人ではなくなってしまう。そういう罰です。
え、貴方もそう思う?別に同意が欲しかったわけではないのですが…ありがとうございます。
それで、謝罪の許されなかったわたしはフルートを吹きました。このときのために自分は音楽を学んでいたのだと思いました。もし音楽がなかったら、身のうちに吹き荒れる地獄をどうにも出来ず、私は押し潰されるしかなかった。人々を癒す音色で、私も救われたのです。
いや、私のことはどうでもいいんです。こんなこと話すつもりは無かったのに、どうも貴方の前だと調子が狂いますね。
ですから、まあ…あの人のことは、そりゃあ腹は立ちますし、絶対に許してはならないことだとは思っていますけれど、憎いのとは違うんです。
被害者の人たちが誰も憎めないのに、加害者側のひとりである私があの人を憎んでいいわけないでしょう。そういう棚上げはしたくありません。
それに、あの人を見ていると、人は変われるものなんだなと、人間に希望を持てる気がして。例え地上に汚れきった人間しかいなくなってしまっても、きっとそのままに終わりはしないと思えるんです。
ですから、もしもこれから先、私が生きている間にまた海皇様が粛清をお考えになったときには、浄化は必要ございませんと言上するつもりでいます。
あの、何で貴方が頭を下げるんですか。これは私の決めたことで、貴方にも貴方の弟にも関係のないことですから。
あの人と同じ顔でそんな風に微笑まれても、違和感あるだけですから、サガ!
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