星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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サガからロスへのお祝い
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「えーと…」
自らの守護宮である人馬宮に遅い帰宅を果たしたアイオロスは、入り口の柱をくぐったところで立ち塞がっているジェミニを見て、どう反応したものか戸惑った。
ジェミニといっても、サガやカノンではない。中身のない抜け殻の双子座聖衣が人の形をとっているのだ。見るのは初めてだけれども、これは噂に聞く双子座聖衣の遠隔操作とやらだろう。
「サガ、だよね?」
そう尋ねたのは、こういう突飛な事をするのが、カノンではなくサガであろうという、失礼ながら正確な予測を立てたからだった。
案の定ジェミニは頷き、小さなカードを渡してくる。目を落すと流暢なサガの字で「誕生日おめでとう」と書かれていた。
「……」
無言になったアイオロスの前で、帽子を脱ぐようにジェミニはヘッドパーツを取った。頭のない空洞の聖衣が、ヘッドパーツの中に手を入れている。
サガには申し訳ないけれども、まるでマジックショーの出張公演のようだとアイオロスは思った。異次元空間を操る双子座なら、タネや仕掛けなどなくとも、トランプやハトを出し放題だろう。ジェミニはヘッドパーツの中から、リボンで結ばれた小さな箱を取り出した。差し出してきたので、アイオロスはそれも受け取った。
(なかなかにシュールな光景だなあ)
無言のままのアイオロスの前で、ジェミニはまたヘッドパーツに手を入れた。今度は何が出てくるのだろうと待っていると、小さな花束が現れた。派手ではないが、食卓に飾るのにちょうど良いような、温かみのある白の花束だ。
アイオロスは先ほどから笑い出したいのを必死で堪えていた。
こんなことをしているサガの心情を考えると、笑うのが悪いので、一生懸命抑えているのだ。
おそらくサガは、自分に合わせる顔がないだとか、皆が祝い終わった最後にひっそりと影ながら祝福できればいいのだとか、そんな風に考えているに違いない。
(真面目なサガが、公私を混同して聖衣を俺のお祝いのために使ってくれたというのは、その事だけでもプレゼントに値するよね)
しかし、笑い出したいほどおかしく、そして嬉しいアイオロスと違い、今頃サガはアイオロスを殺した晩を振り返りながら自分を卑下しているに違いないのだ。
花束を受け取りつつ、アイオロスはジェミニへにこりと笑った。
「なあ、その何でも出てくる異次元から、俺の1番ほしいものを出してくれるか?」
アイオロスの言葉を聞いて、ジェミニの動きが戸惑うように止まる。
サガなら多分、いま突然どんなものを要求しても、能力と才能を駆使しまくり、その物品を用意しようとしてくれるだろう。
待ち構えている様子のジェミニへ向かって、アイオロスはきっぱりと告げた。

「サガを出してくれ」

受け取った花束とリボン付きの箱を抱え、アイオロスはニコニコとジェミニの前で待っている。叶えないのは許さないよという意志は、その態度で伝わっているだろう。
サガがどうやって現れるのか、アイオロスはワクワクしながら動きの止まったジェミニを見つめた。

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メール返信が滞っていてすみません(>x<;)明日には…!
そしてぱちぱち有難う御座います!出勤前のカンフル剤です!

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