星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
サガ→カノンでサガ→カーサという、例によってありえない捏造関係。
それでもオケという奇特な同士のみどうぞ(汗)
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海界での空は海面にあたる。それなりに深度があるはずの海の底に、水の層を透かして太陽の光が揺らめくのは、異界だからとしか言いようがない。
薄く色づいた青の光が、やわらかく白の神殿を染める。
南氷洋の主カーサは、その神殿の下で溜息をついた。
「何か、悩み事でも?」
玲瓏たる声で尋ねたのは、溜息の元凶である双子座のサガ。
声だけでなく、見目かたちも神の造形と評される美しい男。
かつて海界と対立していた聖域の黄金聖闘士であるにも関わらず、平気で海将軍神殿へ乗り込んでくる神経の太さは、その清楚な面持ちからは一見うかがい知る事が出来ない。
(アンタのせいだよ)
心の声を口にする事はせず、カーサはもう1度溜息をつく。
この美貌の聖闘士は、海将軍筆頭・カノンの双子の兄だ。
カノンはかつて海神ポセイドンを謀り、サガは女神へ刃を向けたという。兄弟揃って、迷惑な性格をしていたのだ。
いや、過去形にするのは正しくないかもしれない。
少なくとも自分に関しては。
「何でもない」
「本当に?」
サガはふわりとカーサの顔を覗き込む。近くで見ても端正な顔だ。だが、いくら整った顔立ちであっても、カーサは興味がなかった。
その入れ物の方には。
カーサは他人の心を暴くリュムナデスだ。
敵の心をあさり、もっとも愛する人間の姿を写し取る。そして、もっとも効果的に相手を無防備とする言葉を探す。
だから、興味があるのは外面ではなく、その中身。
数えきれぬほど多くの人間の精神を覗いてきたカーサをもってしても、サガは特異な人間だった。
「ならば、いつものように頼む」
万人を魅了する微笑もくせものだ。サガは二重人格者であるが、笑顔の裏に悪意が隠されているような、そんな単純な構造であれば恐ろしくは無い。
大抵の場合、サガは光と闇で構成されている。今のサガは光だ。
「アンタ、いつも当たり前のようにモノを頼むなあ」
「だが、いつも聞き入れてくれるだろう?」
サガの両手がカーサの頬を包む。彼は元教皇でもあったという(『偽の』ではあるが)。己の口から吐かれた言葉が、他人によって実行されることに慣れすぎているのではあるまいか。
ふう、とカーサは姿を変えた。
そこに現れたのは、サガと瓜二つの似姿。
しかしサガではない。彼の弟のカノンのほうだ。
リュムナデスの術によって、サガの心から映し出されたカノンは、中身までもカノンそのままに呆れの表情をみせる。
「兄さん、こんなことはもう止めたらどうだ」
「何故?」
サガはカノンの手を引く。ソファーへと弟を座らせ、自分はその隣へと腰を下ろす。肩を寄せ合う。
手を重ねるが何をするでもない、ただそれだけの時間。
だが、カノンは顔をゆがめた。
「本物に頼めよ、こういうことは」
「カーサ。折角100%同じに化けているのに、何故素の言葉で話す」
まるで、カーサの方が悪いかのように拗ねるから性質が悪い。
カノンの肩へ、サガは頭を乗せた。
「しかし、アンタがこうしたいのは俺ではなく、カノンだろう」
カノンの顔がカノンの声で、兄を諭す。
「何を馬鹿な」
サガはくすりと笑った。その妙に生活感のない明るさが、空っぽの冷蔵庫を思い起こさせる。
「カノンは血を分けた弟だぞ。弟に想いを寄せることなど、あるわけなかろう」
「じゃあ何で、俺をカノンに化けさせるのだ」
「カノンを裏切りたくない」
言っている事が、支離滅裂だ。
黙っってしまった弟に代わり、訥々と兄は話し続ける。
「弟を裏切らずに、他人を愛そうと思ったら、こうするしかないではないか」
「……」
「カノンは言うのだ。他人を愛する事を覚えろと」
「……」
「私にはお前しかいないのだよ、カーサ」
それは確かに、サガの望みを叶えようと思ったならば、世界広しといえども、他人を写し取るリュムナデスを相手にする以外ないだろうとは思うが。
光であり、善でありながら、闇を体現するサガは化け物だ。
降りかかった火の粉を被る羽目になっているカーサは、この後のサガとの半日を思い、また溜息を付いた。
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カーサ×サガとかまたマニアックな方向でごめんなさい。
でも好きなんだもん(>ω<)!
それでもオケという奇特な同士のみどうぞ(汗)
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海界での空は海面にあたる。それなりに深度があるはずの海の底に、水の層を透かして太陽の光が揺らめくのは、異界だからとしか言いようがない。
薄く色づいた青の光が、やわらかく白の神殿を染める。
南氷洋の主カーサは、その神殿の下で溜息をついた。
「何か、悩み事でも?」
玲瓏たる声で尋ねたのは、溜息の元凶である双子座のサガ。
声だけでなく、見目かたちも神の造形と評される美しい男。
かつて海界と対立していた聖域の黄金聖闘士であるにも関わらず、平気で海将軍神殿へ乗り込んでくる神経の太さは、その清楚な面持ちからは一見うかがい知る事が出来ない。
(アンタのせいだよ)
心の声を口にする事はせず、カーサはもう1度溜息をつく。
この美貌の聖闘士は、海将軍筆頭・カノンの双子の兄だ。
カノンはかつて海神ポセイドンを謀り、サガは女神へ刃を向けたという。兄弟揃って、迷惑な性格をしていたのだ。
いや、過去形にするのは正しくないかもしれない。
少なくとも自分に関しては。
「何でもない」
「本当に?」
サガはふわりとカーサの顔を覗き込む。近くで見ても端正な顔だ。だが、いくら整った顔立ちであっても、カーサは興味がなかった。
その入れ物の方には。
カーサは他人の心を暴くリュムナデスだ。
敵の心をあさり、もっとも愛する人間の姿を写し取る。そして、もっとも効果的に相手を無防備とする言葉を探す。
だから、興味があるのは外面ではなく、その中身。
数えきれぬほど多くの人間の精神を覗いてきたカーサをもってしても、サガは特異な人間だった。
「ならば、いつものように頼む」
万人を魅了する微笑もくせものだ。サガは二重人格者であるが、笑顔の裏に悪意が隠されているような、そんな単純な構造であれば恐ろしくは無い。
大抵の場合、サガは光と闇で構成されている。今のサガは光だ。
「アンタ、いつも当たり前のようにモノを頼むなあ」
「だが、いつも聞き入れてくれるだろう?」
サガの両手がカーサの頬を包む。彼は元教皇でもあったという(『偽の』ではあるが)。己の口から吐かれた言葉が、他人によって実行されることに慣れすぎているのではあるまいか。
ふう、とカーサは姿を変えた。
そこに現れたのは、サガと瓜二つの似姿。
しかしサガではない。彼の弟のカノンのほうだ。
リュムナデスの術によって、サガの心から映し出されたカノンは、中身までもカノンそのままに呆れの表情をみせる。
「兄さん、こんなことはもう止めたらどうだ」
「何故?」
サガはカノンの手を引く。ソファーへと弟を座らせ、自分はその隣へと腰を下ろす。肩を寄せ合う。
手を重ねるが何をするでもない、ただそれだけの時間。
だが、カノンは顔をゆがめた。
「本物に頼めよ、こういうことは」
「カーサ。折角100%同じに化けているのに、何故素の言葉で話す」
まるで、カーサの方が悪いかのように拗ねるから性質が悪い。
カノンの肩へ、サガは頭を乗せた。
「しかし、アンタがこうしたいのは俺ではなく、カノンだろう」
カノンの顔がカノンの声で、兄を諭す。
「何を馬鹿な」
サガはくすりと笑った。その妙に生活感のない明るさが、空っぽの冷蔵庫を思い起こさせる。
「カノンは血を分けた弟だぞ。弟に想いを寄せることなど、あるわけなかろう」
「じゃあ何で、俺をカノンに化けさせるのだ」
「カノンを裏切りたくない」
言っている事が、支離滅裂だ。
黙っってしまった弟に代わり、訥々と兄は話し続ける。
「弟を裏切らずに、他人を愛そうと思ったら、こうするしかないではないか」
「……」
「カノンは言うのだ。他人を愛する事を覚えろと」
「……」
「私にはお前しかいないのだよ、カーサ」
それは確かに、サガの望みを叶えようと思ったならば、世界広しといえども、他人を写し取るリュムナデスを相手にする以外ないだろうとは思うが。
光であり、善でありながら、闇を体現するサガは化け物だ。
降りかかった火の粉を被る羽目になっているカーサは、この後のサガとの半日を思い、また溜息を付いた。
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カーサ×サガとかまたマニアックな方向でごめんなさい。
でも好きなんだもん(>ω<)!