星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
鎖のついた手枷に、足輪と首輪。
虜囚であることを示すそれらは、黄金聖衣と同じ素材で作られており、それがために装飾品であるかのような気品も見せてはいるが、痛々しいことに変わりはない。しかも身に付けているのが教皇すら勤めた黄金聖闘士とあってはなおさらである。
「茶番だ」
サガが目の前で何度目かのため息をついた。じゃらりと鎖が音を立てたが、彼の優雅さが損なわれることはない。
「まあ、そうだね」
アイオロスはにこりと笑った。サガの言うとおり、これはデモンストレーションの意味合いが強い処置だ。
聖戦後、体制の立て直しと同時に13年間の総決算も求められたアイオロスは、サガを罪人扱いとし、見せしめのために枷を課した。それによってサガの小宇宙を封じただけでなく、衆人のまえで幻朧魔皇拳までかけた。その上で尋問を受けさせたのだ。
黄金聖闘士たちは難色をしめしたものの、反対をしなかったのはアイオロスの意図が理解できたからであった。
すなわち
『サガが言い訳のために嘘をつくとは思わないけど、サガを信じない人たちもいるからね。私が魔拳で支配した上での聞き取り調査なら、信頼性も高まるだろうし、文句も出ないだろう』
という意図である。むしろサガを護るための処置であることがみえみえすぎて、黄金仲間内の目は生暖かいほどであった。
しかし、そんな思惑の見えない雑兵や神官たちのあいだでは同情論が巻き起こり、一部では嘆願の署名が集められているという。もちろんアイオロスの狙い通りである。
それが判っているだけに、当事者のサガとしては自分に甘いと不満なのだった。
「こんな手段はお前らしくない」
じろりとアイオロスを睨むも、アイオロスは涼しい顔だ。こんなサガを見ることが出来るのも『嘘をついてはならない』という幻朧魔皇拳のおかげなのだ。そうでなければ、サガはアイオロスの前で取り澄ました他人向けの仮面を外さない。
「教皇となるなら腹芸の1つも見せろとシオン様もおっしゃったし」
「どこが腹芸だ!このような方法、お前にとっては損でしかないではないか!」
新教皇への不満とはなっていないものの、大らかで懐の広い英雄像のイメージは多少損なわれたと思う。
「教皇の腹芸って、自分の評判のためにするんじゃないだろう?聖域全体のことを考えてするものだろう。それに、ずっときれいな英雄イメージをもたれたままというのも動きにくい」
アイオロスが言い返すと、サガはもぐもぐ言いながらも押し黙った。自分への処置が甘いことを抜かせば、アイオロスのとった方法はおおむね最善だからである。
「真っ直ぐではあるけれども、ちょっと思慮の行き届かない新米教皇の補佐には、やはりサガの力が必要だ…って声が出てくるまで、もう少しだと思うんだよ」
「シオン様は一体お前にどういう教皇教育をしているのだ」
サガはまだおかんむりだ。アイオロスには、出来れば正道を行って欲しいのであった。策略などアイオロスに似合わないことこの上ない。
「じゃ、君が正式に俺の補佐になったら、そういうのを全部引き受けてくれる?」
「…補佐に権限をあまり持たせるな」
「だろう?」
にこにことサガへ笑いかけると、サガは顔を赤くして視線を逸らした。照れてのものではない。アイオロスから何故ここまで好意を向けられているのか、まったく理解できていないため、戸惑っているのだ。
今までの取り繕ったサガであったならば、そうした心の変遷は表面にでることなく、流れていっただろう。本来カノンあたりしか見ることの出来ないサガの素顔を、幻朧魔皇拳によって表へ強制的に出していることへの呵責は、こっそり胸の奥にしまっておく。
「サガ、もう少し近くに来て」
逆らうことの出来ないサガは、アイオロスの意図はわからぬままに、そっと寄り添ってくる。その瞳に少しだけ警戒の色が混じる。
そんなサガへ、アイオロスは秘密を囁くようにそっと顔を寄せた。
「今度こそ、二人で聖域のために頑張ろうね」
そう言うと、サガは目を丸くしてからゆっくりと頷いた。
=============================
サガはアイオロスのことを好きでも、その好意を自覚するまでには相当時間がかかるタイプだと思います(>ω<)
そんなサガを少しずつ篭絡していくアイオロス下さい。
今日もぱちぱち有難うございます!D様、夜にお返事させて下さい(^▽^)
虜囚であることを示すそれらは、黄金聖衣と同じ素材で作られており、それがために装飾品であるかのような気品も見せてはいるが、痛々しいことに変わりはない。しかも身に付けているのが教皇すら勤めた黄金聖闘士とあってはなおさらである。
「茶番だ」
サガが目の前で何度目かのため息をついた。じゃらりと鎖が音を立てたが、彼の優雅さが損なわれることはない。
「まあ、そうだね」
アイオロスはにこりと笑った。サガの言うとおり、これはデモンストレーションの意味合いが強い処置だ。
聖戦後、体制の立て直しと同時に13年間の総決算も求められたアイオロスは、サガを罪人扱いとし、見せしめのために枷を課した。それによってサガの小宇宙を封じただけでなく、衆人のまえで幻朧魔皇拳までかけた。その上で尋問を受けさせたのだ。
黄金聖闘士たちは難色をしめしたものの、反対をしなかったのはアイオロスの意図が理解できたからであった。
すなわち
『サガが言い訳のために嘘をつくとは思わないけど、サガを信じない人たちもいるからね。私が魔拳で支配した上での聞き取り調査なら、信頼性も高まるだろうし、文句も出ないだろう』
という意図である。むしろサガを護るための処置であることがみえみえすぎて、黄金仲間内の目は生暖かいほどであった。
しかし、そんな思惑の見えない雑兵や神官たちのあいだでは同情論が巻き起こり、一部では嘆願の署名が集められているという。もちろんアイオロスの狙い通りである。
それが判っているだけに、当事者のサガとしては自分に甘いと不満なのだった。
「こんな手段はお前らしくない」
じろりとアイオロスを睨むも、アイオロスは涼しい顔だ。こんなサガを見ることが出来るのも『嘘をついてはならない』という幻朧魔皇拳のおかげなのだ。そうでなければ、サガはアイオロスの前で取り澄ました他人向けの仮面を外さない。
「教皇となるなら腹芸の1つも見せろとシオン様もおっしゃったし」
「どこが腹芸だ!このような方法、お前にとっては損でしかないではないか!」
新教皇への不満とはなっていないものの、大らかで懐の広い英雄像のイメージは多少損なわれたと思う。
「教皇の腹芸って、自分の評判のためにするんじゃないだろう?聖域全体のことを考えてするものだろう。それに、ずっときれいな英雄イメージをもたれたままというのも動きにくい」
アイオロスが言い返すと、サガはもぐもぐ言いながらも押し黙った。自分への処置が甘いことを抜かせば、アイオロスのとった方法はおおむね最善だからである。
「真っ直ぐではあるけれども、ちょっと思慮の行き届かない新米教皇の補佐には、やはりサガの力が必要だ…って声が出てくるまで、もう少しだと思うんだよ」
「シオン様は一体お前にどういう教皇教育をしているのだ」
サガはまだおかんむりだ。アイオロスには、出来れば正道を行って欲しいのであった。策略などアイオロスに似合わないことこの上ない。
「じゃ、君が正式に俺の補佐になったら、そういうのを全部引き受けてくれる?」
「…補佐に権限をあまり持たせるな」
「だろう?」
にこにことサガへ笑いかけると、サガは顔を赤くして視線を逸らした。照れてのものではない。アイオロスから何故ここまで好意を向けられているのか、まったく理解できていないため、戸惑っているのだ。
今までの取り繕ったサガであったならば、そうした心の変遷は表面にでることなく、流れていっただろう。本来カノンあたりしか見ることの出来ないサガの素顔を、幻朧魔皇拳によって表へ強制的に出していることへの呵責は、こっそり胸の奥にしまっておく。
「サガ、もう少し近くに来て」
逆らうことの出来ないサガは、アイオロスの意図はわからぬままに、そっと寄り添ってくる。その瞳に少しだけ警戒の色が混じる。
そんなサガへ、アイオロスは秘密を囁くようにそっと顔を寄せた。
「今度こそ、二人で聖域のために頑張ろうね」
そう言うと、サガは目を丸くしてからゆっくりと頷いた。
=============================
サガはアイオロスのことを好きでも、その好意を自覚するまでには相当時間がかかるタイプだと思います(>ω<)
そんなサガを少しずつ篭絡していくアイオロス下さい。
今日もぱちぱち有難うございます!D様、夜にお返事させて下さい(^▽^)