時の栖の光のトンネルを見に行ってきました。
このエリアへ向かう道に、お地蔵さんが立ち並ぶ「千三百地蔵ありがた山」というゾーンがあるのですが、このお地蔵さんはお金を出すとオーナーになれるらしく、足元にそれぞれのオーナーらしき個人名が書いてあるんですね。
何気なく見ていたら、突然「ラダ様」と書かれたプレートがあってどうしようかと思いました。よく見ると「Mラダ様」だったんですが(一応個人名らしいので苗字はイニシャルに変えて「Mラダ様」とさせて頂きます)
…でも本名じゃないですよねこれ。
私の脳内では1秒くらいで『ラダとカノンが時の栖へデートに来て、なぜかメインの光のトンネルではなく地蔵を気に入ったカノンのために、ラダがオーナーになって名を残した』という物語が捏造されておりました(ごめんなさいMラダさん)。
アスぷとデフテロスが光のトンネルへデートに来た場合、意外とアスプロスが感動しそうな印象。デフテロスの方は、綺麗なものだなと思いつつクールで、なおかつ『アスプロスのほうが輝いている』という内心の声がダダ漏れの気がします。すいません、いま時代設定をマーベラスルームへ放り込みました。
いつも後ろから自分を見てた弟が、隣に立って歩くというだけで、アスぷからすると視点の違いが新鮮に違いない!でもアスぷはそれはそれとして「LEDランプ推定○万個で電気代は幾らだな。聖域で同じ事をした場合電力が間に合わん」という色気の無い計算をしてそうです。
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デフテロスは足を止めた。アスプロスが追いついてくるのを待つためだ。
もう何度足を止めたろう。それほど早く歩いているつもりはないのだが、気づくと兄が一歩後ろにいる。
いま二人はカノン島の村ではなく、ギリシア本土にある大きめの町へ買い物に来ていた。
必要な買い物はほとんど終えて、あとは帰るのみとなっている。
ちなみに重い方の荷物はデフテロスが持っているので、アスプロスの歩調の遅さはそのせいとは考えにくい。いや、聖闘士であれば、今の荷物が10倍の重さであったところで、片手で軽々と運ぶだろう。
(…アスプロスは俺と並んで歩くのが嫌なのだろうか。それとも過去の意趣返しか?)
つい、否定的に考えてしまい、すぐに脳内で否定したものの、疑問と寂しさを含んだ視線がその分強くなる。
振り向いたその視線に気づいたのか、アスプロスは目をしばたかせ、慌てて近づいてきた。
「お前の方が前にいても、そんな視線をするのだな…いや、俺がそうさせてしまったのか」
思ったままを口にするアスプロスは、ある意味以前より遠慮もない。
「すまん、お前の背中が珍しくて、つい眺めていた。他人の後塵を拝するのは許せんが、お前の後ろを歩くことは気にならないのも不思議でな」
すっかり追いついて横へ並んだアスプロスは、片手でばふりとデフテロスの背中を叩いた。
「これだけ広い背中ならば、もう俺の背にかばう必要はなさそうだ」
兄の言葉でデフテロスの視線が緩む。
(大丈夫、本当のアスプロスはいつだって俺の心情を理解し、手を差し伸べてくる)
そうして、過去のトラウマを少しずつ埋めてくれる。
デフテロスは深呼吸をした。
「手を繋ぎたい」
そう伝えると、アスプロスはちょっと上から目線になり『なんだ、やはりまだまだ子供だな』と言いつつも手を差し出してきた。
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「手を繋ぎたい」と言っておいて、このあと腕を組もうとする拙宅デフ。
たまにはアスプロスがデフテロスをうんと甘やかす話を書きたいココロ。