星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
2話の続き。まだサガと海神。今さらですがLC設定混じっております。
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「お、恐れながらそのお姿は一体」
しどろもどろになりながらも、サガは顔を上げることが出来ない。跪いた姿勢ゆえに、顔を上げるとちょうど視界が微妙な位置にあたるのだ。
『なに、気分転換だ』
美しい金髪をさらりとかきあげ、豊満な肢体を惜しげもなく見せ付けるポセイドンに羞恥心などないように見える。見た目の清楚さとは随分なギャップだ。サガは恐る恐る尋ねた。
「全裸になることがですか」
『違うわ!たまには見た目を変えて職場に華やかさを与えてやろうという、福利厚生的配慮よ』
答えを返されたものの、サガにはその配慮とやらが全く理解出来ない。神の考え方はよくわからぬものだと胸裏で零しつつ、それでも話を合わせる。
「女性の姿になることが出来るとは存じ上げませんでした」
『容れ物があったのでな』
そう言われてみると目の前の存在感は幻影などではなく、確かな現実の肉体のものだ。
という事は、この身体も誰かの身体を奪って使っているのだろうか。
「海神の依代はソロ家の直系男子と伺っておりますが…」
思わずサガの口調に非難めいた色が混ざってしまったのは仕方がない。
そんな感情を見通しているのかいないのか、ポセイドンは面白そうにサガを見下ろす。
『それは存命の人間に降りる時の話だ。この身体は数百年ほど昔のブルーグラード領主の娘のもので、海神の力の器として前シードラゴンが用意した遺骸。前水瓶座のつくりし溶けぬ氷柱に埋もれておったゆえ、肉体がそのままに保存されておったのだ』
どこからか攫ってきた女性ではないことに安堵しながらも、耳にする内容はなかなか衝撃的なものではあった。
「用意などと…まるで道具のようではありませんか」
『ただの道具とは思わぬ。これは前シードラゴンの姉の身体』
さらりと海神より告げられた内容に、サガは絶句した。
何があったのかは判らないし、海界の過去に対して聖域の人間が軽々しく口を挟んでよいものではないのかもしれない。それでも、前海龍という言葉が現海龍であるカノンを連想させる。前海龍は何を思い、肉親の遺骸を神へと差し出したのだろうか。
無言でサガは立ち上がり、クローゼットへと向かった。頻繁に訪れるサガのために、何枚かの法衣が着替え用としてそこに収められている。その中から落ち着いた色合いの一着を取り出して、サガはポセイドンの処へ戻る。
「配下の身内であろうと亡くなられていようと、若い女性の身体を勝手に他人が晒すものではありません」
口調は穏やかなものの、反論を許さない言い回しだった。
サガはそのまま手にした法衣を丁寧にポセイドンの頭から被せていく。どこか手つきが優しいのは、相手が神だからという理由ではなく、女性の身体であるからなのだろう。
サガの法衣サイズは当然ながら細身の女性に合わず、裾は引きずる長さであり、袖口は指の先まで隠してしまう。しかし、何もないよりマシだとサガは前留めの掛け金を止め、身なりを整えてやる。
神相手にも遠慮のないサガのこの行動には、ポセイドンも目を丸くしたが、言訳のようにもごもごと返す。
『…仕方あるまい。そもそも裸で保存されておったのだ』
当時はそれでもポセイドンの鱗衣を纏っていたが、神の鎧ををそのままには流石に出来ず、呼び戻した結果の全裸だった。だが、それを目の前のサガには言いにくい。
「未成年の海将軍たちの前へ、そのまま行かぬご配慮があったのは何よりです」
『海将軍たちは、器の外見など気にせぬぞ』
聖域の人間として多少は客観的に見ているサガからしても、カノンや海将軍たちがこの海神を見たときのことを思うと、とても気の毒になった。もしこれがアテナだったとして、臣下を驚かすなどという理由から男性の全裸姿で現れた日には…
それ以上は考えたくもなく、眉間に縦じわをつくりながらサガは目の前のポセイドンに意識を戻す。
「ポセイドン様」
『な、何だ』
「そのような理由でその身体をお使いになるのなら、せめてその女性に相応しく美しく装うのが礼儀です」
『う…しかし』
「職場に華やかさをとおっしゃったのは貴方ではありませんか」
『確かに申したがな』
「女官たちを呼んで身だしなみを、そうだ、テティスに見立てを頼みましょう。ドレスは何色が宜しいですか。海界ならば真珠や珊瑚の類は最高級のものを選べるとして、あと折角可愛らしいのですから、振る舞いもそれに見合ったものになさるべきです」
『か、可愛い!?』
サガの面倒見の良さは対象を限定しない。たとえ相手が他陣営の神であろうとだ。その恐ろしさをポセイドンは身をもって知ることとなる。
「可憐と言うべきでしたか?その姿はなかなか魅力的ですよ」
『………お主、天然の女たらしか』
「何かおっしゃいましたか」
『いや、何も』
「いま小宇宙でテティスを呼んでおりますので」
悪意はまったく介在していなかったが、混沌を喚ぶ者とクロノスの称したサガの介入により、当初の海神の目的からはどんどん離れた方向へ事態は流れてゆくのだった。
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勢いに任せて書いていたらおかしな方向に。
ぱちぱち有難う御座います!元気の源です!
返信は次回ブログにてさせて下さいね(^▽^)!
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「お、恐れながらそのお姿は一体」
しどろもどろになりながらも、サガは顔を上げることが出来ない。跪いた姿勢ゆえに、顔を上げるとちょうど視界が微妙な位置にあたるのだ。
『なに、気分転換だ』
美しい金髪をさらりとかきあげ、豊満な肢体を惜しげもなく見せ付けるポセイドンに羞恥心などないように見える。見た目の清楚さとは随分なギャップだ。サガは恐る恐る尋ねた。
「全裸になることがですか」
『違うわ!たまには見た目を変えて職場に華やかさを与えてやろうという、福利厚生的配慮よ』
答えを返されたものの、サガにはその配慮とやらが全く理解出来ない。神の考え方はよくわからぬものだと胸裏で零しつつ、それでも話を合わせる。
「女性の姿になることが出来るとは存じ上げませんでした」
『容れ物があったのでな』
そう言われてみると目の前の存在感は幻影などではなく、確かな現実の肉体のものだ。
という事は、この身体も誰かの身体を奪って使っているのだろうか。
「海神の依代はソロ家の直系男子と伺っておりますが…」
思わずサガの口調に非難めいた色が混ざってしまったのは仕方がない。
そんな感情を見通しているのかいないのか、ポセイドンは面白そうにサガを見下ろす。
『それは存命の人間に降りる時の話だ。この身体は数百年ほど昔のブルーグラード領主の娘のもので、海神の力の器として前シードラゴンが用意した遺骸。前水瓶座のつくりし溶けぬ氷柱に埋もれておったゆえ、肉体がそのままに保存されておったのだ』
どこからか攫ってきた女性ではないことに安堵しながらも、耳にする内容はなかなか衝撃的なものではあった。
「用意などと…まるで道具のようではありませんか」
『ただの道具とは思わぬ。これは前シードラゴンの姉の身体』
さらりと海神より告げられた内容に、サガは絶句した。
何があったのかは判らないし、海界の過去に対して聖域の人間が軽々しく口を挟んでよいものではないのかもしれない。それでも、前海龍という言葉が現海龍であるカノンを連想させる。前海龍は何を思い、肉親の遺骸を神へと差し出したのだろうか。
無言でサガは立ち上がり、クローゼットへと向かった。頻繁に訪れるサガのために、何枚かの法衣が着替え用としてそこに収められている。その中から落ち着いた色合いの一着を取り出して、サガはポセイドンの処へ戻る。
「配下の身内であろうと亡くなられていようと、若い女性の身体を勝手に他人が晒すものではありません」
口調は穏やかなものの、反論を許さない言い回しだった。
サガはそのまま手にした法衣を丁寧にポセイドンの頭から被せていく。どこか手つきが優しいのは、相手が神だからという理由ではなく、女性の身体であるからなのだろう。
サガの法衣サイズは当然ながら細身の女性に合わず、裾は引きずる長さであり、袖口は指の先まで隠してしまう。しかし、何もないよりマシだとサガは前留めの掛け金を止め、身なりを整えてやる。
神相手にも遠慮のないサガのこの行動には、ポセイドンも目を丸くしたが、言訳のようにもごもごと返す。
『…仕方あるまい。そもそも裸で保存されておったのだ』
当時はそれでもポセイドンの鱗衣を纏っていたが、神の鎧ををそのままには流石に出来ず、呼び戻した結果の全裸だった。だが、それを目の前のサガには言いにくい。
「未成年の海将軍たちの前へ、そのまま行かぬご配慮があったのは何よりです」
『海将軍たちは、器の外見など気にせぬぞ』
聖域の人間として多少は客観的に見ているサガからしても、カノンや海将軍たちがこの海神を見たときのことを思うと、とても気の毒になった。もしこれがアテナだったとして、臣下を驚かすなどという理由から男性の全裸姿で現れた日には…
それ以上は考えたくもなく、眉間に縦じわをつくりながらサガは目の前のポセイドンに意識を戻す。
「ポセイドン様」
『な、何だ』
「そのような理由でその身体をお使いになるのなら、せめてその女性に相応しく美しく装うのが礼儀です」
『う…しかし』
「職場に華やかさをとおっしゃったのは貴方ではありませんか」
『確かに申したがな』
「女官たちを呼んで身だしなみを、そうだ、テティスに見立てを頼みましょう。ドレスは何色が宜しいですか。海界ならば真珠や珊瑚の類は最高級のものを選べるとして、あと折角可愛らしいのですから、振る舞いもそれに見合ったものになさるべきです」
『か、可愛い!?』
サガの面倒見の良さは対象を限定しない。たとえ相手が他陣営の神であろうとだ。その恐ろしさをポセイドンは身をもって知ることとなる。
「可憐と言うべきでしたか?その姿はなかなか魅力的ですよ」
『………お主、天然の女たらしか』
「何かおっしゃいましたか」
『いや、何も』
「いま小宇宙でテティスを呼んでおりますので」
悪意はまったく介在していなかったが、混沌を喚ぶ者とクロノスの称したサガの介入により、当初の海神の目的からはどんどん離れた方向へ事態は流れてゆくのだった。
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勢いに任せて書いていたらおかしな方向に。
ぱちぱち有難う御座います!元気の源です!
返信は次回ブログにてさせて下さいね(^▽^)!