星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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双児宮の居住エリアで、ソファーに腰を掛けて本をめくっていたサガは、己のもとへ向かってくる何かを感じて顔をあげた。
それはかなりのスピードで近づいてくる。だが、攻撃的な意思は全く感じない。
サガは首をかしげながらそれを探った。大きさはそれほどでもない。矢のように飛来するそれは、優雅で品のある小宇宙に包まれていて、すぐに近しい同僚の顔を思い浮かばせた。
(アフロディーテが何かを飛ばしたのか?)
下宮からのものであれば警戒を怠らないが、上宮から、しかも相手がアフロディーテならば、害のあるものではないだろう。
大人しく待っていると、一輪のサーモンピンク色をした薔薇が、器用に柱の間を曲がりながら飛んできて、すとんとサガの膝の上に落ちた。そして、同時に魚座の後輩から小宇宙通信が入る。
『届いたでしょうか』
『ああ、綺麗な薔薇だな。これは何の実験だろう?』
『宮を越えての攻撃は、どのあたりまで可能かと思って、薔薇を飛ばしてみたのですが…やはり貴方のようにはいかないようだ』
かつてハーデスの走狗として蘇ったサガが、双児宮から教皇宮のカノンのもとまで、幾多もの宮を越えて攻撃をしかけたことを言っているに違いない。苦笑しながらサガは答える。
『指向性の攻撃エネルギーそのものであったわたしの技と違い、お前の薔薇はサイコキネシスと小宇宙で操っているのだろう。これほど離れては、ムウでもなければ黄金聖闘士を殺傷できるだけの物理力を付加するのは難しいぞ』
決してアフロディーテの技が弱いわけではない。属性の差異だ。
それに、物理的攻撃力としては低いかもしれないが、これが毒薔薇であったなら、数本も飛ばされれば通常の相手は知らぬうちに弱り、倒れる羽目になると思われる。
それ以前に、どうみてもアフロディーテは本気を出していない。
『まあ、その薔薇は名前からして、わたしの手に余る種類でしたので』
肩をすくめている様子が、アフロディーテの小宇宙を通じて目に見えるように伝わってくる。
『どのような名前なのだ?』
『カノン(花音)という品種です。扱いにくいので、貴方に差し上げます』
サガは目を丸くしてその薔薇を手にとった。
かなりの大輪で、顔を近づけると爽やかな香りが強く存在を主張する。
最初からこれを自分に届けることが目的だったのだろうに、アフロディーテは時折このように天邪鬼なやりかたをした。それもサガに対してだけ。
長年付き合ってきたサガは、それがアフロディーテが自分にのみ見せてくれる懐き方だと知っていたので、穏やかに微笑んだ。
『…ありがとう、大切にする』
『それはそれで少し腹が立ちますが』
『お前の贈り物だからだよ』
心からのサガのいらえを聞いたアフロディーテは、しばし無言になったあと、誕生日おめでとうございますとサガへ伝えた。

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アフロからサガへ。
サガとアフロディーテの組合せは美しくてホント目の保養だと思います。
普段はカノンに対してぞんざいなように見えるアフロディーテですが、サガにとって何が大切なのかはちゃんと理解してる良く出来た後輩さんです。

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