星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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エピ0ネタ含むサガとアイオロス
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人の気配を感じて、サガは目を開けた。
ここは双児宮の入り口ちかくの通路で、日当たりも良く、サガのお気にいりの場所だ。空いた時間などには、柱の根元に腰を下ろして思索にふけったり、漫然と景色を眺めて過ごすことも多い。
時にうたた寝を楽しむこともあるが、通行人がやってくるとなれば、敷地に入る前から察知して眼を覚ます。そうでなければ、宮の守護は務まらない。
だが、動くこともなく侵入者を迎えたのは、感じ取った相手の小宇宙が、旧知の友のものだからであった。射手座のアイオロス。かつて汚名を被せて殺した相手は、近づくにつれ、公道の真ん中を外れてサガの方へと行先を変えた。
「やあサガ、今日の目覚めはいいようだな」
アイオロスは親しげに話しかけてくる。サガは柱を背にしたまま見上げて苦笑した。
「寝ていないぞ」
「そうだな。寝起きのお前を見ることが出来たのは、1度くらいしかない」
確かにサガが人前で寝姿をさらすことはまれである。十数年前、己の中の悪心に悩まされ憔悴していたころに、ここで少し休むつもりが意識を落としてしまった事があった。結局悪夢で眼を覚まし、その時にアイオロスが心配をしてくれたのだ。
おまえは教皇となる大事な身体であるからと。
サガの笑みはさらに苦いものを含んだ。そのときの話であることは明白であった。
「あのときは、すまない」
「いいのだ。もうおまえは逃げないのだから」
アイオロスは、自然なしぐさで隣へ腰を落とす。
言葉でも、行動でも、逃がすつもりがないではないかとサガは思ったが、「顔に出ているぞ」と言われたので「顔に出したのだ」と言い返した。
そこでようやく二人は昔のように表情を緩めた。
しばらくの無言のあと、先に語りかけたのはサガであった。
「…あの頃のわたしは、本当の自分を、お前に見せることができなかった」
アイオロスは黙って友の言葉に耳を傾けている。
「おまえに、失望されたくなかった」
「……」
「おまえの尊敬に相応しい人間になりたかった」
「……」
「そんなつまらない私情のために、邪心の暴走をゆるし、お前やシオン様を死なせてしまった」
「……」
「すまない。わたしは、おまえの友として、相応しい人間ではない」
ゆっくりと、しかし淀みなく言い切り、サガは前を向いた。宮の門構えの向こうに、十二宮の岩肌と、まばらに緑なす低木が見える。
横で今度はアイオロスが苦笑した。
「サガ、私は…いや、俺は、今でもおまえの性根の美しさを、友として誇りに思っている」
「……」
「俺は、人を見る目には自信があるぞ」
「……」
「それに、俺たちの苦難は、きっと意味のあることなのだ」
アイオロスは少しだけ隣へにじり寄ると、サガの顔を覗き込む。
「また、やりなおそう」
「……おまえは」
一拍おいて、サガが深呼吸ののちに応える。
「…わたしに甘すぎる」
自然と触れ合った互いの手は、小指を絡ませて約束の形をとった。

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…という甘酸っぱい友情のやりとりが、双子宮の入り口近辺でなされていたために、外出できなくてイライラしていたカノンが、同じく通行を遠慮していた蟹に八つ当たりして飲み会が始まる話の方がメインだったんです本当は(>M<)

今日もぱちぱち有難うございます!毎日の元気の素です!
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