遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。以下は新年早々サガv女神妄想という…
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「『しろいうさぎとくろいうさぎ』という絵本を知っていますか?」
新年の挨拶でアテナ神殿を訪れた白サガへ、沙織はにこにこと話しかけた。
突然の話題にサガは心のなかで首を捻ったが、アテナが日本育ちであることと、例年の星矢の年賀訪問によって得ていた十二支の知識により、おそらく卯年に関係があることなのだろうと予測を立てる。
沙織の尋ねた絵本は有名だ。しかしサガはそれを教養としてでなく、かつてロドリオ村や聖域の幼い子供たちに読み聞かせた物語や絵本の1つとして記憶にとどめていた。
「はい、確か白いうさぎと黒いうさぎが結婚するお話であったかと」
「サガも知っているのですね。わたしはあの絵本が大好きなの。だから今年の年賀状はその絵本をモチーフにして手作りしてみたのです」
胸の前で手を合わせ、ぱあっと嬉しそうに話す沙織は、年相応の少女のようにみえてサガも微笑む。
沙織は優雅な手つきで葉書をとりだし、サガへと手渡した。
「直接渡してごめんなさいね。郵便で出しても、双児宮には届かないと思いますし、そもそも年賀状の概念が浸透しておりませんから、元旦の朝に届かないのではないかと心配で」
「いいえ、御身みずからお渡し下さることのほうが…」
言いかけてサガの手が止まった。受け取った葉書の内容が目に入ったからだ。
葉書はインクジェット用のもので、言葉どおり沙織が自ら印刷したものなのだろう。裏面には写真がプリントされていた。
うさ耳を生やした白いドレスの沙織と、対照的な黒サガとのツーショット写真が。
「………恐れながらアテナ。これは一体」
心なしか1段階低く震える声で、そっとサガが尋ねる。しかしアテナはそれに気づかぬまま、楽しそうに説明を始めた。
「これは以前、わたしと黒髪の方のあなたとでイメージ戦略を展開するためにうさ耳を付けたときの写真です。先日あなたが黒かったときに、この写真を使っていいか確認したら『好きにしろ』と言ってくれたので、加工させてもらいました。良く撮れているでしょう?」
「…ええ……まあ…よくアレがカメラを向けることを許しましたね」
「カメラで写したのではありません」
「ビデオですか?」
「念写です。あの時のことは鮮明に覚えていますから、映像化するのは簡単でした」
「…それはよろしゅうございました」
「でしょう?なのにシオンったらイロモノ葉書呼ばわりしたのよ!」
「……そうですか」
どんどん棒読み気味になるサガである。そして彼もシオンの言い分が正しいと思っていた。うさ耳姿の女神のほうは素晴らしく可愛らしいが、自分のほうはイロモノだろう。
見えない耳をしょんぼり垂らしているサガを見て、さすがに沙織もサガの様子がおかしいことに気づいたようだ。
「サガ、もしかして迷惑でした?」
「いいえ、そのようなことは」
「ごめんなさい。わたしはサガと恋人うさぎ役で写るのが嬉しくて、つい浮かれてしまったのですけれど…」
「!!!!!」
思いもよらぬ方向性からの発言を受けて、サガが固まる。
おそらく沙織に他意などなく、他愛のない好意ゆえの発言であろうとサガも思うものの、そうなると同じ自分の一面であるとはいえ、黒サガが黒うさぎ役として沙織の隣に並び立つことにたいして少し妬けた。
ただ、そこは腐っても白サガであった。彼は馬鹿正直にその気持ちを吐露した。
「いつか機会があったなら、わたしも一緒に写りたいものです」
沙織は目を丸くしてサガを見つめ返す。それから少し顔を赤くして下を向いた。
「そうですよね。わたしったら彼ばかり写真にして…いつかと言わず、今すぐもう1枚作ります。念写ですもの、簡単ですので少し待ってくださいね」
珍しく大胆に気持ちを表に出したサガもまた赤くなっている。
沙織はその場でアテナとしての神威を発揮し、もう1枚写真のついた葉書をさっそく空から作り出した。
「黒いほうの貴方と同じにするために、貴方の頭にも耳を生やした姿で念写してみたのですけれど…どうでしょう」
ドキドキしながらサガが受け取った年賀状には、うさ耳を生やした白サガと黒サガのツーショット写真が綺麗にプリントされていた。
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今日もぱちぱち有難うございます(>▽<)明日も朝が早いので拍手返信は次回以降にさせてください(ぺこ)萌えるお言葉のお陰で、新年早々パワーを頂いております!