星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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永劫を生きる神からしてみれば、数年単位の時間など一睡にもならない。
当然、4~5年程度は超新婚期間と言って差し支えない。
それゆえに、飽きっぽいタナトスでも結婚生活の体裁が失われることなく、今日までやってきている。
ただ、結婚に至るまでの経緯を思えば、彼が結婚生活の体裁をとっていることだけでも驚くべきことであると言えた。
サガとの結婚はいわば『事故』である。ニンフたちからの行き過ぎた求愛を退けるため、サガを盾にするつもりが、結婚の約束があるかのような状況に追い込まれてしまったのだ。
神は嘘をつくことができず、そのせいで心ならずもサガと結婚することになったというわけである。とんだ本末転倒であった。

「人間を塵芥扱いしていたお前が、よくその人間との生活を続けられたものだな」

ヒュプノスがチェス盤の駒を指先で運びながら呟いた。
その内容についても駒の置かれた先についても、タナトスは顔をしかめながら答える。

「仕方あるまい、形式上であるとはいえ、嫁をおろそかには出来ぬ」
「いつまでこのような茶番を続けるつもりだ」
「あの人間が死ぬまでは続くのではないか?まあ封印をされていた期間に比べれば、わずかな我慢ですむ」

タナトスの返答にヒュプノスはため息をついた。タナトスは本気でそう思っているようである。真面目だからというよりも、死の神らしい素直な単純さによるものなのだが。
死の神としてサガの寿命をさっさと刈り取ってしまおうだとか、そういった絡め手で結婚義務期間を短くする方法は考えていないらしい。

「離婚は考えていないのだな」

ヒュプノスが肩を竦めて零すと、タナトスが思わぬことを聞いたとでもいうように目を丸くした。

「離婚……?」
「神が嘘をつけぬという約定ならば、実際に結婚をしたことで果たしているだろう。あとはお前の自由ではないか?」

タナトスが驚愕の表情となる。

「そ、そのような裏技があろうとは」
「いや普通考えるだろう。そうせぬのはよほどサガが気に入ったからなのだとばかり思っていたが」
「このオレが塵芥を?馬鹿な」
「では別れろ」

ヒュプノスからするとタナトスは自分の対であり、タナトスが玩具を気に入って余所見をしている間はその楽しみを邪魔するつもりはないが、そうでなければ他人がタナトスとの時間を奪うことを許すつもりはない。
タナトスも自分を対と思っているはずであり、提案には即応するだろうとヒュプノスは踏んでいた。
しかし、タナトスは思わぬ曖昧な反応をみせた。

「う、うむ……そうしたほうが良いとは思うのだが、離婚となると塵芥の意志も確認せねば…」

意志の確認を取ろうとする時点で、塵芥扱いではなかろうとヒュプノスは心の中で突っ込む。
玩具だからと見逃していたが、執着を産むほどの玩具になってしまっているのだろうか。あの双子座は。
なんとなく不機嫌になったヒュプノスは、遠慮なくチェスの駒を動かし、チェックメイトを宣言した。
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