星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
[2163]  [2162]  [2161]  [2160]  [2159]  [2158]  [2157]  [2156]  [2155]  [2154]  [2153
「結婚を解消する方法が見つかったぞ」
帰宅早々そのように切り出したタナトスの第一声に、サガは持っていた水差しを取り落とした。
「わたしに何か落ち度が…」
「人間でアテナの聖闘士で男という時点で嫁には不向きだが、それ以外に特に落ち度はない。だがお前もオレの約定に付き合わされていただけだろう?人間には過ぎた暮らしをさせてやったとは思うが、離婚をすればお前を女神の聖域へ追い返せる」
ヒュプノスの前では躊躇していたくせに、本人の前では神として亭主関白な夫として居丈高に振舞おうとするタナトスも、わりあいツンデレ系であった。
サガはうつむいて足元を見た。水差しから零れた水が床に広がっていく。
「……わたしに不満であったのか?」
「不満もなにも、お前は男だからな。嫁は女が良かった」
根っからの女好きのタナトスである。そして嘘がつけぬゆえに正直でもある。
俯いていたサガがさらに萎れた。サガは人間としては最高ランクのスペックを持っており、誰かに己を否定されたことはほとんどない。僅かな例は教皇候補選抜時など黒サガにまつわる事柄であり、白サガ自体は他人に受け入れられるのが当たり前の環境で生きてきたのだ。
それを、性別という訂正しようのない部分で突き放され、サガは打ちのめされるしかなかった。愛情の喪失で打ちのめされたわけではないところが、サガの困ったところだ。
「では、わたしはこの宮を出て行かねばならんな…身支度を整えるゆえ、しばし猶予をもらえまいか」
しおらしく言い出したサガに、タナトスも内心慌てていた。
タナトスからすると、自分はサガに愛情などなくとも、サガからは愛されていると思っていたのだ(根拠はない)。離婚を言い出しても反対され懇願されるであろうという計算でいたから、偉そうに告げてみたのである。こちらもこちらで困ったツンデレであった。
「い、いや、今すぐでなくともいいのだぞ。おまえは不要だが、いなくなるとデスマスクが美味い食事を作りにこなくなるしな」
ちなみにタナトスは女あしらいが大変上手い。ニンフ相手であれば、こんな駄目な台詞は出てこない。さすがのタナトスも男の嫁にかける言葉というのは、ながい人生…神生のなかでも経験のないことだけに、動揺が先立っていた。
この台詞にサガの髪の先が黒くなりはじめる。料理ができないというのはサガの数少ないウィークポイントであり、否定の駄目だしをされたようなものだ。
「……ならばデスマスクと結婚すればよかろう」
「おい、サガ」
「実家に帰らせてもらおうか!」
ショックで引っ込んだ白サガに代わり、黒サガが堂々とタナトスへ言い放った。
ブログ内検索
フリーエリア

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.