今回は誕生日SSでなく、ロス→←サガでサガ→星矢なひととき
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(星矢が神聖衣を発現させた姿を、初めてサガが見た時のあの顔ときたら)
アイオロスはその時のことを思い出して、軽いため息をついた。
(魂を引き込まれているのが、傍から見てもバレバレなくらいポカンとしていて、サガらしくもない無防備さで一心に見つめていたな。そうしてすぐに、サガらしい訓戒を与えつつも、手放しで嬉しそうに賞賛したのだ)
負けず嫌いのサガが、心の底からだ。
星矢のことはライバルとして見ていないせいかもしれないが、自分が1度だけサガに褒められたときのことを思い出すと、気分が落ち込む。
『アイオロスこそ次期教皇にふさわしい立派な聖闘士だとわたしも思っておりました』
あれはどう考えても、嘘が8割だろう。
そんなサガでも、射手座の聖衣のほうは良く褒めてくれた。特に翼が好きなことは、言葉よりも雄弁な視線が物語っていた。サガにとっては、翼というものが、何か特別なものの象徴に感じられているようだった。天高く昇ってゆける、御使いのしるしであるかのように。
(でもサガ、ケンタウロスに翼はないんだよ)
アイオロスは目を閉ざした。こんなことで落ち込んだり怒ったりするのは、子供と変わらないと、心の中の客観的な部分が囁く。
(サガが好きなのは、俺ではなくて、サジタリアスのあの翼なのだ。しかも、今は本物の翼をみつけてしまった)
かつての自分は、なんの疑問もなくサガの特別は自分だと思えたのに。
珍しく人馬宮内で自室へ篭っていたアイオロスは、午後はそのままフテ寝をすることに決めた。
「サガがあんなに翼が好きだとは思わなかった」
星矢が無邪気に指摘する。サガは少しバツが悪そうに『すまなかったな』と、元気いっぱいな後輩へ返した。星矢は既に聖衣をパンドラボックスへとしまい、今は双児宮でお茶を飲んでいる最中だ。
「あ、怒っているんじゃないんだ。サガにしては珍しく興味津々って感じで、可動部分をみたり羽に触れたりして浮き立っていたから、よっぽど好きなんだろうなあって」
「あの神聖衣は、お前にとてもよく似合う」
それはサガの本音であった。ペガサスの青銅聖衣も星矢に似合っているが、神聖衣もまた、あつらえたように星矢になじんでいた。
「だが、わたしが好きなのは、翼ではなくてお前だ」
「えっ?」
苦笑しながら伝えられた言葉に、星矢が目を丸くする。
「最初に出会ったとき、お前はおまえ自身の足で十二宮を昇りきり、その拳でわたしを倒した。翼など関係なく、わたしはお前を認めている」
てらいもなく褒めるサガの視線は真剣で、星矢は過分だと思いながらも、真摯に受け止める。
「サジタリアスも…ケンタウロスに本来翼などない。それでも好きだったのは、今思えば翼の造形ではなくて、それを纏うものの魂を認めていたのだと思う」
どこか遠い目で、ここには居ない人間への思いを漏らしたサガへ、星矢は少し首をかしげ、少年らしい率直さをもって話す。
「それ、本人に言ったらいいと思う」
今度はサガが目を丸くする。まるで考えもしなかったことを勧められたかのように。
「そんなことは、出来ない」
「どうして」
「わたしなどにそのような事を言われても、彼とて反応に困るだろう」
「そうかなあ」
追求を誤魔化すように紅茶を口にしたサガを見て、星矢は『このひと意外と不器用なんだなあ』という感想を浮かばせたが、賢明にもそれは言葉にされることはなかった。
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途中っぽいですがもう出勤時間なのでここまで(>x<)
サガが、サジタリアスの翼ではなくアイオロスが好きだったのだと自覚するあたりのお話を丁寧に書きたいです。文章力欲しいココロ…
今日もぱちぱち有難うございます!いただいたパチで仕事を頑張れます。