このところ受け持ち以外の仕事でバタバタです(>ω<)サイトめぐりとパラ銀での御本で萌え補給!LC18巻とND2巻も早く届かないかなあ。
というわけでまた星矢とLCクロスオーバー双子。ややアスデフ。
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カノンからしてみると、どう見てもアスプロスのデフテロスに対する態度はでか過ぎるのだった。
身の回りの世話や家事をさせるのは序の口で、下手をすると弟を模造品扱い、踏みつけにしている場面にいきあたったこともある。
それでも、デフテロスの方は嫌がっているように見えない。むしろ幸せそうにアスプロスへ近寄っていく。その事がまたカノンを苛立たせる。
「お前、それでいいのか?」
納得がゆかず、思わず強い語調でデフテロスへ尋ねると、デフテロスは『それがどうした』という眼差しで答えた。大概の場合、彼の視線成分はアスプロスへ向ける以外、ほぼ無関心で構成されている。同じ黄金聖闘士相手には多少マシになるが、それでも彼の世界はアスプロスで出来ていた。
「俺はアスプロスが聖闘士として正道を歩もうとしてくれるだけで嬉しい。他には何も望まん」
本気で言っていることは、その表情で一目瞭然であった。
「星を背負って生まれたものが聖闘士として勤めを果たすのは当然だろう。それだけで満足とは、どれだけ兄への期待値が低いのだデフテロス」
「そうか?」
カノンへ向けられた視線は、ただただ真っ直ぐで。
カノンは口を噤む。当然と言ったものの、その当然の事が、かつての自分には出来なかったことを思い出したからだ。
(そうだ、サガも今のこいつと同じように、正しく聖闘士であること、ただそれだけしか俺に望みはしなかった)
そんなサガに対して、13年前の自分は女神を殺せだの教皇を殺せだの共に世界を支配しようだの、一体どれだけを望み、唆したのだろうか。
サガが内なる闇と戦っていたのを知りながら、自分と同じ悪へと引き寄せる為に偽善者と決め付けた言動を思い返すと、今さらながら恥ずかしくなる。
しかしカノンは首を振った。過去を恥じて内に篭るのはカノンの性に合わない。それに、かつてサガの言葉の真意を理解せず、増長していた自分だからこそ言えることもある。
「兄を思うのならば、あまり甘やかすな」
真面目に進言に、やはりアッサリとデフテロスは返した。
「甘やかされているのは俺のほうだ」
「は?」
思わぬ返答に戸惑うカノンへ、デフテロスは目を輝かせながら力説してきた。
「あれはアスプロスが俺に甘えさせてくれているのだ。それに、二人だけのときの兄さ…アスプロスの可愛さと美しさときたら、眩しいくらいなのだぞ」
「………それは本気で言っているのか」
「何故、冗談を言う必要があるのだ」
宇宙語を聞いているような気がして頭を抱えているカノンを尻目に、デフテロスは兄を見つけてその傍へ駆けて行く。遠い目で見送ったカノンの横へ、いつの間にか笑いながらサガが立っていた。
「何がおかしい」
思わず突っかかると、サガは微笑みながら目を細めた。
「『兄を思うのならば、あまり甘やかすな』…他人へはそのように言うわりに、お前はわたしを甘やかしているなと思って」
「ちょっとまて、オレは甘やかした覚えなどない」
「そうか?」
ふわりと穏やかに笑うサガの笑顔をみているうちに、『あれはアスプロスが俺に甘えさせてくれているのだ』と言ったデフテロスの言葉が理解できるような気がして、その事がまた何となく悔しくて、カノンは眉を顰める。
サガはまるで独り言のように、そっと呟いた。
「自覚がなくともお前は優しい。今もデフテロスが虐げられていないか心配したのだろう?13年前のわたしは自分のことに手一杯で、その優しさに気づく事が出来なかった」
許せ、と伝わる小宇宙にどう応えて良いのか判らず、ますますカノンは仏頂面で眉を顰めた。
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カノンもたまにはもっと直球にサガへ甘えるといいな!