冷房がないので、ミニ扇風機で夏を乗り切る予定!(>ω<)
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シュラが双児宮を訪れると、黒サガがソファーへと横たわりながらぶどうを摘んでいるところだった。上半身には何も着用されていない。キトンを腰へと巻き付けているだけだ。その造形美ゆえに優美な印象を受けるが、世間的に言えば、トランクス1枚でTVを見ているようなものである。
「貴方はカノンがいないと、すぐ脱ぎますね…」
思わず零すと、サガが眉間にしわを寄せ、むっとした表情となった。
「いつもではない、風呂上りだからだ」
「この日中の暑いさなかに風呂ですか」
「暑いからこそ風呂に入ってさっぱりしたのだ」
「もう一人の貴方なら、風呂上りでも身だしなみには気を遣いますよ」
シュラは黒サガの手元のぶどうを見て、もう一度溜息を付いた。
「貴方の事です、どうせそれが食事代わりなのでしょう?」
「……」
黙ってしまったところを見ると図星のようだ。暑さで食欲があまりないのと、食事を作るのが面倒なのと両方だろう。カノンやデスマスクがいれば食事面での世話はみてくれるが、いないときの黒サガは自分でほぼ何もしない。
「体調管理も聖闘士の仕事のひとつですよ」
「小姑か貴様。摂生はアレの仕事だ」
どうやらサガの人格の中で、余人には計り知れぬ役割分担があるらしい。シュラは肩を竦めた。
「それより、何をしにきた」
黒サガが横たわったままソファーから見上げると、シュラは屈んで視線を合わせた。
「外食の誘いです。美味しいタベルナを見つけたので、夕方になったらご一緒にと思って」
「随分早めの誘いだな」
「貴方の予約を確保するのは、早いに越したことはないですから…それまでここに居ても?」
黒サガは目をぱちりと瞬かせ、それから悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「お前もわたしと同じ格好になるのならば」
「は?」
「視界に着込んだ暑苦しい男がいるのは耐えられん」
「…今度来る時は、手土産にカミュの氷柱を持ってきます」
そんなわけで、日中に双児宮通行の許可を求めて居住区まで来た者たちは、ほぼ裸の二人の姿を見ることになった。
彼らのほとんどは気まずげに黙りこみ、そして何か大きな勘違いをして通り抜けていくことになるのだった。
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今日もぱちぱち有難う御座います!元気を分けて頂いております。