星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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双子神デート
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「眠りの世界にある魂は、冥界にある魂と違って、随分と生々しいな」
タナトスが物珍しそうに辺りを見回している。
ここは夢界。ヒュプノスの司る世界だ。暇をもてあましたタナトスが、興味半分で連れてきてもらっているのだが、死界とは大きく異なる世界の構成法則に、まだ慣れぬようだ。
ここでは総てが曖昧で、感情は原始的に働き、物事は論理的な法則なく変異する。
タナトスを案内しているヒュプノスは楽しそうに笑った。
「それはそうだろう。ここにある魂たちは生きているのだからな。目覚めれば生の世界に戻る」
「人間どもは、このような夢をみているのか」
「夢を見るのは人間だけではない。神や動物、植物もまた眠りにつく。お前の夢もあるぞ」
「……勝手に見るな」
「ふふ、わかった。覗かぬように心がけよう」
ヒュプノスは機嫌がいい。タナトスがヒュプノスの管轄界を訪れたいなどと言うのは初めてのことなのだ。
「向こうにお前好みの領域がある。晴れぬ恨みを夢の中で発散する者たちによる、惨殺や流血のエリアだ」
「ほう」
「ただ、そこに集う魂たちの恨みや憎しみが深いぶん、より生々しい命に触れることになるが」
ヒュプノスは死の神である半身を見た。どんな形であれ強い想いは命の発露だ。血や暴力を好むとはいえ、生の対極を司るタナトスが不快とせぬか気にやんだのだ。
しかしタナトスはその心配を笑い飛ばした。
「構わぬ。気に入った想いがあれば、その願い、叶えてやっても良いしな」
恨む相手へ死を与えても良いと言うことだ。塵芥と蔑む人間の望みを、叶えてやってもよいと言いだすことも大変珍しい。
「では、ゆこうかタナトス」
「ああ」
タナトスを先導するようにして、ヒュプノスは夢の浮橋を渡り始めた。
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