星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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2011/1/7ブログネタの焼き直し
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「冥闘士らしき奴が、黄泉比良坂をうろうろしていたから捕まえてきたぜ」

デスマスクが一人の兵士を教皇の前へ放り投げるようにして突き出した。
黄泉比良坂は冥界と繋がっている。普通はアテナの結界により冥界側から侵入することは出来ないのだが、そのアテナをアイオロスが聖域外へ連れ去ってしまったため、時折結界がほころびる。

配下の報告を受け、仮面をつけた教皇は静かに椅子から立ち上がった。法衣の裾で衣擦れの音をさせながら玉座前の数段を降り、倒れ伏している異界の兵士を見下ろす。
捕虜が身に付けている冥衣は下級兵のもので、冥闘士といっても魔星を持つものではないようだ。魔星ならば老師が五老峰で見張っている。封印されている108人には含まれぬものの、結界のほころびを潜り抜けられる程度には腕のたつ斥候といったところだろうか。
既にデスマスクによってボロボロにされ、立ち上がることも敵わぬ様子ではあるが、目だけは敵意を失わず、憎しみの篭った視線で聖域の統率者を睨み上げてくる。
教皇はその兵士の前で仮面を外した。
兵士の息を飲む音が聞こえた。それほど教皇の素顔は美しく静謐であり、宗教画にある聖人のようであったのだ。天使や神とまごうほどの輝きを、女神の教皇は持っていた。
魅入られたかのごとく視線を外せなくなっている兵士へ、教皇は慈愛の微笑みを向ける。
「わたしにお前の知っていることを全て話してくれないか」
教皇の指がきらりと光ると、もう兵士は自分の意思で考えることはできなくなった。


数刻後には、幻朧魔皇拳で情報をすべて吐かされた冥闘士の死骸が転がっていた。教皇の手刀によって貫かれた胸からは、どういう処置をされているのか血の噴出すこともない。
デスマスクは慣れた動作で積尸気冥界波を放ち、その死骸を黄泉比良坂へ放り込んだ。魂だけでなく肉体ごと死界へ送る方法も先代から伝わっている。冥界からの侵入者に対しては肉体ごと送り返しても意味が無いので、普段は魂だけを切り離すのに使っているのだが、死骸なら肉体ごと始末してしまった方が都合いい。
「結界のほつれの場所が知れた。塞ぎにゆくぞ」
教皇が、冷たい笑みを浮かべている。もう先ほどの微笑みは影も形もない。
「いつから、貴方のほうだったんですか」
デスマスクがぼそりと尋ねると、教皇は笑いながら仮面をつけた。髪の先がわずかに黒い。
「当ててみるがいい、キャンサーよ。わたしにも判らぬ境目を、お前が知っているのなら」
「サガ」
「教皇と、呼べ」
しかし、デスマスクが名を呼んだとたん、その場の空気が凍りつく。
(…やべ、おっかねーの)
心の中で軽口を叩くも、この偽教皇の恐ろしさは、側近として働いているデスマスクが1番良く知っていることだ。神のような双子座は、悪魔のように容赦がない。

仕事モードに切り替えたデスマスクは、サガとの会話をあきらめ、目の前に黄泉比良坂への『道』を開いた。

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昨日もぱちぱち有難うございます(>ω<;)沢山ぱちぱち頂けてびっくりです。
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