幸せ!皆様お話を創作する能力が凄いです。萌えとストーリーの絶妙な練り上げ具合。
他人様の作品を拝見するたびに、物語性を感じさせる文章力や画力が欲しいなあと思うのでした。
拍手お返事は夜にさせて頂きます!(^◇^)
たまたま休みだった大分前の土曜の夕飯席でのこと。
あちこちTVのチャンネルをまわしていたところ、白いロボットとそれに乗る少年らしき姿が映りました。
あっ、これが噂の新ガンダムか!とリモコンの指を止めた私の横で父が一言。
「何だお前の見ていたコードギアスをやってるじゃないか」
「いやこれはガンダムだよ」
「ロボットが白いし、絵がコードギアスだろう。ガンダムの絵は違う」
還暦を越えている父のガンダム認識は初代どまりです。絵についても一般人から見たら似ているような気がしたので突っ込めませんでした。
しかし母が昨日言いました。
「お父さん、昨日は音楽仲間とレンタルしてきたDVDみてたよ。最新ガンダムとかいうの」
Σ(゜◇゜)私も見たかった!私が居る時に借りてよ!
チクショー私も買ったばかりの風魔の小次郎ドラマDVD見てやる。
あと、エリシオン編DVDも予約しました。
遠足は家に帰るまでが行事です。バレンタインはホワイトデーまでがイベントです。多分。
そんなわけで堂々とバレンタインネタ!ラダカノで微カノ←サガ
====================================
「どこへ出かけるのだ?」
外出の支度をしている弟へ何気なく尋ねたサガは、言ってしまってから今日がバレンタインであることを思い出し、無粋であったかと内心でまごついた。
そんな双子の兄の動揺をよそに、カノンはといえば気にする様子もなく、いつもどおりの返事をする。
「ちょっと冥界へ出かけてくる。帰りは遅いかもしれん」
行き先はサガの予想どおりだ。
こう堂々と返されると、それはそれで複雑なサガである。
弟が冥界へ行くという事は、つまりラダマンティスへ会いに行くという事だろう。
「土産も持たず、手ぶらで行くのか」
鈍感ゆえに弟への妬心を浮かばせることのないサガは、関心を気遣いに変えて尋ねた。
「いや、適当にその辺で花でも買っていこうかと思っているが」
ギリシアでは、聖バレンタインが花の世話を好んだ史実に由来して、花を渡すのが主流だ。
ラダマンティスの出身地であるイギリスでも似たようなものなので、そこは問題ないのだが、サガはふと首を捻る。
「冥界に花は持ち込めるのだろうか。入った途端に萎れて散ってしまうのではなかろうか」
命あるものは阿頼耶識に目覚めでもしないかぎり、冥界へ足を踏み入れると同時に死ぬ。
生花もそうなのではないか。
カノンも首をかしげた。
「切り花は生きているのか?切った時点で死んでいるのではないか?」
「さあ…そう言われてみるとどうなのだろう…」
花には疎い二人だった。
「サガよ、そもそも花は平気なのでは?冥界でもオルフェが恋人と暮らしていた場所には花が咲いていたらしい。青銅の小僧っ子たちは、その花に隠れてハーデスのもとへ侵入しようとしたと言っていたぞ」
「うむ…それは聞いている。しかし前聖戦の資料によると、冥界で唯一生きながら存在するのは、血の大瀑布を水代わりに吸って育った木欒子のみという。その実をもとにシャカの封魂の数珠が作られたのは知っていよう」
「じゃあ冥界に咲いているのは何だ」
「命の無い形のみの花…ではなかろうか。散る事もなく、実も結ばぬような」
なんにせよ折角地上で購入した花が、渡す前に枯れるようでは金の無駄遣いだ。
「ああもう面倒くさい。花を持ち込むのが難しいなら、現地調達でもするさ」
地上の花が無理なら、冥界の花を持っていけばいい。
それほどイベントに拘りも無いカノンは、適当にすませるつもりで軽く答えたのだが、そう言うとサガは驚いたように弟を見た。そのままじーっと何か言いたげに見つめている。
「な、なんだよサガ」
「お前が、彼の為に自分で花を摘むのか」
「うっ…し、仕方ないだろう。どうせ奴も花束のセンスなどありはしない。どの世界の花かなどと判らんだろうし、金をかけてないことなんざ気づかねえよ」
似合わぬことをするのは判っているさと、むくれているカノンへ、サガは小さく微笑んだ。
それでもカノンは花を渡すつもりなのだ。
「ラダマンティスは、いいな」
「は?」
「私も花が欲しい」
「買ってくればいいだろう。大体今日は他の連中が山ほどサガ宛に持ってくるんじゃないか?」
「お前の摘んだ花が欲しいのだ」
珍しく強く言い募るサガへ、カノンが呆れたように肩を竦める。
「わかったよ。帰りにその辺で摘んでくれば良いのだな。何でもいいな?」
「ああ」
「その代わり、ラダには持ってくのが雑草だってのバラすなよ」
カノンにとっては、金をかけてない花は雑草という認識だ。
ラダマンティスの為にカノン自ら作成した花束と知れば、彼も一層喜ぶだろうにと思いつつ、サガは黙って頷いた。
====================================
カノンハーレム。
横には綺麗な模様の付いた布が何枚か並べられている。
むき出しのままの菓子の箱を、サガは丁寧に(多少不器用に)布で包んではリボンでまとめていく。
『一体何をしているのだ』
尋ねたのは、サガの内部で目を覚ました黒サガだ。
表に出ている白いサガとは同一人物であるので、その疑問も脳内の記憶を探ればすぐに解けるのだが、二人は会話によって意思の疎通を図ることを好んだ。
隠し事などできぬ互いの、形式上のプライバシーの尊重ということもある。
白サガは手を休めぬまま半身へ答えた。
「ああ、星矢がな…日本ではバレンタインの日に親しいものへチョコを渡す風習があると言っていたのだ」
『ここはギリシアだが』
「星矢や女神は日本育ちだからな。このような風習であれば、たまには良かろう。日本のイベントはどうやら宗教行事とは離れているようだし、聖域に持ち込んでも問題あるまい」
そう言いながらサガはチョコの箱のひとつを手に取り、パカリとフタを開けた。
中には生チョコらしき四角形が並んでいる。
「お前にも買ってきてやったぞ」
『…!』
一瞬驚いて声の途切れた黒サガの前で、白サガはその生チョコを指に摘んでぱくりと口に放り込んだ。
「今日初めて生チョコというものを知ったのだが、とても美味いな」
指先についたカカオの粉も、舌で舐めて綺麗にしている。
『…お前…それは自分で食いたかっただけだろう』
呆れたような怒ったような声で返す黒サガへ、白サガはしれっと返してまたチョコを摘む。
「私はお前なのだろう?ならば同じ事だ」
『……』
ぱくぱく食べている白サガの手元に、それでも箱半分チョコが残されているのを見て、黒サガは複雑そうな小宇宙を残すと静かにサガの内面に沈んでいった。
====================================
バレンタインにサガが村へ仕事で降りてくると、皆がサガに花や菓子を贈ろうと買うので、花屋と菓子屋が大繁盛!だからサガがその店でチョコや花を買おうとするとサービスして安くしてくれるよ!
…みたいな妄想甚だしいSSも書こうとしたのですが出勤前の短時間では無理でした。
他面子のバレンタイン話も妄想しっぱなしです。イベントはいいなあ!
そして本日も拍手を下さった皆様に御礼申し上げます!
双児宮で卓を囲むのは、宮の主であるサガと星矢、そしてヒュプノスという異色の組合せだ。
聖域の深部へ他界の神が簡単に訪れるのは防衛上どうなのかという意見も多いのだが、最近は慣れてきたのか、黄金聖闘士クラスの同席と女神の事前許可さえあれば、まあ良いだろうという雰囲気になっている。
中でも冥界の双子神やその属神眷属は、比較的人界へ足を運ぶほうだ。
女神に冥界を破壊されたため、地上へ湧き出しやすいという理由もあるが。
ヒュプノスは、瞳孔の定かでない金のまなざしで星矢を見た。
「短慮とはいえ神であるタナトスが人間一人を相手にするのに、私が手助けを?」
柔らかい冷たさとでもいう声色で返された言葉に、星矢はアレ?という顔をする。
「人間を軽視しないとか言ってなかったっけ」
「私はな」
そう話すヒュプノスの身体からは、常に金の小宇宙が揺らめいては沈んでいく。
それは確かに人を甚だしく凌駕する力を秘めていた。
横からサガが控えめに口を挟んだ。
「失礼とは思うが、私も伺いたい。貴方とタナトスは双子神であるという。半身の危機に手を出さなかったのは、タナトスの力を信じていたからだろうか」
サガもまた同じ双子として、その関係は気になるところだった。
そのあとを星矢が続ける。
「あ、やっぱ一対一の戦いには手を出さないとかそういう?」
ヒュプノスは星矢とタナトスの戦いに手を出さなかったものの、神聖衣の出現に反応してその場に駆けつけたことは間違いない。
星矢やサガのような聖闘士的感覚では、『死にそうな仲間を助けるのは当たり前』『しかし一対一の戦闘に横槍は入れない』という思考経路が自然だったので、ヒュプノスもまたそうなのだろうと予測したのだった。
ヒュプノスは首を振り、どう説明したものか少し考えていた。
それから変わらぬ語調でゆったりと答えた。
「神にとって、疵は僅かであれ致命的なものなのだ」
星矢とサガは顔を見合わせる。
「だったら尚更助けが必要じゃん?てか全然そんな弱く見えないけど」
単純に聞き返す星矢に比べると、サガはどこか納得の色を見せた。
「身体の疵ではなく、神を神たらしめる魂への疵が致命的であるということだろうか?」
眠りの神は頷いて、テーブルの上に置かれている焼き菓子を指に摘む。
「人の性質が千差万別であるように、神の性質もまたそれぞれ異なる。それゆえ、どのような事柄が存在を脅かすのかもまた異なる。だが、共通するのは永劫の命…神には死によるリセットが許されていない」
眠りの神が発した言葉の最後あたりで、サガは二人に気づかれぬほど僅かに目を伏せたが、直ぐに視線を戻して尋ねた。
「倒される屈辱よりも、たかが人を倒すのに他者の手を借りる事の方がタナトスの疵になるという事か」
「私はそう思っている。そして神は変わらぬゆえに、自身では1度受けた疵を治す手段がない。屈辱を無かった事に出来ぬ以上、それは永遠に刻まれる罰のようなもの」
「ええっと、つまり神様は死なないから、一度プライドが傷ついたら大変ってことか?」
物凄く簡略化して理解した星矢は、神様って面倒くせーのなと呆れている。
「ハーデス様が僅かな傷でご自身の肉体を隠されたのも、元を辿ればそういう事なのだ」
そもそも、神が人によって傷つく事自体がありえないし、許されない事なのだとヒュプノスは言う。
「それでは誰が神を癒すのだ」
優しさを含んだサガの問いへ、またヒュプノスは考えこむ。
「我らを奉る人の愛…だろうか。それゆえタナトスにも人間を無碍にするなと常々諭しているのだが」
それに気づかぬ限り、アレの回復には時間がかかろうなと事もなげにいう眠りの神を見て、サガと星矢は『神の兄弟感覚は良く判らん』という結論に達したのだった。
====================================
どうしてこんなメンツで会話しているのかはまた理由を捏造せねば…