仕事で地味にHPを削られています。
そんな中、カーサガなんだかロスサガなんだかカオスSS。底なし沼の続き。
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リュムナデスの能力は、相手の心にある大切な人間の姿を写し取ることだという。
私の魂の一番の奥底を浚うことは断られたが、その能力の一端を見せてくれると言うので待っていたら、目の前にアイオロスが現れた。
幻視かと思い手を伸ばしてみると、ちゃんと触れる事が出来る。と言う事は、触感まで完全にカーサの技中にあるということだ。
しげしげと全身を見つめて綻びがないか探してみたが、どこにも見つからない。
「凄いな」
素直に感心の言葉が洩れる。
「サガに褒められるのは嬉しいよ」
穏やかに微笑む言い方までアイオロスそのままで、これは偽者だと判っているのに間違えそうになる。
「これでは星矢たちが惑わされるわけだ」
もしも女神に叛いていた13年間の自分が、知らずに技にかけられていたら、この能力に逆らう事が出来たろうか。
想像しかけてやめた。多分もう一人の私が出てきてとんでもない事になるだけだ。
アイオロスの口調でカーサが言う。
「この姿はあくまでサガの内部に見つけたものだから、こんな事も出来るんだよ」
まだ何か見せてくれるらしいので待っていたら、彼の雰囲気が微妙に変わった。
どこが違うというわけではないのだが、しいて言えば輪郭がさらに引き締まり精悍さを見せ、目線が少しだけ私より高くなった…?
「これは、君の中で死ななかった俺。もし殺されずにいたら成長していたであろう姿」
確かに、そんな『もしも』に縋ったこともある。
さすがにこれは直ぐに正視することが出来なくて目を伏せた。
「俺を見てくれないの?」
顔を覗き込まれる。おでこが付きそうなほどアイオロスの表情が近くに見えた。少年期を過ぎた青年の顔。それでいて碧がかった瞳には変わらず子供のように純粋な光が宿る。
「背も少し伸びたんだ。ちょっとだけどサガを追い越してるし、体格だって」
そんな私に構わずアイオロスは無邪気に袖をまくって上腕筋を見せ、悪戯っぽくその腕で私の首を抱え込む真似をした。
ふいにどぎまぎした。罪悪感だけではない痛みと、よく判らない動揺に震える。
「戦闘だったら、ここで首を落としてるってところかな?」
にこやかなままアイオロスが言う。
そうか。そういえばリュムナデスの技は、相手の隙を狙うものだった。
これはアイオロスであってアイオロスではないのだ。
なんだか脱力して、頭を体ごと抱きこまれたまま息を吐いた。
アイオロスではないと思ってしまえば、この接触も気にならない。
それにしても、たいした技だと改めて感心しかけていたら、目の前のアイオロスの頭へ突然カノンの拳骨が落とされた。
「人の兄に何をしている」
途端に幻惑はとけて、目の前にはアイオロスではなくいつものカーサが現れる。
「リュムナデスの技を見せていただけっスよ。合意なのに殴らなくても」
カノンはいつの間に来ていたのだろう。リュムナデスの術中にあったせいか、周囲への五感が全然働いていなかった。一応私もカーサに助け舟を出す。
「ああ、彼の言うとおりだ。リュムナデスの技が幻朧魔皇拳の参考になるかなと…」
言いかけたら、私の頭にも拳骨が落ちてきた。痛い。
「サガ!お前も海界の公序良俗を乱すな!」
え、ええ?私も悪いのか?コウジョリョウゾク?
何だか更に続けられているカノンの小言を聞きながら、私は先ほどのアイオロスの腕の力強さを思い出していた。
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サガに飢えすぎて今日も自家発電。
カノンはあんなに格好良いのに、何でサガの前ではあんなに可愛いのよとか、サガも格好良いのに何であんなに乙女なんだとか、シュラ黒とシュラリアと黒リアとリア白とロスシュラとロスサガが混ざると美味しいなあとか、勝手な夢が広がりすぎです。星矢ワールドは美味しい組合せが多すぎて困りますよ。
王道な記憶喪失ネタを黒サガでなぐり書き。
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一度アテナの盾で浄化された黒サガは、復活後に記憶を持っていなかった。
記憶を持たぬがゆえに敗者となった過去も持たず、あの傲慢な気性のまま、いつ再び女神に牙を剥くやもしれないということで、彼は鎖に繋がれた軟禁生活を送ることになった。
尤もそれは表向きの理由で、実質は黒の双子座を隠し守護する措置だったのだが。
黒サガがそれを拘束と捉えなかった事は幸いかもしれない。
ある意味生まれたばかりの赤子と同じほどの判断力しか持たぬ彼は、己の置かれた状態を理解出来なかったのだ。
足枷から伸ばされた鎖は、女神が封印で固めた部屋の中を歩き回るのに充分な長さがあったし、黒サガは外の世界に興味を持たなかった。静かに横たわれるだけの空間があれば、彼は満足だった。
あるとき、黒サガの世界へいつもの世話係ではない人間が入ってきた。
手に持つトレイの上に簡単な食事を乗せている。
その姿は黄金の鎧に包まれて光り、背には翼が広げられていた。
随分と派手な人間だと思いながら、黒サガはその男からの食事を受け取る。
その途端、その人間はくしゃりと顔を歪めた。
「拒絶しないんだね」
黒サガにとって、食事はそれほど重要な位置を占めるものではないが、与えられた食事を拒む意味も判らない。不思議そうな顔をして見返すと、その男は静かに涙を零した。
「ごめん」
何に対して謝られているのかも理解できないまま、いつの間にか黒サガは射手座のアイオロスに抱きしめられていた。
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ロス&サガ月間突入ー!
記憶喪失黒サガはシュラとも掛け合わせてみたいココロ。
毎度毎度アレな妄想ばかりですが、今回もサガが魔物な転生妄想!
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それは遠い神代のお話。
聖域の最奥、アテナ神殿の祭壇の前で、ニケの杖を片手に立つ女神は目の前に横たわる美しい青年を見下ろしていた。その胸元には小さな黄金の短剣が置かれている。
それは神殺しの力を持つ魔物アーレスの象徴であり、力の源。
「ようやく貴方を捕まえました」
アテナは呟く。
地上において同じ「戦い」を司りながら、理性と秩序でそれを実現する女神アテナと、狂気と混乱に拠る魔物アーレスは衝突する事が多く、何度も戦闘が繰り返されていた。
この代においてようやく女神がアーレスを制し、魂をその短剣に封じ込めたのだ。
普段のアーレスは、その本性にまるで似つかわしくない穏やかな青年の姿を見せる。
慈愛に満ちた貌は、争いごとになどまるで興味がないかのようだ。
そんな時のアーレスは、女神とも穏やかに言葉を交わした。
女神は彼が嫌いではなかった。
だが、戦場においてその姿は一変する。
艶やかな銀髪は漆黒へと変わり、目には飢えた血の色が浮かぶ。
神格とそれに相反する深淵を併せ持つ、純粋なる古代の力。
自身にすら制御できぬその二面性と、力への渇望が彼の本質だった。
狂気は時に暴走し、アーレス自身をも傷つける。
それを憂いたアテナは、彼を人として転生させることに決めた。
彼の魔性を長い年月で削り、光へと変えるために。
女神は双子座の聖闘士を呼んだ。膝をついてかしこまるジェミニへ、女神は屈みこんで目線を合わせる。
「お願いがあるのだけれど」
「は、何なりと」
「貴方に彼を預けます。ついでに聖衣を彼に貸してあげてもらえないかしら」
ジェミニは驚いたように女神を見つめ返した。
「俺…いや、私だけでアレを抑えろと言うのですか」
「双子座の善悪を制御する力を使い、彼の宿星に働きかけて、彼の本質を封じます。貴方には不安定になるであろう彼のフォローをして欲しいの」
「フォローといっても、何をして良いのか…」
戸惑っているジェミニへ、女神は悪戯っぽい目を向ける。女神はこの双子座の主がことのほかアーレスを気に入っているのを知っていた。
「やり方は貴方に任せるわ。とりあえず、彼に名前を付けてあげて?」
ジェミニは今度こそ驚いた。魔物から名を取り上げて新しい名を与える事は、彼を作り変え支配することに等しい。そんな事が可能なのだろうか。
それに、魔物とはいえアーレスの力は神にも等しいのだ。
聖衣で彼を拘束しきれるか不安でもある。
そんなジェミニの心を読んだかのように、女神はニコリと笑った。
「射手座にも手伝わせますから」
邪悪を射抜く力を持つ射手座の性格からして、たとえ魔物であっても、こんな風に相手の意思を無視して心を縛る事を好まないのではないかとジェミニは思ったが、女神には女神のお考えがあるのだろうと言葉を控えた。
ジェミニは立ち上がって横たわる魔物のそばに近寄った。
聖衣に命ずると、それは勝手に体から外れて魔物の身体を覆う。聖衣を通して女神の小宇宙が魔物を浸していく。
「…サガ」
名付けに反応するように、魔物がぼんやりと目を開けた。
その透き通った蒼い瞳の色を、ジェミニは決して忘れないだろうと思った。
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ネタはM様の拍手コメントより!M様、勝手に押し付けさせてくださ…
二日続けて日時捏造(フ)昨日の日付で早朝に書く!
帰宅したらケーキが一箱届いてました。どうやら昨日の車で寝ていた若者が持ってきたモヨウ。わーい、鶴の恩返しみたい!恩返しじゃなくてお詫びだけど!
朝起きたら車にサガが寝ていて、お詫びにケーキ持ってきてくれたら二度美味しいだろうなあ(もういいから)。ケーキじゃなくて弟のカノン連れてきてくれるだけでも良いですよ。寝てるサガをロスが起こしにくるバージョンでも問題ないです。うちの目の前の駐車場で存分に繰り広げてください。
てゆか芸術といったらサガの身体ですよね!サガの身体の美しさは黒サガお墨付き!全くもってサガは生きた総合芸術ですよ。
アイオロスはサガに「もう少し芸術方面にも目を向けてみたらどうか」とか言われたら、「それじゃあ遠慮なく」と剥いてしまえばいい。
ラダマンティスだって琴を楽しむ耳はなくとも、カノンの声なら楽しめるに違いない。風流な秋の夜バンザイ。