星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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「夢は見るものではなく叶えるものだと言うではないか!」
「ほぉ、それが眠っている私の夢を勝手に幻朧拳で弄ろうとした言訳か」

朝から壁際に追い詰められているのがカノン、その目の前で物騒な笑みを浮かべ、腕を組んでいるのが黒サガだ。

「私に風呂掃除をする夢を見せようなどとは、随分と良い度胸をしているな、カノン」
「お前が掃除当番を毎回サボるからだろ!やれと言っても聞かないし!」

双児宮の広い風呂は、広いわりに二名しか使用しないので、それほど汚れはしない。それでも掃除をするのはなかなか手間がかかる。
黒サガが毎回うまく掃除当番から逃げるため、風呂を綺麗にしているのは現在カノンである。
昔は逆で、カノンが当番ごとから逃亡しては、サガがその後始末やフォローをする羽目になっていた。そんな過去を多少すまなく思うからこそ、カノンも黒サガの行動を我慢しているのだが、風呂に関してだけは兄の方が使用頻度が高い。カノンの不満は当然だった。

(にもかかわらず、小言を言う側の筈のオレが、壁際に追い詰められているのは何故だ)

答え。黒サガに常識は通用しない。
自問自答して導かれた回答に、カノンはくじけそうになった。

「はは、朝から仲がいいな」

突如、横合いから声がかかり、カノンはぎょっとした。アイオロスの声だ。

「貴様、いつからそこに」

黒サガも驚いた顔をしている。迷宮を張っていなかったとはいえ、双児宮へ気づかれず入り込むことの出来る技量は、さすが英雄というべきか。
アイオロスは殺気立つ黒サガへニコニコ手を振りつつ、カノンに言う。

「バカだなあ。サガは綺麗好きだから、カノンが風呂掃除しないで放っておけば、嫌でも自分でするようになるよ」
「……あ」

カノンが手をポンと打つ。余計な事を言うなと黒サガが噛み付いた。
だが、アイオロスはどこ吹く風だ。

「いいじゃん、俺も掃除を手伝うからさ」
「貴様が私を、手伝う?」
「掃除終わったら、一緒に風呂で汗を流そうよ」
「…後半は断る」
「手伝うだけならOKなんだ?」

以前の兄であれば、前半も断っていただろうとカノンは思った。
非常識に対抗するには、こちらも常識に拘っていてはいけないのかもしれない。
なんだか仲良く見えないこともない黒サガとアイオロスを見ながら、カノンは自分もサガには強気で行こうと決意した。

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カノンも黄金聖闘士の一角だけあって、実はかなり常識から外れた意識の持ち主ですが、アイオロスとサガの前ではカノンが常識人サイドに回らなければならなくなる不思議。

そういえばシャカは「以前聞いたことがある」として、嘆きの壁を壊すのに太陽の光が必要だと言っていましたが、どこから仕入れた情報なんでしょうか。

前聖戦あたりで判る情報だとすると、ロストキャンバスでもこの情報入手に関わるお話が出てくるのかな?

冥界といえば、拙宅ではとりあえず二次創作しやすいという理由で、実際には生き返らなさそうなアイオロスやサガ達まで全員蘇生設定なのですが、さすがにオルフェだけは蘇生に繋げられるようなこじつけ妄想が難しく…(^^;)

女神が闘士を蘇生なんぞした日には、オルフェは失望して今度こそ聖闘士をやめて去りそうな気がします。
「死んでしまった人間を生き返らせようと願った僕が間違っていたのだ…」という彼は全く正しくて、時折どう腐女子妄想と折り合いをつけたものかなあと悩む次第です。

風邪にやられております。
胃腸を壊したのだと思って胃腸薬をガンガン飲んで出社していたのですが、あまり効き目が無く、もしやと思い風邪薬を飲んだら大分治まりました。薬ブラボー!
ニコ様に頂いたロスサガにも超パワーを頂きましたブラボー!

ウイルスも寄せ付けなさそうな黄金聖闘士ですが、そこを敢えて風邪を引かせた場合、双子は一緒に風邪を引く妄想と一緒に風邪を引かない妄想がありますよね!

一緒に引く妄想のこじつけ設定はモチロン「仲良しだから傍にいて一緒にひく」「双子リンクによる」等で、一緒に引かないこじつけ設定は「どちらかは万全な状態で戦闘に挑めるよう生まれついている」ような相互スペア設定から。

後付修行による体質改善成果でも良いのですが、一緒に病気になって二人で倒れてしまうとスペアの意味がないので、片方が倒れるとその片方は自分の小宇宙を相手へ分け与えてでも健康体でいさせようとするとか、自動的にそうなってしまうとか
…な、なんか暗い妄想なので軌道修正(><)

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「おかえり、星矢」
泥だらけで帰って来た星矢を出迎えたサガは、これはもう風呂へ放り込むしかないと判断してニコリと笑った。その笑みに不穏なものを感じたのか、星矢が軽くあとずさる。
「村の子供達にサッカーを教えに行って、聖闘士の反射神経を持つお前が、何故そこまで真っ黒になって戻ってくるのだろうか」
怒っているわけではないのに、サガは微笑むと何故か迫力が増す。
「ええと、その、なんでかな?子供と遊ぶ時には音速で動いたりしないし、一緒に転げまわっていたらいつの間にか」
サガは苦笑した。おそらくサッカーを教えてきたというよりは、一緒に遊んできた…が正解に違いない。
この泥だらけのわんぱく少年が、いざとなれば聖闘士の中でも飛びぬけた小宇宙を発揮するのだから、人は見かけでは判らないものだ。
「そのナリでは、とても聖戦勝利の立役者には見えないぞ」
せめて土に汚れた顔だけでも先にきれいにしようと、サガが湿らせたタオルで顔を拭いてやると、星矢は照れたのかそのタオルを奪い取り、ごしごしと自分で顔をこすった。
「サガまで英雄らしくしろとか言うんじゃないだろうな?そういうのガラじゃないって、見てれば判るだろ」
二大英雄としてアイオロスと並べ讃えられる星矢だが、本人は未だにその評価には慣れないようで、比べられては敵わないとぶつぶつ小声でむくれる。
アイオロスとたった1つしか違わない筈の星矢は、確かにまだ子供だった。
「そうだな、お前に英雄の名は似合わない」
サガが応えると、自分で否定していたくせに少年は一層むくれた。
「サガ、あんまりきっぱり言われると傷つくんだけど」
タオルの合間から、かつて神のようなと喩えられた大先輩を見上げて軽く睨む。サガは笑って星矢の頬を撫でた。
「私にとってお前は、英雄ではなくヒーローなのだよ」
思いもよらぬ返事が返ってきて、星矢は目をぱちくりとさせた。
「それ、一緒じゃ?」
だが、サガは違うと首を振る。どう違うのかをサガは説明しなかった。

「それよりも早く湯を浴びてきなさい。女神がお前のために開いてくださった祝賀会に遅刻する。主役がその姿では格好がつかないだろう」
「えっ、うそ、もうそんな時間なのか」
慌てて星矢が泥の足跡を残しながら双児宮の浴室へと走っていく。
その背へ向けて、サガは『HAPPY BIRTHDAY SEIYA』と呟いた。

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ロスが出てこないけれど、ロス誕祝いSS(>ω<)
めでたい話も後日書きたいなあ。
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するどく切り立った崖の中腹から真下へ落ちるように駆けると、そこにほんの僅かな平地が現れる。平地といっても人が立てるといった程度の意味合いで、岩場の隙間と呼ぶのが正しいだろう。
シュラは静かにその場へ立つと、乾いた地面を見下ろした。
じっと一点を見据える瞳には迷いが無い。それでいて、何か納得がいかないのか屈み込むと、地面へ手をついてその感触を確かめた。

ここでアイオロスは死んだ。
聖域から持ち出したはずの黄金聖衣も、胸に抱いていた赤子もいつの間にか消えていて、ただ無残な亡骸だけが残されていた。

既に深手を負っていた射手座を追い詰めたのはシュラだった。
だが、シュラはその事を後悔などしなかった。

それに比べ、サガは毎年この時期になると自責に苦しみ、また英雄を憎んでは呪詛を紡いでいた。
決してサガが表に出す事の無い感情の揺れであっても、シュラやキャンサー、ピスケスから見てそれは明らかだった。相反する激しい感情はサガの精神を引き裂き蝕む。
あれほど強い精神と力を持つサガが、たった一人の人間のために心を揺るがせることがシュラには不思議だった。
もっともシュラもデスマスクに言わせると「麻痺していただけで、相当病んでた」が。

最初はサガを落ち着かせるために、ここへ連れて来たのだったとシュラは思い返す。
アイオロスの死んだこの場所を見せると、白のサガは己の苦しみよりも優先させるべき自分の義務を思い出していたし、黒のサガは英雄の死を実感して満足した様子だった。

そして、それからは毎年ここへ来た。
サガと共に来る事もあれば、一人でフラリと訪れる事もあった。
何年経っても草一本生えることのない乾いた大地は、サガだけでなくシュラをも落ち着かせた。不毛の地こそが、英雄の血を飲み込むに相応しいと考えるほどに。
砂と岩だけのこの地はずっと乾いていた。


聖戦後、闘士は全員蘇生を遂げた。
アイオロスもその例に洩れなかった。
今日はその彼の誕生日だ。ギリシアに誕生日を祝う慣習はないが、日本育ちの女神がささやかながらも祝いの席を用意していて、聖闘士たちや英雄をしたう兵士たちなどは、随分大勢押しかけているのではないだろうか。

「シュラ」
ふいに声がして振り向くと、いつの間に来ていたのか大岩の上にサガが降り立っていた。地面は二人で並び立てぬほど狭くはなかったが、サガはシュラの隣へは降りてこなかった。
サガは長い髪を風にまかせながら、ぽつりと呟いた。
「花が、咲いている」
サガの視線を追うと、片隅のほんの小さな日向に白い花が揺れていた。
花というにもおこがましいような、単なる雑草だ。
その雑草は、乾いたこの地へ確かに根を張っていた。

シュラは声にならない嗚咽をあげた。
サガは何も言わなかった。
来年からは、もう此処へ来なくても良いのだと、その花を見ながら二人は思った。

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