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外出していたタナトスが、何やら包みを持って帰ってきた。卓上にそれを置き、サガへ開くように言いつける。素直に包装紙を開けると、そこには何やら色々な道具らしきものが入っていた。
「鞭に口枷に皮ベルトに首輪…」
サガが首を傾げると、タナトスは得意そうに言い放った。
「今日は結婚記念日であろう。毎年祝うものだお前が言っていたではないか」
「覚えていてくれたのか!」
サガが驚きの声をあげる。
確かに1年前の今日、結婚記念日についてタナトスへ説明した。数百年を一睡程度に過ごす神からすると、たかが1年単位で物事を祝う感覚がなかったためだ。
「フ…神は1度聞いたことを忘れはしない。今年は革婚式だそうだな。それゆえ我々のフウフ仲の進展に役立ちそうな革製品を用意したのだ」
「これらがどう役立つのだ。犬でも飼うつもりなのか?」
「お前は想像力がない。フウフ仲の進展に役立てると話したではないか。我々が使うのだ」
そう言われても、白サガにはぴんとこない。
「わたしに首輪を付けられたいのか?」
「ナチュラルにオレへ振るな!オレがお前に使うのだ!」
「それで我等の仲がどう進展するというのだ」
聖域純粋培養のサガに、そんな下世話な知識はない。
だがタナトスにとってそれは想定内だ。ゼロから染めるのが楽しいのだから。
「さっそく今から教えてやろうか」
「タナトス…」
しかしさすがのタナトスも、この直ぐ後にサガが統合化して、逆に自分の身が危うくなるとは思ってもみないのであった。
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いつもどおり!
サガもね、白黒サガが変な風に統合しちゃったときなど、「わたしの馬になってくれないか?」などと言い出さないかな!デスマスクやアフロディーテは「丁寧に言っても駄目です」と流すんですけど、シュラは流されやすいので危険。意味も判らず「山羊でよければ…」とか言い出しかねない。いや言いませんけど(>ω<)
ペガサスである星矢に言う時は普通に口説き文句っぽいですね!
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サガ「将を射んとすればまず馬を、という言葉が東洋にはある」
カノン「ああ、それで?」
サガ「アテナを狙うにはまず天馬(ペガサス)から…ということで良いのだな?」
カノン「な?じゃねえよ!オレに確認するな!絶対そういう意味じゃねえよ!」
サガ「ペガサスだけでもいいのだ」
カノン「普通は一人に絞るものだ図々しい」
サガ「そういえばもうひとり馬がいる」
カノン「半人半馬だがな」
サガ「彼なら…」
カノン「アテナを狙って人馬を殺すのはもうやったろ」
サガ「……(´・ω・`)」
カノン「………」
サガ「……(´;ω;`)」
カノン「わ、悪かったよ、泣くなよ」
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わあ凄い手抜き妄想。
でも、サガが星矢に愛を請う妄想は何度考えても滾ります(>▽<)
今日もぱちぱち有難うございます!朝のカンフル剤です。
春のロスサガ
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アイオロスがいなくなった。
次期教皇としてロドリオ村へ慰問に出かけたまま、時間を過ぎても帰って来ないという門番の報告を受け、シュラが教皇宮へ足を運んだところ『少年達よ君らにアテナを託す』って教皇宮の壁に彫ってあったらしい。
一緒に付いていったはずのサガも戻ってこない。任務の遅れでサガが連絡すらしないなんて考えにくいし(慰問が長引くというのも考えにくいし)、二人で出奔したってことかな。
シオンは「あやつらは黄金聖闘士の地位を剥奪し、脱走者扱いとする」とかなんとか怒ったように言っていたけど、そのわりに追っ手をかけるわけでもなかったから、黙認するつもりなんじゃないかなと俺は思っている。
本気で怒っていたのはカノンで、呆然としていたのはアイオリアだ。
無理もないよ。血を分けた兄弟にくらいは、ちゃんと話して行けばいいのに。
カノンは一発殴らなきゃ気がすまんと言って、追いかける気満々でいる。それでもって、アイオリアは自失のうちにいつの間にか同行することにされてる。毎度ながら巻き込まれ体質だなあ。
そうなると黄金聖闘士が4人も聖域に不在てことになるけど、その穴は俺たち青銅聖闘士や一部の白銀聖闘士が埋めることになるんだろうか。
でもいいや。俺も実はシオンと同じような気持ちだし。
アイオロスとサガが聖域を離れるなんて、余程の決意なんだろうし。
今までの分も幸せになってほしいって思う。たとえそれが聖域ではなくとも。
射手座の聖衣は正直まだ俺には荷が重いけど、精一杯頑張るよ。
それにしても、どこへ行っちゃったんだろうなあ。
「なあ、今から花見に行かないか」
アイオロスが振り返ってサガを見た。次期教皇に相応しい上質な白法衣の裾は、軽快な足取りにあわせてひらひらと翻っている。サガは従者兼引継ぎサポート役として、一歩下がった位置から冷静に返した。
「そのような予定は本日のスケジュールにない」
「仕事として誘っているんじゃないんだけど」
アイオロスは空を見上げた。よく晴れた空には、刷毛ではいたような雲が一筋流れている。
「午後は特に重要な仕事もないだろ?」
「それはそうだが…」
「たまには後輩に任せても罰は当たらないさ。俺たち二人がいなくても、今のあいつらなら大丈夫。聖域の守りは磐石だ。それにね、実はもう書置き残してきちゃったんだよね。あとよろしくって」
「何だそれは、午後からサボる気満々ではないか」
「というわけで、駄目?」
「まったく…」
サガは苦笑しながらも、それ以上の否定はしない。アイオロスは無計画なようにみえて、ちゃんと組織に支障のない日時を選んでいる。ならば、多少の息抜きで上司の心身をメンテナンスするのも補佐の役目だろう。
「正式にお前が教皇となったあかつきには、このような我侭をわたしが許すと思うな?」
「俺は教皇になったあとも、君をデートに誘うつもりだけど」
『デート』の単語に、サガが目を丸くする。
爽やかな春風が髪をふわりとなびかせた。
花見のあとに戻った聖域で、シオンの『ふざけるな小僧』により二人が宙に舞うまであと数時間。ギリシアの春は今が盛りだ。
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はた迷惑年長組2名。お花見妄想は春の定番ですよね!
今日もぱちぱち有難うございます。毎日のエネルギー源です(^-^)
デスマスク「交流っていうか、お前の幻術修行のために聖域が協力してやる会だろ」
アイオリア「サガが仲介をしているのでなければ、誰が海闘士に協力など」
星矢「俺は楽しみだな。カーサの化け術、卑怯だけど凄いんだぜ!」
カノン「卑怯は余計だ。あとオレも仲介してるぞ」
ムウ「それで一体何をするんですか?」
カーサ「これから各自の心の中にある次期教皇像に化けるんで、どれが誰の心のなかの像か当てるという趣向っす」
シュラ「……えっ」
ミロ「何の意味があるのだそれに」
カーサ「立場による人間像の差異と共通点の探求ってとこですかね。複数の相手の前で同一人物に化けた時、各自の印象がバラバラすぎて実像から離れしまうこともあるんですよ。それを調整しつつ、より多彩な情報で人物像に深みをつける練習といいますかね」
アルデバラン「面白そうじゃないか」
アフロディーテ「優しいなアルデバラン。敵の闘技の完成度を高める手伝いをするというのに」
カノン「海界は聖域と同盟を結んでいるのだ。敵呼ばわりするな」
シャカ「いいのではないかね?その技の精度が上がったからと言って、黄金聖闘士には大切な相手の姿に手加減するような、まっとうな者はいないであろう。なあ女神に手をあげたアイオリアよ」
アイオリア「くっ、お前にまともでない扱いをされたくない!」
ムウ「シャイナに対してといい、黄金の獅子は女性にも容赦なく牙を向けますよね。さすが弟相手に死ねと断罪出来るアイオロスと同じ血を引いているだけのことはありますね」
カミュ「シャカにムウよ。お前たちは、むしろ気に入っている相手にこそ容赦ないのでは…」
星矢「好きな相手は苛めたいってヤツ?」
シャカ「まるで我々が小学生のような言い方はやめたまえ」
デスマスク「でもお前らアイオリアが好きなんだろ。あんま苛めんなよ」
サガ「それより、わたしは皆のアイオロス像に興味がある」
ムウ「サガ。あなた公私混同で海将軍に協力してませんか」
カーサ「では、ちゃっちゃと早速一人目から行くぜ!」
ミロ「うっ、なんだこの眩しさは」
デスマスク「聖衣着用とはいえ、輝きすぎだろ。キラキラしすぎてアイオロスの顔がよく見えねえ」
サガ「あの仁智勇迸る雰囲気、これはわたしのアイオロスに違いない」
カノン「おまえのじゃねえよ、ドサクサに紛れて何ほざいてやがんだ」
アルデバラン「サガに負けぬとも劣らぬ、神のような気品あふれる立ち姿がなんとも」
アイオリア「これが英雄と呼ばれていた兄さん…」
アフロディーテ「完璧なサガの内面を写したようなアイオロスだな」
カーサロス「次に移るぞ」
カミュ「アイオロスの額から血が…!」
デスマスク「体中傷だらけなのに笑顔とか怖エんだけど」
アフロディーテ「笑顔は先ほどのアイオロスよりも柔らかい印象だ」
アイオリア「兄さん!」
シャカ「でかい図体だが此度も14歳のアイオロスではないかね」
星矢「なあなあ、端っこでシュラが心臓を押さえてうずくまってるんだけど」
ミロ「…誰の内面のアイオロスか語るに落ちてるな」
カーサロス「次だ」
カミュ「おや。アイオロスにしては、なにやら腹黒そうにみえるのだが」
ミロ「人の良さそうな笑顔なのに、どことは言えないんだが胡散臭いな」
ムウ「何故そこで私の顔を見るのですかデスマスク」
デスマスク「いや何となく。しかし能天気そうにも見えねえか」
アイオリア「兄さんはこんなんじゃないぞ」
カノン(あー、こいつはオレのイメージかな)
カーサロス「では次に…」
アイオロス「ちょっと待った!」
サガ「アイオロス!?本物か?」
アイオロス「これ、私の海賊版キャラの品評会みたいなのだが!」
シャカ「君にしては的確なたとえだ」
カノン「みたいじゃなくて、そのものだな。いいじゃないか、将来の配下が自分にどんな印象持ってるか判って」
アイオリア「俺のなかの兄さんが1番格好いいと思う。楽しみにしててくれ」
アイオロス「いや、そういうのを競うイベントじゃないだろうアイオリア。そうだ、私ではなく、どうせなら女神を対象にすればどうか。忠誠心を測る為にも」
一同「……」
諸々の思惑と都合により、交流会は中断のままお流れとなった。
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「突然夜中に押しかけてきてどうしたんだ。サガと喧嘩でもしたのか?」
アイオロスは呆れた様子を隠しもせず、カノンに客用カップを差し出した。中身は煮出して上澄みだけを飲むギリシア珈琲だ。受け取ったカノンはぶすりとした表情でそれを受け取る。
「そのほうがまだいい」
「あれ?穏やかじゃないね」
アイオロスも自分の分のカップを手に、カノンの正面へ腰を下ろした。
「海界からの1週間ぶりの帰宅なんだぞ。なのにサガの奴、にっこり笑って『おかえり、お疲れさま』しか言わん」
「それの何が不満なんだ?」
「当初3日の予定だったところが、急な案件が発生して日が延びた。多忙すぎて連絡を入れることも出来なかったから、サガからすれば無断外泊4日だ。昔だったら『どこへ行っていたのだ』だの『何をしていた』だの『連絡くらいいれろ』だの小姑のように煩く言うところだってのに、何だそりゃ。スニオン岬に捨てた弟のことなんて、もうどうでもいいってことか。だから出てきてやったんだ」
「えーと…」
ようはサガに構って欲しかったってことかい?と言い掛けてアイオロスは黙った。どうもカノンは昔のトラウマも発動中のようだ。下手に突くと手に負えなくなる気がする。何故そう思うかというと、アイオロスにもそれなりに複雑なトラウマ持ちの、ブラコンの弟がいるからだ。
アイオリアもカノンも過去を乗り越えているとはいえ、完全に癒されるにはもう少し時間が必要なのだろう。
「まあ、理由はわかったけど、それで何でここへ来たのかな。君が突然出て行ってしまって、サガも心配しているだろうに」
「もっと心配すりゃいいんだ。オレが人馬宮にいるとなりゃ、あいつも落ち着いていられないだろうからな」
カノンの言い草にアイオロスは目を瞬かせる。
「人馬宮にくるとサガが?何故?」
しかしカノンは剣呑な目でにらみ返しただけだった。
「お前ムカつく。その余裕はどっからくるんだ」
「話の流れが読めないんだけど…とにかくカノン、サガは多分君を信じているから何も聞かないんだと思うよ。構って欲しければ、もう少し判りやすく甘えてみたらどうかな」
判らない話は流して、アイオロスは思った通りを勧めてみることにした。カノンとサガとの行き違いに『巻き込まれている』と考えずに『頼ってもらえた』と受け止めるのがアイオロスの器の大きさだった。
カノンが不貞腐れた態度ながらも口ごもる。
「そんなことを言われても、甘えたことなど無い」
「ええ…」
生暖かい目で突っ込みを入れそうになった自分を、アイオロスは何とか抑える。
「では試しに私をサガだと思って甘える練習をしてみないか」
「はあ?無理言うな、何でお前に甘えなきゃならんのだ」
「私に甘えるんじゃなく、模擬でだよ。面接前の質疑応答練習みたいなものだよ」
「面接なんざしたことが無い」
「例えだからね。君も技のイメージトレーニングくらいするだろう。それの会話版」
一応カノンの側も、八つ当たり的押しかけであることは自覚している。その自分のためにアイオロスが解決策を模索してくれていることに対して、多少の罪悪感はあった。
いくぶん柔らかめになった口調で、カノンはアイオロスへ模擬問答をはじめた。
「ううむ…ではサガ、金を貸してくれ」
「駄目だ」
「お前即決かよ!」
言い募るカノンに対して、アイオロスの目が遠いものになっている。
「どうして余計怒られるようなことを言うのかな」
「お前が甘えてみろって言ったんだろう」
「甘えすぎだよ。でも一応理由を聞いておこうか」
「町で女でも買おうかと」
「だから何で余計怒られるようなことを言うの?本当は怒られたいの?」
「サガが抱かれてくれれば女なんて買わなくても」
「えっ、兄弟で?」
思わずアイオロスが問い返すと、カノンは「冗談だ」と吐き捨て、代わりにアイオロスへと挑発的な目を向けた。
「相手してくれるんなら、お前でもいいぜ?」
言葉上は誘われているのに、その瞳には深い怒りの熾き火が見えるような気がして、アイオロスは息を呑む。そして直ぐに脳裏に浮かんだのは、泣きそうになっているサガの顔だった。どういう連想なのだろうか。
「サガが泣くから、駄目」
「オレのせいで?お前のせいで?」
「…わからないよ」
審判者のように見つめるカノンへ、アイオロスは苦笑しながら答えた。
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同じパターンでラダへ絡みに行くサガも脳内で発展。多分サガのほうがより迷惑…げふげふ。そしてコメントご返信よりSSが先ですみません(ぺこぺこ)