星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
Ωを見るためにさらに早起きの習慣を!と思って目覚ましを早めにしてみたのですが、寒くて結局いつもの時間まで布団から出られませんでした(=△=)6:30から万全の体制でTVの前にスタンバイするためには、もう40分は早く起きて朝シャワーしないといけないのに…!
それはさておき短文シュラ妄想。
=============================
磨羯宮は十二宮の例に漏れず、険しい聖山の中腹にある。
宮のわきを少し行くとすぐに断崖絶壁となり、下を見ても谷底が見えない。
シュラはその切り立った端にたち、足元にあった石くれを爪先で落としてみた。
それは音もなく断崖の闇へ吸い込まれ、黄金聖闘士の目でも最後まで追うことはできなかった。
(アイオロスもここから落ちたのだ)
シュラは足を半歩進ませる。下から吹き上げる風が、前髪を乱す。
(もう1歩踏み出せば、アイオロスと同じ道へ行けるのだろうか)
しかし、彼は足を引いた。同時に後ろから声がかかる。
「そこから落ちたなら、お前でもただではすむまい」
振り向かずとも誰なのか判る。現在、僭主として聖域を支配している男だ。
教皇の服をまとい、仮面をつけた男の表情は、振り向いたとしても窺うことが出来ない。
(すみませんアイオロス。俺は断崖よりももっと深い奈落を、先に覗き込んでしまったのです)
崖の淵から踵をかえし、シュラは彼の主を伴って磨羯宮内へと戻っていった。
=============================
13年前サガを選んだシュラですけど、ときどきアイオロス側に揺れるので、黒サガが「優柔不断め」って内心でむっとしてたら可愛いな!でも白サガからするとその葛藤はとても共感できるものであり、かつこちら側に引き込んでしまってすまないという申し訳なさもあるのです。そんなわけで黒サガは白サガにもイライラするわけですね。
このあたりは恋愛関係ないもだもだですけれども、恋愛感情の入った三角関係になったら泥沼ですよね!
黒サガは責任とってシュラにバレンタインチョコを上げるべきだと思います(超三段論法結論)
※追記※
本日レンタルサービス会社による緊急サーバーメンテの為、拍手・更新履歴・LINK・裏頁など、一部ご覧戴けない時間帯がありますが、ご了承下さいませ。
(17:00~18:00予定)
それはさておき短文シュラ妄想。
=============================
磨羯宮は十二宮の例に漏れず、険しい聖山の中腹にある。
宮のわきを少し行くとすぐに断崖絶壁となり、下を見ても谷底が見えない。
シュラはその切り立った端にたち、足元にあった石くれを爪先で落としてみた。
それは音もなく断崖の闇へ吸い込まれ、黄金聖闘士の目でも最後まで追うことはできなかった。
(アイオロスもここから落ちたのだ)
シュラは足を半歩進ませる。下から吹き上げる風が、前髪を乱す。
(もう1歩踏み出せば、アイオロスと同じ道へ行けるのだろうか)
しかし、彼は足を引いた。同時に後ろから声がかかる。
「そこから落ちたなら、お前でもただではすむまい」
振り向かずとも誰なのか判る。現在、僭主として聖域を支配している男だ。
教皇の服をまとい、仮面をつけた男の表情は、振り向いたとしても窺うことが出来ない。
(すみませんアイオロス。俺は断崖よりももっと深い奈落を、先に覗き込んでしまったのです)
崖の淵から踵をかえし、シュラは彼の主を伴って磨羯宮内へと戻っていった。
=============================
13年前サガを選んだシュラですけど、ときどきアイオロス側に揺れるので、黒サガが「優柔不断め」って内心でむっとしてたら可愛いな!でも白サガからするとその葛藤はとても共感できるものであり、かつこちら側に引き込んでしまってすまないという申し訳なさもあるのです。そんなわけで黒サガは白サガにもイライラするわけですね。
このあたりは恋愛関係ないもだもだですけれども、恋愛感情の入った三角関係になったら泥沼ですよね!
黒サガは責任とってシュラにバレンタインチョコを上げるべきだと思います(超三段論法結論)
※追記※
本日レンタルサービス会社による緊急サーバーメンテの為、拍手・更新履歴・LINK・裏頁など、一部ご覧戴けない時間帯がありますが、ご了承下さいませ。
(17:00~18:00予定)
「あけましておめでとうございます」
星矢が元気に挨拶をして頭を下げた。聖闘士たちが年明けに十二宮の階段を昇って、女神へ新年の拝謁を行うのは恒例の行事だ。星矢はその途中で各宮へ立ち寄り、知己の黄金聖闘士へも声をかけてゆく。
声をかけられた双児宮のあるじ達も、早朝ながらちゃんと起きていて、にこりと(カノンは多少ぶっきらぼうに)年初めの挨拶を返す。
星矢はにこにこと二人へ近づき、はい!と、まずはカノンへ写真を加工した年賀状を手渡した。ラダマンティスの写真だ。受け取ったカノンは微妙な顔をしている。
「今年は辰年だからね!ワイバーンで」
「おい小僧、色々突っ込んでいいか」
「ちゃんと許可とってるよ。本人を連れてこようと思ったんだけど、新年は忙しくて無理だって。明日の午後に訪問してもいいかって言ってた」
「…いつの間にそんな頼みごとをしたり、メッセンジャーを引き受けるほど親しくなったのだ」
ぶつぶつ言いながら、カノンはやっぱり微妙な顔をしていた。とはいえ、この場合素直に嬉しそうな顔をすることが出来ない性格であるだけで、ラダマンティスの来訪予告自体は喜んでいるのだ。
星矢はサガのほうに向き合った。
「サガにもいろんな写真を考えたんだよ。紫龍とか辰巳とか市とかライミとか。でもシードラゴンの実物が一緒にいるからいいかなって」
サガの表情は変わらなかったが、弟であるカノンには兄もまた内心で微妙な反応をしていることが手に取るように分かる。
サガお気に入りの後輩は、悪戯っぽく先輩の顔を見上げた。
「サガ、東洋では鯉が龍になったりするって知ってる?」
「デスマスクから聞いたことがある。滝を昇りきった鯉が龍と化すのだろう?」
「他にも、人間に愛されてた鯉が龍になるんだよ。竜鯉(りょうり)っていうんだ。鯉の側が人間からの愛情を感じないといけないんだけど」
少しだけ躊躇うように、星矢は言葉を置いてから続ける。
「オレは胸の中にコイを飼ってる。だからサガからの愛情があれば、すぐにでも龍に変わるよ」
思わぬ告白にサガは一瞬驚いたように目を見開いた。かつて偽教皇として、どのような事態にも動じず冷静にあしらってきた彼が、このように人間らしい感情をあらわにするのは珍しいことだ。
それこそ鯉のように口をぱくぱくさせていると、カノンが星矢をサガの前から引き剥がした。
「新年早々油断のならんガキだな。ほら、さっさと女神に挨拶してこい」
「ちぇ、強引にでもラダマンティスを連れてくれば良かった」
軽口を叩き合う星矢は、すでにいつもの調子に戻っている。
サガはほっとしたように微笑んで、今度は自分から星矢へ近づき、額へ祝福のキスを落とした。
「わたしはいつでもお前を愛しているよ」
慈愛と尊敬が主成分の、アガペーに近いそれではあるが、サガにとっても星矢は特別なのだ。
星矢はにこにこしながら、追加で紙袋をサガに渡した。
ペガサスが去った後にその袋を開けてみると、中には二人分の沖縄菓子「ドラ/ゴ/ンボール」とド○ラのぬいぐるみが入っていた。日本野球に詳しくない二人は、何故ドラゴン繋がりでコアラのぬいぐるみなのか判らず、しばし頭を悩ませたと言う。
=============================
今年もよろしくお願いします(>ω<)
拍手ご返信は仕事後の夜にさせてくださいね!今朝は超早出勤なので朝のブログ時間が足りなくてちょっと半端SSです(汗)HPアップの際にでも書き足したい…とくにサガと星矢のラブラブ部分を!
星矢が元気に挨拶をして頭を下げた。聖闘士たちが年明けに十二宮の階段を昇って、女神へ新年の拝謁を行うのは恒例の行事だ。星矢はその途中で各宮へ立ち寄り、知己の黄金聖闘士へも声をかけてゆく。
声をかけられた双児宮のあるじ達も、早朝ながらちゃんと起きていて、にこりと(カノンは多少ぶっきらぼうに)年初めの挨拶を返す。
星矢はにこにこと二人へ近づき、はい!と、まずはカノンへ写真を加工した年賀状を手渡した。ラダマンティスの写真だ。受け取ったカノンは微妙な顔をしている。
「今年は辰年だからね!ワイバーンで」
「おい小僧、色々突っ込んでいいか」
「ちゃんと許可とってるよ。本人を連れてこようと思ったんだけど、新年は忙しくて無理だって。明日の午後に訪問してもいいかって言ってた」
「…いつの間にそんな頼みごとをしたり、メッセンジャーを引き受けるほど親しくなったのだ」
ぶつぶつ言いながら、カノンはやっぱり微妙な顔をしていた。とはいえ、この場合素直に嬉しそうな顔をすることが出来ない性格であるだけで、ラダマンティスの来訪予告自体は喜んでいるのだ。
星矢はサガのほうに向き合った。
「サガにもいろんな写真を考えたんだよ。紫龍とか辰巳とか市とかライミとか。でもシードラゴンの実物が一緒にいるからいいかなって」
サガの表情は変わらなかったが、弟であるカノンには兄もまた内心で微妙な反応をしていることが手に取るように分かる。
サガお気に入りの後輩は、悪戯っぽく先輩の顔を見上げた。
「サガ、東洋では鯉が龍になったりするって知ってる?」
「デスマスクから聞いたことがある。滝を昇りきった鯉が龍と化すのだろう?」
「他にも、人間に愛されてた鯉が龍になるんだよ。竜鯉(りょうり)っていうんだ。鯉の側が人間からの愛情を感じないといけないんだけど」
少しだけ躊躇うように、星矢は言葉を置いてから続ける。
「オレは胸の中にコイを飼ってる。だからサガからの愛情があれば、すぐにでも龍に変わるよ」
思わぬ告白にサガは一瞬驚いたように目を見開いた。かつて偽教皇として、どのような事態にも動じず冷静にあしらってきた彼が、このように人間らしい感情をあらわにするのは珍しいことだ。
それこそ鯉のように口をぱくぱくさせていると、カノンが星矢をサガの前から引き剥がした。
「新年早々油断のならんガキだな。ほら、さっさと女神に挨拶してこい」
「ちぇ、強引にでもラダマンティスを連れてくれば良かった」
軽口を叩き合う星矢は、すでにいつもの調子に戻っている。
サガはほっとしたように微笑んで、今度は自分から星矢へ近づき、額へ祝福のキスを落とした。
「わたしはいつでもお前を愛しているよ」
慈愛と尊敬が主成分の、アガペーに近いそれではあるが、サガにとっても星矢は特別なのだ。
星矢はにこにこしながら、追加で紙袋をサガに渡した。
ペガサスが去った後にその袋を開けてみると、中には二人分の沖縄菓子「ドラ/ゴ/ンボール」とド○ラのぬいぐるみが入っていた。日本野球に詳しくない二人は、何故ドラゴン繋がりでコアラのぬいぐるみなのか判らず、しばし頭を悩ませたと言う。
=============================
今年もよろしくお願いします(>ω<)
拍手ご返信は仕事後の夜にさせてくださいね!今朝は超早出勤なので朝のブログ時間が足りなくてちょっと半端SSです(汗)HPアップの際にでも書き足したい…とくにサガと星矢のラブラブ部分を!
恒例の双児宮大掃除SS
=============================
刺すように冷たい朝の空気が、吐く息を白ませる。けれども空には雲ひとつなく上天気だ。高く昇りゆく太陽が大気を緩ませていく。
絶
好の掃除日和だった。
カノンは大きく伸びをしたあと、髪をあげて縛った。今日は手伝いの雑兵たちも来てくれる。年に1度の大掃除の日なのだ。サガは既に宮の表広間の方へ出向き、雑兵たちに掃除場所やゴミの分別についての采配をふるっているはずだ。カノンの役目は宮内施設の修繕チェックと、出向いてくれた雑兵たちへお礼代わりに振舞う食事の準備である。
皆が集合しているはずの広間へ、カノンは自分も足を向けた。下ごしらえを始めるにあたり、食事の必要な人間を確認するためだ。小宇宙と気配で人数は判るが、巨漢が多い場合には食材の微調整も行わねばならない。
そこに居たのは見慣れた顔ぶれではあった。大掃除にかこつけて双児宮の中を堪能したいサガファンの雑兵たち、カノンの手料理目当ての雑兵たち、そして正規に手配された本来の雑務要員たち。双児宮は左右のニ宮に分かれているため意外と広く、常に小奇麗にはしているものの、掃除には手間がかかる。
想定していたよりも多くの人員が集まっているなか、確認中のカノンの視線が一角で止まった。この場に居てはならないはずの人間がいたのだ。それも何人も。
聖域に居るはずの無いその者らは、海界の雑兵たちだった。
思わず反射的にサガの顔を確認してしまう。兄が気づいていない筈はない。何せ堂々と海界の支給服を着ているのだ。当人達はカノンの焦りなど気づきもせず、平気な顔をしてサガの説明に耳を傾けている。
「おい、何故お前らがここにいるのだ」
詰問口調になったのは仕方がない。聖域の雑兵が十二宮へ入ることとて特別扱いなのである。他界の兵士が入って許される場所ではない。
丁度サガの説明の区切りだったこともあり、全員がカノンの方をみた。
「カノン、入宮の許可はわたしが出した」
サガが穏やかな声で口を挟む。
「サガよ、海将軍を兼任しているオレが言うのも説得力がないだろうが、こいつら海闘士だぞ。いいのか」
「白羊宮と金牛宮には話を通してある。地形を覚えられぬよう五感を絶った上でここへ連れてきた。双児宮の内部は知られてしまうが、知られたところでここは幻惑の宮。戦時の際には通れるものではない」
一応、最低限の対処はした上での融通らしい。
「それにしてもこんな堂々と。衣服とて海界のもののままではないか。せめて聖域の服を貸してやるとか…」
「カノン。わたしは彼らを信じているが、衆目の集まる方が、不都合あるまい」
聖域の雑兵服にさせて区別付かずにしてしまうほうが、万が一の際によろしくない。常に誰かから見られているという状況のほうが悪さもしにくいだろうということだ。
それでも微妙な顔をしているカノンへ、海闘士たちが次々と訴えた。
「カノン様あんまりではないですか」
「そうですよ、聖域の者ばかりずるいです」
「俺たちとて貴方様に仕える身だというのに」
訴えられたカノンは、何のことか分からず戸惑う。
海闘士たちは続けた。
「聖域ではカノン様の私室を掃除できるだけでなく手料理まで振舞ってもらえるとか」
「いらなくなった備品や私物を下げ渡してもらえると聞きました。北大西洋宮の掃除は本当にただの仕事場の掃除で、そもそもカノン様の私物なんてほとんど無いじゃないですか」
「だからサガ様にお願いして、大掃除に参加させてもらったのです」
集まった海闘士たちは海界でのカノンファン一同だ。聖域でのカノンの住居を見学し掃除を手伝い、その上でカノンの私物が払い下げられるのであれば是非とも入手したい…そんなディープなファン達なのだ。
聞いたカノンは頭を抱えた。そんな理由で他界の中枢へ入れろなどと、雑兵ごときが図々しく頼み込んだのかと思うと、海界責任者の筆頭として非常に恥ずかしい。海界の教育体制はどうなっているのかと思われても仕方がない上、原因は自分だ。
叱っておかないと聖域に対して示しがつかない…そう口を開きかけたとき、サガの気配が変わった。
「カノン、わたしが許可を出したと言った」
よくとおる玲瓏な美声はそのままに、髪の色が黒く染まっていく。もうひとりの、闇のサガだ。
海闘士たちを庇うかのように出てきたサガに、カノンは目を丸くする。
「その者たちが頼んだというよりも、話を聞いてアレが招待したのだ。常日頃、お前の兄であるとはいえ黄金聖闘士であるこのサガを、海界の中枢で自由にさせている海界への感謝としてな」
実際にはきちんと監視がついているし、なにより海神が目を離さない。それでも海界への出入りは自由なうえ、黄金聖闘士としてではなくカノンの兄として扱われる。
サガが海界へと訪れることを許しているのに、ここで手順を踏んだ雑兵の聖域入りを叱るのは矛盾するし、体面についてはサガが「海界の懐の広さ」としてフォローしたので問題ない。
カノンは肩の力を抜き、仕方ないという面持ちでサガに答えた。
「おまえな、感謝の気持ちで呼ぶ連中に掃除させるなよ…昼飯を豪華にしなきゃならなくなったろ」
「そうだな、すまぬ」
口元だけで笑っている黒サガの顔には、詫びの色などまったく見えない。食事が良くなる発言により、周囲では歓声が沸いた。
「そういやサガ、お前は掃除のことまで海界で話してるのか?」
「いや、わたしは話しておらぬ。既に知っていたようだったゆえ、お前が話したのかと思っていたが」
二人が顔を見合わせてから海闘士たちの方をみると、今度は聖域の雑兵たちから声が上がった。
「あ、それは俺たちが話しました」
「なに」
「海界でのカノン様の情報と引き換えに、聖域でのカノン様の様子を伝えてます」
「……」
声を上げた雑兵たちは、聖域のカノンファングループである。一歩間違えば機密漏洩っぽくも聞こえるが、これはいわゆるファンネットワークという物に違いない。
互いの界の諜報部隊より情報の早そうなファン情報に、そして和平を結んでいるとはいえ知らぬところで進んでいる聖域と海界の雑兵交流に、双子も苦笑するしかなかった。
「では、始めるとするか」
黒髪のサガの合図とともに、一同は担当の場所へ散っていく。
昼食メニューの変更を余儀なくされたカノンは、聖域の食料倉庫へ向かうことにした。双児宮の食材だけでは足りそうにない。だが足どりは軽かった。
風はまだ冷たかったけれども、陽射しは暖かい。
(いい日だな)
とカノンは思った。
=============================
黒サガは自分目当ての雑兵たちがいることも知っているので、大掃除の時には出てきてくれますよ!
今日もぱちぱち有難うございます(>▽<)ご返信は後ほどさせて下さい。
=============================
刺すように冷たい朝の空気が、吐く息を白ませる。けれども空には雲ひとつなく上天気だ。高く昇りゆく太陽が大気を緩ませていく。
絶
カノンは大きく伸びをしたあと、髪をあげて縛った。今日は手伝いの雑兵たちも来てくれる。年に1度の大掃除の日なのだ。サガは既に宮の表広間の方へ出向き、雑兵たちに掃除場所やゴミの分別についての采配をふるっているはずだ。カノンの役目は宮内施設の修繕チェックと、出向いてくれた雑兵たちへお礼代わりに振舞う食事の準備である。
皆が集合しているはずの広間へ、カノンは自分も足を向けた。下ごしらえを始めるにあたり、食事の必要な人間を確認するためだ。小宇宙と気配で人数は判るが、巨漢が多い場合には食材の微調整も行わねばならない。
そこに居たのは見慣れた顔ぶれではあった。大掃除にかこつけて双児宮の中を堪能したいサガファンの雑兵たち、カノンの手料理目当ての雑兵たち、そして正規に手配された本来の雑務要員たち。双児宮は左右のニ宮に分かれているため意外と広く、常に小奇麗にはしているものの、掃除には手間がかかる。
想定していたよりも多くの人員が集まっているなか、確認中のカノンの視線が一角で止まった。この場に居てはならないはずの人間がいたのだ。それも何人も。
聖域に居るはずの無いその者らは、海界の雑兵たちだった。
思わず反射的にサガの顔を確認してしまう。兄が気づいていない筈はない。何せ堂々と海界の支給服を着ているのだ。当人達はカノンの焦りなど気づきもせず、平気な顔をしてサガの説明に耳を傾けている。
「おい、何故お前らがここにいるのだ」
詰問口調になったのは仕方がない。聖域の雑兵が十二宮へ入ることとて特別扱いなのである。他界の兵士が入って許される場所ではない。
丁度サガの説明の区切りだったこともあり、全員がカノンの方をみた。
「カノン、入宮の許可はわたしが出した」
サガが穏やかな声で口を挟む。
「サガよ、海将軍を兼任しているオレが言うのも説得力がないだろうが、こいつら海闘士だぞ。いいのか」
「白羊宮と金牛宮には話を通してある。地形を覚えられぬよう五感を絶った上でここへ連れてきた。双児宮の内部は知られてしまうが、知られたところでここは幻惑の宮。戦時の際には通れるものではない」
一応、最低限の対処はした上での融通らしい。
「それにしてもこんな堂々と。衣服とて海界のもののままではないか。せめて聖域の服を貸してやるとか…」
「カノン。わたしは彼らを信じているが、衆目の集まる方が、不都合あるまい」
聖域の雑兵服にさせて区別付かずにしてしまうほうが、万が一の際によろしくない。常に誰かから見られているという状況のほうが悪さもしにくいだろうということだ。
それでも微妙な顔をしているカノンへ、海闘士たちが次々と訴えた。
「カノン様あんまりではないですか」
「そうですよ、聖域の者ばかりずるいです」
「俺たちとて貴方様に仕える身だというのに」
訴えられたカノンは、何のことか分からず戸惑う。
海闘士たちは続けた。
「聖域ではカノン様の私室を掃除できるだけでなく手料理まで振舞ってもらえるとか」
「いらなくなった備品や私物を下げ渡してもらえると聞きました。北大西洋宮の掃除は本当にただの仕事場の掃除で、そもそもカノン様の私物なんてほとんど無いじゃないですか」
「だからサガ様にお願いして、大掃除に参加させてもらったのです」
集まった海闘士たちは海界でのカノンファン一同だ。聖域でのカノンの住居を見学し掃除を手伝い、その上でカノンの私物が払い下げられるのであれば是非とも入手したい…そんなディープなファン達なのだ。
聞いたカノンは頭を抱えた。そんな理由で他界の中枢へ入れろなどと、雑兵ごときが図々しく頼み込んだのかと思うと、海界責任者の筆頭として非常に恥ずかしい。海界の教育体制はどうなっているのかと思われても仕方がない上、原因は自分だ。
叱っておかないと聖域に対して示しがつかない…そう口を開きかけたとき、サガの気配が変わった。
「カノン、わたしが許可を出したと言った」
よくとおる玲瓏な美声はそのままに、髪の色が黒く染まっていく。もうひとりの、闇のサガだ。
海闘士たちを庇うかのように出てきたサガに、カノンは目を丸くする。
「その者たちが頼んだというよりも、話を聞いてアレが招待したのだ。常日頃、お前の兄であるとはいえ黄金聖闘士であるこのサガを、海界の中枢で自由にさせている海界への感謝としてな」
実際にはきちんと監視がついているし、なにより海神が目を離さない。それでも海界への出入りは自由なうえ、黄金聖闘士としてではなくカノンの兄として扱われる。
サガが海界へと訪れることを許しているのに、ここで手順を踏んだ雑兵の聖域入りを叱るのは矛盾するし、体面についてはサガが「海界の懐の広さ」としてフォローしたので問題ない。
カノンは肩の力を抜き、仕方ないという面持ちでサガに答えた。
「おまえな、感謝の気持ちで呼ぶ連中に掃除させるなよ…昼飯を豪華にしなきゃならなくなったろ」
「そうだな、すまぬ」
口元だけで笑っている黒サガの顔には、詫びの色などまったく見えない。食事が良くなる発言により、周囲では歓声が沸いた。
「そういやサガ、お前は掃除のことまで海界で話してるのか?」
「いや、わたしは話しておらぬ。既に知っていたようだったゆえ、お前が話したのかと思っていたが」
二人が顔を見合わせてから海闘士たちの方をみると、今度は聖域の雑兵たちから声が上がった。
「あ、それは俺たちが話しました」
「なに」
「海界でのカノン様の情報と引き換えに、聖域でのカノン様の様子を伝えてます」
「……」
声を上げた雑兵たちは、聖域のカノンファングループである。一歩間違えば機密漏洩っぽくも聞こえるが、これはいわゆるファンネットワークという物に違いない。
互いの界の諜報部隊より情報の早そうなファン情報に、そして和平を結んでいるとはいえ知らぬところで進んでいる聖域と海界の雑兵交流に、双子も苦笑するしかなかった。
「では、始めるとするか」
黒髪のサガの合図とともに、一同は担当の場所へ散っていく。
昼食メニューの変更を余儀なくされたカノンは、聖域の食料倉庫へ向かうことにした。双児宮の食材だけでは足りそうにない。だが足どりは軽かった。
風はまだ冷たかったけれども、陽射しは暖かい。
(いい日だな)
とカノンは思った。
=============================
黒サガは自分目当ての雑兵たちがいることも知っているので、大掃除の時には出てきてくれますよ!
今日もぱちぱち有難うございます(>▽<)ご返信は後ほどさせて下さい。
一晩たったので感想を…書こうと思ったらもう出勤の時間になったので、ネタバレSSを先に(汗)
ゲーム内容も書かずにSSが先にあっても意味不明だと思うんですが小宇宙で察してください(>△<;)ちゃんとした感想は夜にでも!他の皆様のゲーム感想も超希望!
ゲーム内容も書かずにSSが先にあっても意味不明だと思うんですが小宇宙で察してください(>△<;)ちゃんとした感想は夜にでも!他の皆様のゲーム感想も超希望!
タッグミッションでのパートナー救出時に、サガが星矢以外に何か特殊な事を言わないかなあと思って、ちょっとサガに浮気させてみました。
まずはシュラから!
=============================
「シュラ、わたしのパートナーになってくれないか」
「…………えっ?」
既にサガが星矢のパートナーになっていることを知っているシュラは、目を白黒させた。
確かに訓練用のパートナーは誰と組んでも構わないことになっており、別に咎められることではない。しかし、サガが15歳年下の後輩のことを非常に目にかけていることは周知であったし、そのこととは別に、いまのサガの笑顔から何ともいえない身の危険を感じ取ったのだ。
ことサガの件に関して、シュラの予感はよく当たる。長い付き合いなのである。
サガはきらきらした笑顔のまま、さらに頼み込んできた。
「お前の真央点を確認したいのだ」
とんでもない事をさらりと言う。真央点を突くと、瀕死の状態でも人は蘇る。しかしそれを確認したいということは、つまり瀕死の状態になることが前提なのだ。
善悪統合したサガは、ニ人格の価値観を強引にまとめあげているため、時々とんでもないことを言い出すことがあった。統合の副作用のようなもので、これは互いの人格が馴染むまで長い目で見るしかない。
「無論わたしが倒れた時は、逆にシュラにわたしの真央点を突いてほしい」
「………」
珍しくシュラが即答しないのは、サガの身を案じてでもある。
話を聞けば、ようするに二人でわざとボロボロになり、極限時での相性や対応をシミュレーションするのが目的のようだ。サガは抜群の耐久力を誇るせいか、自分の身をあまり大事にしない。黒サガは自分を大切にするが、それでもミッション程度の訓練であれば危険と認識しないのだろう。
考え込んでいるシュラの手をサガがとった。
「駄目か?お前が望まぬのなら、諦めてアフロディーテに頼みにゆくが…計画をたてたとき、最初に思い浮かんだのがお前の顔なのだ」
「…サガ」
最初に、という言葉にシュラは揺さぶられた。
こういうとき、誰よりも先にサガが頼る相手が自分であることを、シュラは罪悪感とともに誇りにもしていた。13年前にもサガは、最初にシュラを恃んだのだ。
サガのなかで、他の誰でもなくシュラが一番を担う部分がある。その領域において、シュラは「否」と答える選択肢をとる気はなかった。
「わかりました」
揺らがぬ目で答えたシュラへ、サガは嬉しそうに信頼の目を向けた。
だがシュラは知らなかった。ミッション慣れしたサガは、既にシュラの体力を大幅に上回り、倒れ伏すこと自体が非常に困難な状態であることを。
バーストガードで自ら体力を減らしまくり、わざと相手の拳の前へ飛び出しても、サガは無意識にセブンセンシズを発動させて無効化させてしまう。
シュラが味方のはずのサガの必殺技で幾度となく転がるのに比べ、サガは泣きたくなるほど丈夫だった。
「サガ。俺が倒れた時に声をかけてくれたの、最初だけじゃないですか?」
「…すまん、自分がやられるのに夢中になっていて」
しかも、その最初の1回の台詞が「転がっていろ」なのだ。
ようやくサガが倒れた時に真中点を突いたシュラのことばが、多少そっけなくても仕方がなかった。
ミッション後、微妙にへそを曲げたシュラは、サガが自分の取得した分の経験値を渡してなだめても、しばらく機嫌を損ねたままだった。
=============================
シュラをサガのパートナーにしてぼこぼこにしてから真中点を突いてみたんですけど、とくに専用台詞ない感じでした。シュラにもサガを助けさせてみたんですが上から目線でした。まだシュラで他のキャラを助けさせてないので断言は出来ませんが、シュラのほうも対サガ用専用台詞じゃないっぽいです。
シュラのあとアフロディーテもパートナーにしてやってみたんですが、アフロが「ンフ」とか言ってたので、やっぱアニメのアフロだなあと思いました。
…アイオロスでもやってみたんですけど、本当にこのゲームのアイオロスは勇・智・仁優れた聖闘士の鑑ですな(汗)。ちっともサガに色気のあることを言わないよ!皆に対して同じように健・全!
ただ「何もするまえに死ぬな」みたいなことを(汎用台詞ですが)言って助けてくれますので、自ら胸を突いて死んだサガには重い言葉だなあと思いました。サガは何もしないで死んだわけじゃないですけどね(>△<)
サガに対して何か専用台詞を言ってくれそうな相手をもう何人か試してみますが、ますますサガが星矢にべったりする結果になりそうです(汗)
今日もぱちぱち有難うございました。日々の潤いです。
そしてT様!SSありがとうございます!踊りまくりました。後ほど御礼メールさせて下さいね!
まずはシュラから!
=============================
「シュラ、わたしのパートナーになってくれないか」
「…………えっ?」
既にサガが星矢のパートナーになっていることを知っているシュラは、目を白黒させた。
確かに訓練用のパートナーは誰と組んでも構わないことになっており、別に咎められることではない。しかし、サガが15歳年下の後輩のことを非常に目にかけていることは周知であったし、そのこととは別に、いまのサガの笑顔から何ともいえない身の危険を感じ取ったのだ。
ことサガの件に関して、シュラの予感はよく当たる。長い付き合いなのである。
サガはきらきらした笑顔のまま、さらに頼み込んできた。
「お前の真央点を確認したいのだ」
とんでもない事をさらりと言う。真央点を突くと、瀕死の状態でも人は蘇る。しかしそれを確認したいということは、つまり瀕死の状態になることが前提なのだ。
善悪統合したサガは、ニ人格の価値観を強引にまとめあげているため、時々とんでもないことを言い出すことがあった。統合の副作用のようなもので、これは互いの人格が馴染むまで長い目で見るしかない。
「無論わたしが倒れた時は、逆にシュラにわたしの真央点を突いてほしい」
「………」
珍しくシュラが即答しないのは、サガの身を案じてでもある。
話を聞けば、ようするに二人でわざとボロボロになり、極限時での相性や対応をシミュレーションするのが目的のようだ。サガは抜群の耐久力を誇るせいか、自分の身をあまり大事にしない。黒サガは自分を大切にするが、それでもミッション程度の訓練であれば危険と認識しないのだろう。
考え込んでいるシュラの手をサガがとった。
「駄目か?お前が望まぬのなら、諦めてアフロディーテに頼みにゆくが…計画をたてたとき、最初に思い浮かんだのがお前の顔なのだ」
「…サガ」
最初に、という言葉にシュラは揺さぶられた。
こういうとき、誰よりも先にサガが頼る相手が自分であることを、シュラは罪悪感とともに誇りにもしていた。13年前にもサガは、最初にシュラを恃んだのだ。
サガのなかで、他の誰でもなくシュラが一番を担う部分がある。その領域において、シュラは「否」と答える選択肢をとる気はなかった。
「わかりました」
揺らがぬ目で答えたシュラへ、サガは嬉しそうに信頼の目を向けた。
だがシュラは知らなかった。ミッション慣れしたサガは、既にシュラの体力を大幅に上回り、倒れ伏すこと自体が非常に困難な状態であることを。
バーストガードで自ら体力を減らしまくり、わざと相手の拳の前へ飛び出しても、サガは無意識にセブンセンシズを発動させて無効化させてしまう。
シュラが味方のはずのサガの必殺技で幾度となく転がるのに比べ、サガは泣きたくなるほど丈夫だった。
「サガ。俺が倒れた時に声をかけてくれたの、最初だけじゃないですか?」
「…すまん、自分がやられるのに夢中になっていて」
しかも、その最初の1回の台詞が「転がっていろ」なのだ。
ようやくサガが倒れた時に真中点を突いたシュラのことばが、多少そっけなくても仕方がなかった。
ミッション後、微妙にへそを曲げたシュラは、サガが自分の取得した分の経験値を渡してなだめても、しばらく機嫌を損ねたままだった。
=============================
シュラをサガのパートナーにしてぼこぼこにしてから真中点を突いてみたんですけど、とくに専用台詞ない感じでした。シュラにもサガを助けさせてみたんですが上から目線でした。まだシュラで他のキャラを助けさせてないので断言は出来ませんが、シュラのほうも対サガ用専用台詞じゃないっぽいです。
シュラのあとアフロディーテもパートナーにしてやってみたんですが、アフロが「ンフ」とか言ってたので、やっぱアニメのアフロだなあと思いました。
…アイオロスでもやってみたんですけど、本当にこのゲームのアイオロスは勇・智・仁優れた聖闘士の鑑ですな(汗)。ちっともサガに色気のあることを言わないよ!皆に対して同じように健・全!
ただ「何もするまえに死ぬな」みたいなことを(汎用台詞ですが)言って助けてくれますので、自ら胸を突いて死んだサガには重い言葉だなあと思いました。サガは何もしないで死んだわけじゃないですけどね(>△<)
サガに対して何か専用台詞を言ってくれそうな相手をもう何人か試してみますが、ますますサガが星矢にべったりする結果になりそうです(汗)
今日もぱちぱち有難うございました。日々の潤いです。
そしてT様!SSありがとうございます!踊りまくりました。後ほど御礼メールさせて下さいね!