星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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前回SS「ハバネロ」の続きで白サガとロス
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「……」

サガは黙ってテーブルを見下ろした。
卓上にあるのは、空になったジャンクフード(とサガには思える)の空き袋。それを食べたのは目の前に座る射手座の主と、もう一人の自分。
ちょっと入れ替わっている間に、二人で星矢の土産の菓子を食べていたらしい。
アイオロスはサガの無言を人格交代後の調整時間と思っているようで、ソファーに背をあずけたまま、サガから話しかけてくれるのを待っている。

(確かにわたしは甘党だけれども、星矢の土産なのだ。アレも少しくらいわたしに気遣って残してくれていても良いではないか。しかも、いつの間に親しくなったのか、アイオロスには分けたのか。いや、アイオロスは客分ゆえに分けるのは当然かもしれないが、あんなに彼のことを嫌っていたくせに)

珍しくサガはむっとしたのだ。もう奥底へ引っ込んでしまったもう一人の自分に。

(いや、嫌っているというのは違うな。アレは…アイオロスを認めているがゆえに、勝手な理屈で反発している。それを思えば、アレと彼が親しむのは喜ばしいことかもしれぬが)

…なのに、何故腹が立つのだろう。

「ええと、サガ?」

アイオロスが遠慮がちに話しかけてきたので、サガは慌てて顔を上げる。
さすがに無言が長く、心配したのだ。

「お前は辛党か?」
「え、俺?」

サガの突然の問いにアイオロスは目を丸くした。ニ~三度目をしばたかせたあと少し首をかしげ、にっこり笑う。

「そうだな、どちらも好きだけれど、どちらかといえば甘党かも」
「そうか。ちょうどデスマスクの持って来てくれた蜂蜜菓子がある。持ってくるので一緒に食べよう」
「喜んで」

アイオロスが甘党と言ってくれたことに、どこかほっとしながら、サガは菓子と茶を用意しに台所へ向かった。

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でもアイオロスは「辛いもののあとに甘いものって、一層美味しく感じるなあ」とか、白サガが聞いたらまたむっとするようなことを天然に思っているのでした。多分両者とも自覚ナシに辛いもの=黒サガ、甘いもの=白サガ。
別部署ですが、職場でまた人が行方不明に(>ω<;)家にも帰っていないモヨウですがどこ行ったんだ大丈夫なのか…。うちの会社そういうのホント多いです。
…そんななか、心温まるお客様からのご予約。
「ネットで訳ありホテルの案内を見たんですけれど」
微妙にあってますが、それ訳ありプランですから(>△<)!

ようやく少し職場が落ち着いたので通常ブログ運行に戻れそう!わーい!物凄く物凄く妄想が溜まっておりました!そんなわけでサガとロスと星矢です。
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会話を交わしていたサガが、ふと言葉を止めた。その様子に首を傾げかけたアイオロスも、すぐその理由に気づく。双児宮にペガサスの小宇宙が近づいている。
双児宮には侵入者避けの結界迷宮が張り巡らされているのだが、星矢は気にも留めずに足を踏み入れてきた。その様子から、日ごろサガが通してくれることが当たり前になっているのだろうと、アイオロスは気づく。
「最近、よく遊びに来るようだね」
「ああ、彼は女神の信頼も篤い。指名での警護役も増えたので、聖域滞在も頻繁になって、そのついでに立ち寄ってくれるのだ」
そういう事を聞いたんじゃないんだけどなあと、アイオロスは内心で少しだけ零す。その間にも、星矢が元気な挨拶とともに部屋へ駆け込んできた。
「サガ、いる?」
応えるように振り返ったサガの髪が、一瞬で闇色へと変わった。星矢へ向き直ったときには、完全に黒サガへと化している。目の前のサガの変化にアイオロスはぎょっとしたが、星矢は何の動揺もなくサガへ笑顔を向けた。そして隣のアイオロスに気づくとぺこりと頭を下げる。
「アイオロスも居たんだ、こんにちは!」
「ああ、こんにちは」
「サガに渡すものがあって立ち寄っただけなんだ、すぐ女神神殿に行くから安心してくれ」
他意があるのかないのか判らない台詞とともに、がさごそと紙袋から何かを取り出している。
「これ!前にサガに話したことあったよな。凄く辛いって」
星矢が手にしたのは、ハバネロを原料につくられたというスナック菓子。
「例の駄菓子か」
「サガは辛党だって言ってたからさ、いけるかなと思って」
よければアイオロスも食べてねと、菓子を黒サガへ押し付けた星矢は、本当に慌しくそのまま上宮へと登って行ってしまった。にっこり片手を振って見送っている黒サガへ、アイオロスもにっこりと告げる。
「よければ俺にも分けてくれる?」
「断る」
いつもどおり、アイオロスへはにべも無い。
「ケチ。っていうか、何で君なの」
何で、というのは、何故黒サガのほうで対応したのかという問いだ。しかし、サガのほうが不思議そうに首を傾げる。
「わたしが呼ばれたからだが」
「…いつ」
「今だ。わたしの方を呼んだのを、お前も聞いていたろう」
「……」
アイオロスは黙り込んだ。星矢はサガの名を呼んだだけだったが、それだけで互いに通じているというのか。
「大体君は甘党じゃなかったのかい?」
「アレはな。わたしは辛い方を好む」
すると、やはり星矢の用件はこちらの黒サガにあったのだ。ならば黒のサガの出現に慌てていなかった様子にも納得がいく。最初から彼に会うつもりで呼んだのだから。
名を呼ぶだけでこちらのサガを引き出せる後輩を、アイオロスは一瞬羨んだ。
しかし羨むだけで終わらせる気は無い。
用事は済んだとばかり黒髪から銀髪へ戻りつつあるサガへ、アイオロスはぼそりと伝える。
「君が断っても、この菓子、俺も貰うからね」
人格移行しかけていたサガの様子が、ぴたりと止まる。
「断るといったはずだが」
「星矢は俺にも食べてくれと言っていたし」
「それほどこの菓子を食いたいか!光速で日本へ飛んで購入してくればよかろう!」
「君と一緒にそれを食べたいの。白い方の君ならきっと分けてくれると思うけど」
確かに彼が白サガへと戻れば、常識に従ってアイオロスへと菓子を分けるだろう。それに思い当たった黒サガは、唸りつつ人格変異を止める。
「駄菓子ごときにそこまでするか、貴様」
「ああ、俺にも分けてくれるまでは手段は選ばないよ」
その心を、とまでは言葉にせず、アイオロスはサガへ片手を差し出した。

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前記事のND感想とかまだ途中のまんまなんですけれども(>△<)とりあえずコメントのご返信優先で!
エリシオンの蟹と黒サガ
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野には美しい花々が咲き乱れ、甘やかな香りが大気に溶け込んでは消えていく。なだらかな曲線をえがく丘稜には、見渡すかぎり淡い緑が衣をなしている。
「は~、ここが黄泉比良坂と同じ『死』だとは思えねえなあ」
デスマスクの声は感嘆のかたちをとりながらも、半分呆れているように聞こえた。エリシオンへ足を踏み入れての第一声だ。
「地上とて均一の世界ではなかろう。死後とて同じこと」
答えたのは紅い邪眼を持つ黒髪の男、ジェミニのサガ。
不遜かつ倣岸なまなざしには、この美しい世界も、ここまでの道中に通り抜けた冥府も大差なく映っているようだった。
「そりゃそうだよな。俺だって死を操る黄金聖闘士だ。極楽浄土だの天国だのの存在は知ってたわけよ。ただ、なんつーか…俺の慣れ親しんだ死は、やっぱ黄泉比良坂なんだよなあ」
「あそこは入り口であって、まだ死ではない」
「一般人にはそうじゃねーよ」
黒髪のサガの冷静な言い分に、デスマスクは思わず笑った。
「ああ、でも俺はまだまだ死を判ってなかったのかもしれねえな…ここは死の世界だが、まあ悪くねえ」
眼を向けたその先には、ひらひらと紋白蝶がはばたいて、新しい花を探している。常春の暖かな陽気が眠気を誘うかのようだ。
「選ばれた者だけが来ることを許された楽園。ここもまた一般人にとっての死ではないが」
先ほどのデスマスクの言葉尻をとらえ、サガが肩を竦める。
「それでもさ、死という終わりに、地獄以外の場所があるってんなら、俺が巻き添えに殺したガキどももそっちへ行ってるかもしれねえし」
軽口めいた言い方をしたデスマスクへ、サガは一瞬視線を流し、それから空を見上げた。青く爽やかに広がっているそこには太陽がない。冥王は太陽を嫌うからだ。
「サジタリアスが言っていたのだが」
射手座の話題がこちらのサガの口からこぼれたことに、デスマスクは内心驚く。しかし顔にはおくびにも出さない。
「死は終わりではないのだと」
「へえ」
一体どんな話をしたのだろうかと興味を持って先を待つも、一向に続けられる気配は無く、しびれを切らしたデスマスクは自分から話を振ってみた。
「それで?」
「それだけだ」
「じゃあ死の先に何があるんです」
「新しい生、ではないか?」
サガは足元に咲く白い花を一輪摘んだ。可憐な鈴蘭は、摘み取られて更に涼やかと香りを増したようだ。
「お前が巻き添えにした者たちも、わたしが殺した者たちも、彼岸を越えてそろそろ新しい生を得ているかもしれん」
らしくない言葉の連続にデスマスクは苦笑する。
「アンタもしかして、慰めてるつもりなんスか」
「可能性の話をしただけだ」
「素直じゃないですね」
「では素直に言わせてもらうが、お前が悪くないといったこの世界、わたしにはどうにも退屈だ。地獄のほうがまだマシだぞ」
「いやまあ俺にも居心地は悪いっつか、上質すぎる椅子に座らされた気分ですけどね?アンタがそんな事をいうとは」
「こんな辺鄙で長閑な場所を好むのは、もう一人のわたしだけだ」
「辺鄙で長閑でも、神酒(さけ)と妖精(おんな)は不自由しないらしいっすよ」
「俗物め」
サガが完全に呆れの色を見せる。
「お前が誕生日にエリシオンへ行きたいなどというから一緒に来てみたが、本当はそれらが目的であったのだろう」
聖戦時に1度エリシオンは崩壊している。以前は神の道を越えねばたどり着けなかった至岸の世界だが、現在は復興中の冥界の片隅に仮設置されているため、八識を持つものならば潜り込むことは出来るのだ。
「誤解だサガ。エリシオンの酒も女も上等すぎて俺には合わねえ」
「では何が目的だったのだ」
「まあ、自分の力の立ち位置の再確認つうか…心の整理っすけど、アンタとのデートという副産物まで付いて来てラッキーというか」
「一緒に来てくれと言ったではないか」
「本当に来てくれるとは思ってなかったんですよ」
デスマスクがそう伝えると、黒サガは大きなため息をついた。
「貴様は阿呆だ」
「ずいぶんな言われようなんですケド」
「阿呆は阿呆だ。お前が誘い、わたしがそれに応える。それは幸運とは言わぬ。わたしは出来る限りお前に応えたいと思っているからな」
「へ?」
ポカンとした表情は、聖闘士としてでなく、完全に24歳の青年の素だ。
「…何でですか」
「だから貴様は阿呆だというのだ!」
サガは先ほどから弄んでいた手の中の鈴蘭を、デスマスクの鼻先に突きつける。
とても毒をもつとは思えぬ可憐な花からは、涼やかな香りが漂ってきた。
デスマスクがそれを受け取ると、サガは花むらの中へ腰を下ろした。デスマスクもつられるように腰を下ろす。どこか遠くから鳥のさえずりが聞こえてくる。

幸福を感じたのは、ここがエリシオンだからでは断じてないとデスマスクは思った。

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1日遅れましたけれども、デっちゃん誕生日おめでとう!(>▽<)
このあと「やはり退屈な場所だ。お前といるのでなければ帰っている」「場所はそうですけど俺は退屈じゃないですよ」みたいな会話をしていると、タナトスがぷんすかやってきて「貴様ら無断侵入しておいてその言い草は万死に値する!」とか言うんです。
でも、蟹は自分(死)の眷属のようなものだし、蟹は誕生日だから特別に許してやるとか言いだすんですけどね!

デスマスクは聖闘士の中でも特殊な位置にいるように思います。冥闘士に積尸気冥界波はあんまり意味ないということは、NDの蟹座デストールとガルーダの一件を見ての通りなんですが、じゃあなんで人類存続の戦いに備えて、黄金聖闘士の一人がそういう技を選択してるのかってことですよね。LC蟹じゃないですけど、他にも色々技のバリエーション持ってるか、何か他に意味があるのかもしれないなあとか妄想が広がります。

今日もぱちぱち有難うございます!日々の癒しです。
金銀かみさま誕生日おめでとうー!(>▽<)ノ
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やけに静かだと思いながら、タナトスは目を覚ました。
エリシオンは基本的に穏やかで喧騒などはないが、朝の支度を整えるはずのニンフたちの気配すらしない。
寝台から身を起こし、これは夜のうちに用意されていた衣服に着替える。袖の長い法衣タイプだ。黒濃紺の布に銀糸で縫い取りがしてある。本来であれば身支度を手伝う妖精も控えているはずなのだが。
異変を感じながらもタナトスに動揺がなかったのは、あたりにヒュプノスの神気が満ちていたためだ。おそらくヒュプノスが何かをしたのだろう。
部屋の外へ出ると、その予測は確信に変わった。給仕の女官たちも下働きのしもべたちも、すべて眠りについている。
タナトスは肩をすくめて、眠りの離宮へ向かうことにした。ヒュプノスにしては大がかりな悪戯だ。
一歩外へ出ると、それは宮のなかだけではなかった。道すがらさえずる小鳥もおらず、花々を飛び交う蝶すらみえない。
(何事だヒュプノス)
小宇宙通信で話しかけるも、いらえはない。
「……」
常ならば双子とはいえ、許可を得て相手の宮を訪れるのだが、タナトスは仕方なくそのままヒュプノスの神殿へと踏み込んだ。やはりこちらも召使たちが深い眠りについている。客間を通り抜け、真っ直ぐに向かったのは、ヒュプノスの私室だ。タナトス以外、勝手に足を踏み入れることの許されぬ領域の、さらに奥部屋である寝室。タナトスはわざと乱暴に音をたてて扉をあけた。
「…何をやっているのだ」
そこではヒュプノスも眠りについていた。返事のないことから想像はしていたものの、来室の音にも目を覚ます様子はない。
「起きろ」
念のため声をかけて、鼻をつまんだりもしてみたが、一向に反応がないままだ。
タナトスは腕を組んでため息をついた。意図はわからないが、これはまるで眠り姫だ。全ての従僕たちとともに100年の眠りにつく城の主。
ヒュプノスがほどこした強力な眠りを、門外漢のタナトスが解除など出来るはずもない。しかも、理由や解除方法を尋ねようにも、本人まで眠っているときた。
(おそらく、何かを目覚めの鍵にしているはず)
タナトスは考えて顔をしかめた。これはお約束というやつなのだろうか。
一瞬躊躇したものの、タナトスはまずヒュプノスの額の金の星へ口付けた。
…変化はない。
ため息をつき、1回深呼吸をしてから、こんどは唇へキスを落とす。触れるだけの、羽のような接触だ。
しかし、想定外のことにそれでも何の変化もない。
今度こそタナトスは困った顔をした。
(まさかこれ以上のことを?)
これ以上ってなんだと、タナトスは内心で自分に突っ込む。
「どうしろというのだ、ヒュプノス」
さんざん逡巡したあと、こぼれ落ちた名前に眠りの神はぴくりと反応した。凝視していると、ゆっくりと瞼が開かれ、長い睫毛の下から金色の瞳がのぞく。どうやら名前を呼べば良かったらしい。外ではヒュプノスの目覚めに合わせて、他の者たちも一斉に動き出した気配がする。
余計な行動をしてしまった自分に赤面するが、どうせ誰も見ていないのだとタナトスはなかった事にした。
目覚めたヒュプノスは、あくびを1つこぼしてからタナトスを見上げた。
「おはようタナトス、来てくれたのだな」
「この状況では来るしかなかろう!何だこれは」
ヒュプノスは応えず、横になったまま布団の中から手を伸ばしてタナトスの手を掴む。
「誕生日おめでとう」
「は?」
繋がりがわからないのか、間の抜けた顔をしたタナトスを見て、ヒュプノスは楽しそうに笑った。
「誰よりも最初に、お前にそう言いたかったのだ」
「まさか、そのために全員眠らせたのか!?それならばお前が最初にオレのところへ来ればいいだけではないか」
叱るつもりが、そんな事を言われては何も言えない。妥協案として呆れ顔をするしかない。
「お前に私のところへ来て欲しかったのだ」
「…お前、オレに短慮だの言うわりに、これは深謀なのか」
「タナトス」
手を掴んで見上げたまま、ヒュプノスが訴える。
「私が欲しいのは、もっと別の言葉だ」
金の瞳が子供のように期待している。欲しいものを受け取れるのが当然と思っている瞳だ。
「ヒュプノス、誕生日おめでとう…まったく、いい歳をして甘えるな」
口先では怒りながらも、タナトスは苦笑しながら半身の望む言葉を返した。

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タナトスがオルフェウスに交渉して、ヒュプノスの誕生日をお祝いするために、彼と竪琴の連奏とかすればいいのになあって思いました。…って書いてからファラオも思い出したファラオごめん。タナトスの中でもオルフェのほうが竪琴の腕前の評価が高いんです。でも折角だからファラオも。あ、パンドラのハープも付け加えたい。サガ経由のカノン経由で海界からはソレントも呼んだらフルートも付くよ!そこまできたらヒュプノスも一緒に参加して小さな音楽会になればいいですね。めずらしくほのぼのエリシオン!
パソコン整理してたら出てきた発掘SS。いつもの双子+星矢
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「サガって、肌がキレイだよなあ」
顔を覗き込みながら星矢が感嘆した。それだけでなく、実際に手を伸ばして頬に触れている。隣で新聞を流し読んでいたカノンの眉がぴくりと上がったが、何も言わない。星矢に他意のない今のところは。
「色も白いし、やっぱあれなのかな、顔をずっと隠して法衣もきっちり着込んでいたせいかな」
星矢はすっかり双児宮に馴染んでいて、双子たちとの関係も、ゴールドの先輩とブロンズの後輩というよりは、年の離れた兄弟のようだ。会話内容も、他者であればサガの過去に配慮して、とても言えないような話題である。
近づきすぎた顔を咎めることもなく、サガはソファーへ座ったまま、にっこりと星矢のするがままに任せている。
「男の肌にキズひとつないのは、自慢にならないのだろう?リザドに聞いたぞ」
「男の身体に、だよ。自慢にはならないって今でも思ってるよ。サガは戦いの傷は結構あるじゃん」
「女性ならば自慢にしてよいのか」
「女性の身体にキズがあったら大変だよ」
たわいもない会話だ。しかし、サガがそんな風に雑談をする相手は非常に限られる。
星矢はふと思い出したように目をくるりと光らせた。
「魔鈴さんやシャイナさんもね、聖闘士だから身体に傷は沢山あると思うんだ。でも仮面で隠されてる顔は綺麗だと思う」
「見たことはないが、美人だそうだな」
「あ、うん。シャイナさんは美人だった。魔鈴さんは俺も見たことない。でも美醜の話じゃなくて…女聖闘士の仮面の掟って、女性を守るためでもあるのかなって、最近思う」
「ほう、どのように?」
「女性には仮面の掟で厳しく覚悟を求めるけど、誰かを愛した時には女性に戻れるよう、女性にとって大切な顔にだけは傷がつかないよう、仮面で顔を保護する意味合いもある気がするんだ」
「…女神は優しいかたゆえ、そのようなご配慮もあるやもしれぬな」
「でも、顔を見られたら殺すか愛さなければならないって理由はよく判らない」
困ったように首を傾げる星矢を前に、サガが吹きだした。星矢の前では、サガはよく笑った。
「教皇を僭称していた頃のわたしには、マスクの下の素顔を見られたら、殺す一択しかなかったよ」
そんなサガを前に、星矢の瞳がまたきらりと光る。
「いまからでも、選択肢増やせばいいじゃん。素顔を見たものを愛すって」
黒目の大きな意志の強い瞳が、ふいに真剣にサガを見つめる。
サガは笑みを消して静かに星矢を見つめ返した。
「実はもう、増やしている…と言ったら、お前は」
そこまで言いかけたサガの頭を、カノンがぽかりと丸めた新聞紙で叩いた。
「なにをする」
抗議の声をあげたサガを無視して、カノンは続けて星矢の頭もぽかりと叩く。
新聞紙ゆえに痛くは無いが、星矢は頭を抑えて訴えた。
「カノンのけち!」
「オレの目の前でやらかす度胸は褒めてやるが、止めるに決まってんだろ」
横で目を白黒させているサガをそのままに、カノンはまたソファーへ腰を下ろして丸めた新聞を広げ、のんびり読み始めた。

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女聖闘士の仮面についての話にするはずだったのに、なんか星矢サガ的な話になってる!サイトへの移行時に手直ししたいココロ。
今日もぱちぱち有難うございます(>ω<)コメントご返信は次回にさせて下さい。
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