星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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前回記事の件で、嬉しさのあまり脳内で展開していた妄想。
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カノンが海界の仕事を終えて聖域へ帰ってくると、なにやら双児宮の方向からただならぬ気配が感じられた。
それは今までに感じたことの無い、不思議な気配だ。
敵の小宇宙ではない。双児宮に守護者以外の存在が入り込んだのなら、自分にもすぐさま察知できる。
そうではなく、馴染んでいるはずのジェミニの小宇宙が、異様に肥大してざわめいているのだ。小宇宙が高められているのとも違う。コップから溢れた水が零れ落ちるように、増えすぎた小宇宙が、ただ双児宮からあふれ出している。やかましいほどに。

カノンが双児宮へ近づくと、それは実際の騒音として耳に届いた。
眉を顰めて居住区の扉をあけると、部屋の中には自分と同じ顔をした者たち大勢いて、一斉にこちらを見る。
「また一人増えたぞ」
「あれはオリジナルだ」
「何が違うと言うのだ。同じだろ」
「どうでもいいが狭い」
すし詰め状態の部屋のなか、ひとり優雅にソファーへ腰を下ろしている者がカノンへ声をかけた。
「カノン、おかえり」
こいつだけはサガだ。カノンは直ぐに判別した。
しかし判別と同時に怒鳴り返す。
「これは一体どういうことだ!説明してもらおうか!」
「いや、その…」
多少は後ろ暗さを感じているのか、サガの視線は微妙に泳いでいる。
「その、いわゆる異次元界の技術による三次元コピーなのだが、その世界では過去のお前を500円…本日換算約4.92ユーロで買えるというので、つい100人ほど購入してしまったのだ」
「アホか!!!」
カノンが叱りつけたのも当然だろう。まだ視線を逸らしたままの兄へ、容赦なく詰め寄る。
「何か?オレだけでは足りぬということか?実物がいるのに何故買う!大体どうやって養う気だ!」
「い、いや、お前に不満などない」
慌ててサガは弁明した。さすがにそこは誤解されたくないのだろう。
「彼らは自分で生活できると言っているので、養育費の心配も無用なのだ。ただ…彼らは改心前のお前でな…先ほどから皆でわたしを悪の道に唆すので困っている」
「困っていると言いながら、何故そんな嬉しそうな顔をしているのだ。自分でなんとかしろ。オレも勝手にさせてもらう。お前の真似をして、過去のお前を買うのもいいな」
「残念ながらわたしは売っていなかった」
「ふざけんな不公平だ!」

結局コピーたちは異次元界に返されたものの、サガが勿体無さそうな顔をしていたので、カノンは一発殴っておいた。

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SSですらなくホントに妄想としかいいようがない!(^▽^)
DL販売は1コードにつき1回しか買えないので100人買うのは実際には無理です。そこを何とか出来てもサガ一人にカノン100人いたらサガの身が持たないので諦める!

あと、何気に邪武編のオチに笑わせてもらいました。アルデバランが居ない設定なのも芸が細かかったです。戦闘相手にミロがいるのもいい感じ!
昨日も仕事後はゲームできずバタンキューでした。
次はサガ戦!て思ってましたが、考えてみたらまだ教皇宮へ行くまでの魔宮薔薇の道のり戦闘&イベントがありますよね。魔鈴さんとの。今夜あたりそこを頑張りたいです。

そういえばゲームでは相手を倒したり、置いてある壷や柱を壊すと回復元気玉みたいなのが出てくるんですよ。それらを適宜利用しながら体力を回復したりして進むんですけど、考えてみたらあれは何だろう。
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「星矢、何をしているのだ?」
紫龍は声をかけた。雑兵たちとの戦闘が終わった後も、星矢が動こうとしないのだ。今はアテナの化身である沙織さんが胸を射抜かれ、12時間というリミットの中で教皇宮を目指さねばならない緊急時であり、時は一刻を争う。なのに星矢は立ち止まり、きょろきょろと辺りを見回している。
その視線が、道の一角にあった瓶を捕らえたかと思うと、彼は駆け寄っていきなりその瓶を壊した。
「星矢?」
「やっぱりあった!」
瓦礫の中から星矢が拾い上げたのは、干し肉と水筒。
星矢は倒した雑兵たちの衣服もあさり、飴や菓子などを抱えて戻ってきた。
「紫龍たちは別場所で修行したから知らないかもしれないが、聖域では訓練や稽古の合間も、身体づくりや体調管理の一環として、糖分やミネラル補給を欠かさないんだ。だからみんな簡素ながら何か持ってるし、瓶なんかに隠して置いといたりするんだよ」
そう言いながら、手に持った飴を瞬や氷河の口にも押し込んでいる。
「12時間というのは結構長期戦だからさ。回復できるスタミナは回復しておかないと」
干し肉を渡された紫龍は、困ったような顔をしつつ星矢に尋ねた。
「…これは泥棒にならないのか?」
しかし星矢は爽やかな笑顔で答える。
「ドラクエだってタンスの中から物持ってくっていうじゃん。アテナを助けたら後で返せばいいんだよ」
「そ、そうか。まずはアテナを助けるために、万全を期すのが先決か…」
手段には不服ながら、今は緊急時である。
多少の融通をきかせねば最後までたどり着けない。真面目な紫龍も、そう割り切ることにした。
「でも、それなら瓶は壊すことないんじゃない?」
瞬が女の子のような可愛らしい顔で首を傾げている。
「うん、証拠隠滅しとこうと思って。戦闘で中身ごと破壊されちゃったのなら仕方ないって思ってもらえるよ」
星矢の返事を聞き、これは返す気がないなと瞬だけはこっそり思った。

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柱を壊して元気玉が出てくる理由は捏造できませんでした(>ω<)
今日もぱちぱち有難うございます!仕事前の元気玉です。
星矢、誕生日おめでとうー(>▽<)
10/30(ラダ誕)から12/1(星矢誕)に至る怒涛の記念日&誕生日期間て、スーパーコンボですよね。いつか全部決めてみたいものです。

星矢のラスボスキラーなところが大好きです。
NDではインビジブルソードに刺されて意識のない星矢ですが、早く過去ミッションが成功して、また元気な姿を見れるといいなあ。今日からまたND再開ですよね。早くチャンピオン販売時間にならないかな!

で、星矢の誕生日に話を戻しますと、星矢は皆にお祝いしてもらえそうですよね。聖域で修行してたので雑兵にも顔見知りは多いでしょうし、女神や聖闘士たちは勿論祝うでしょうし。でも夜は星華姉さんと二人でささやかながらアットホームな誕生日を迎えても欲しいなあ…誕生日を祝う習慣のないギリシアと異なり、星華姉さんは日本人なので、ちゃんとケーキを焼いてくれたりして、星矢が「ごちそうだ」って感激したり。

夜はお姉さんに譲るとして、昼間はサガも思いっきりお祝いモードに違いない。星矢がみんなにおめでとうって言われてるのを、嬉しそうに誇らしげに見ているので、カノンが「何でお前がそんな誇らしげなんだ」って突っ込めばいい。それに対してサガは「星矢はこのわたしを倒した男だ(※)。その彼が皆に認められるのは嬉しいことだろう?」って、微妙に返事になってない返事を返しますよ!
※ちなみに星矢は勝ちましたけど倒せてませんよね。でもサガにとっては戦闘であれだけやられたこと自体初めてなので、すっかり倒された認識です。

もうサガは星矢のわんこでいいです。以下星矢とサガでイチャイチャ系。
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今日は星矢の誕生日だ。昨日のアイオロスの誕生日にひきつづき、聖戦勝利の立役者を祝う者の訪れが絶えない。
アイオロスは人馬宮で皆を迎え入れたが、星矢用には女神の好意で、小さめながら迎賓用の広間が貸し出された。聖域での星矢の住まいは、寝るだけが用途の狭い修行小屋であり、とても来客を呼べる作りにはなっていないためだ。
広間の中央には、ケーキや菓子皿やオードブルが並んでいる。星矢は大仰なことはしなくていいと断ったのだけれども、半分セレモニーの意味合いもあると女神に主張され、公務として押し切られたのだ。
ぶつぶつ言っていた星矢も、目の前に食べ物が並ぶと嬉々として食べ始め、少し離れた場所から眺めていたサガは目を細めた。
(あの子供のような少年が、かつてはわたしを退け、聖戦では神をも倒したのだ)
くるくると動き回っている姿は、主賓としては落ち着きがない。しかし、こと星矢に関してはそれを諌める気にならなかった。例えばこれが弟のカノンであったなら、一言言わずにはおれなかったのではないかと思う。
(やはりわたしは星矢に甘いのだろうか)
隣宮に住む後輩の指摘を思い出して苦笑する。
だが、そういうデスマスクも青銅聖闘士たちには多少優しいことを、サガは知っている。デスマスクだけではない。黄金・白銀聖闘士たちのすべてが、青銅聖闘士の五人のことを目にかけている。
本来、上位聖闘士たる自分たちがすべきことを、不甲斐なさから青銅の少年たちに肩代わりさせたという思いがあるからだ。
その星矢が、サガを呼んだ。
「どうした、星矢」
低く張りのある声は、聞くものを酔わせる。姿かたちだけでなく、声まで人を惹きつけるのがサガだ。しかし星矢は頓着せず、もっと顔を近づけろとゼスチャーをしている。
「?」
首をかしげながらも、視線の高さを合わせるために屈みこむと、星矢はにっこりとフォークにイチゴを刺してサガの口元に差し出してきた。
「あーん」
食べろということだろう。サガは目をぱちりと瞬かせながらも、そのイチゴを口にした。ケーキや菓子皿の並ぶテーブルから、甘い匂いが漂ってくるが、その甘さに負けぬ瑞々しい味わいだった。
「美味しいだろ?さっき食べたら凄く美味しかったから、サガにも食べてみて欲しいなって。おすそ分け」
「…ありがとう、星矢」
厳格な階級社会に育ったサガにとって、このように親しげなやりとり自体、新鮮なものだ。本来であれば青銅聖闘士の星矢とて、黄金聖闘士であるサガに対してそのように振舞うことは許されない。しかし、個々の付き合いがあれば別だ。シオンや童虎も、白銀聖闘士に無二の親友がいたと聞いている。
(こうしていると、周囲からは、まるで友達に見えるかもしれないな)
そう考えかけ、サガは赤くなった。友人であったら嬉しいのにと考えた自分が、少し図々しいような気がしたためだ。
「ちなみに、呼んだのは別件なんだ」
星矢の声でサガは我に返り、また首をかしげる。
「なんだろう」
「実はさっき、アフロディーテがお祝いにって花を置いてったんだよ」
「アフロディーテがか」
「うん、それも薔薇!俺に花なんて似合わないって思ったけど、その薔薇は『ペガサス』という名前なんだって。わざわざ取り寄せてくれたらしくって。アフロディーテがそこまでしてくれるなんてびっくりした」
「彼は認めた相手にはマメだよ」
「でも、花を渡しながら『名前をあわせてみたが、思った以上にお前は花が似合わない』なんて言うんだぜ!『お子様にはこちらのほうが良かろう』って駄菓子の包みも寄越してさ…まあ、嬉しかったけど」
「アフロディーテらしいな」
「で、更にあいつが言ったんだ『もうすぐサガが来るから、そのペガサスの薔薇を一輪渡してくれないか』って」
「わたしに…」
星矢の誕生日に、何故自分が星矢から薔薇を貰うのだろう。プレゼントをする立場は自分なのではなかろうか…サガは胸中で不思議に思ったが、星矢は疑問を持っていないようだ。
花篭のなかから1本、一番美しい薄紅色の薔薇を選び、星矢はそれをスッと抜いた。
贈り主の配慮なのか、棘は処理されている。
「そんなわけで、俺と同じ名前の花を、貰ってくれる?」
薔薇を差し出してくる星矢の瞳は真っ直ぐで、思わずサガは見惚れ、そのことに内心で動揺しうろたえた。
(花を貰うことなど、慣れているはずなのに)
そして、サガをもっと動揺させたのは、星矢からの花を受け取ったとたん、周囲でざわめきと歓声が上がったことであった。口笛を吹く雑兵までいる。
「やるなあ、星矢!」
「お前ならイケるぞ!」
「目標は高い方がいいさ!」
冗談まじりの応援の声からして、どうやら花のやりとりが何かを勘違いさせたようだ。
慌ててサガが誤解を解こうとする前に、星矢が遮る。
「サガ、ピンクの薔薇の花言葉は『愛を待つ』なんだって」
星矢が花言葉なんて知っているわけがない。これもアフロディーテの入れ知恵だ。
「俺も待ってみていいかな?」
周囲はますます盛り上がっている。
(これはおそらく、アフロディーテの仕掛けによるイベント盛り上げ企画だ。星矢は知らず乗せられているだけだ)
そこまで現状把握できているのに、サガはそれを冗談として流すことが出来ない。
「…それに応えれば、お前への誕生日プレゼントになるのだろうか」
「なるよ!」
星矢は嬉しそうに身を乗り出した。
「誕生日の今日限定でいいから、サガと仲良くしたい」
野次馬の盛り上がりは最高潮を見せたが、既にサガの耳には星矢の声しか聞こえていない。
サガは手の中の薔薇をそっと握りなおした。
「では、この薔薇が枯れるまで、わたしはお前のものとなろう」
のちにその場にいた者たちは、サガのことを『あれは真剣モードだった』と語る。

しかし、星矢のもの宣言をしたサガが何をしたかというと、星矢と一緒に寝起きして修行したりご飯を食べただけだったので、野次馬たちは微妙にがっかりした。

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サガの小宇宙が薔薇に精気を与えて、薔薇がちっとも枯れないパターンもあればいいと思いました。サガが星矢を思い続けてる間は薔薇が枯れないので、カノンやアイオロスが薔薇をなんとか萎れさせようと色々するような泥沼も大好きなんです(>ω<)でも今日は星矢の誕生日なので泥沼なし!

今日もぱちぱち有難うございます!毎日の癒しです。
以下ロスサガでロスリアで黒リア黒なお話の続き。
2を書いたのはいつかなと思って日付を見てみたら2年以上前でした。わー、まったりペースにも程があるΣ(゜◇゜)
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「お前も知っていようが、射手座の間合いは、やや広めだ。翼を活かした滞空時間の長さは、空中からの攻撃を有利にさせる」
訥々と話す黒サガの分析に、アイオリアは頷いた。
兄であるアイオロスの戦闘スタイルは、昔よく稽古を受けていたアイオリアには既知のものだ。
ただ、当時のアイオリアは、黄金聖闘士の座にあったとはいえ、まだ幼かった。対等に兄と向き合うには、まだ修練や肉体年齢が足りなかったのだ。
その点、サガは唯一の同期として、アイオロスと共に幾多の任務をこなし、同じ実力を持つもの同士の修練や組み手をおこなっている。より細かい洞察もできるだろう。
13年たった今ならば、兄に相対しても、獅子座として、男として、後塵を拝さぬ自負はある。しかし、脳裏でイメージトレーニングによるシミュレーション戦闘を行うとき、やはりやっかいなのが上方からの攻撃だった。
必殺技に対しては必殺技で対応可能だ。たとえば、小宇宙を幾千の矢に変えて相手を射抜くインフィニティブレイクは、ライトニングプラズマで相殺できる。相殺できず互いに痛手を負うかもしれないが、そのとき活きるのが、そこに至るまでに相手へ負わせていた通常攻撃でのダメージなのだ。
「ああ、だから俺の攻撃を届かせるには、こちらが間合いへ飛び込むしかないのだが…」
それが容易ではない。
直接攻撃を得意とするアイオリアが、実力を発揮するための接近を、アイオロスは簡単には許さない。
そう言うと、黒のサガは小さく笑った。
「そうだな。わたしはその距離を大技で埋めるしかないが、お前にはわたしにない武器があろう」
「俺に?」
アイオリアは首をかしげた。サガはとても汎用性の広い攻撃力を持っている。精神技、異次元を開く特殊技、遠距離にも放てる物理攻撃、相手の攻撃を無効化する防御など、数え上げればきりがない。そのサガになくて己が持つ技などあったろうか。
「お前はサイコキネシスを使える」
「確かに使えるが、攻撃に使えるほどの威力はない」
ムウほどの力があれば別だが、多少のパワーでは、相手の小宇宙に遮られるのがオチだ。直接拳を叩き込むほうが威力も効率も上のはずで、良くてフェイント程度の使い道だろう。
けれどもサガは笑みを崩さない。
「充分だ。それだけの力があれば、お前は空を駆けることができる」
「兄さんと同じように飛べということか」
「常時浮かずともよい。宙に足場さえつくることができれば、それを足がかりに、空中での方向転換や直接攻撃も可能となる。そうなれば、なまじ翼を持つがために空気抵抗の多いあの男よりも、お前の攻撃の方が早い」
「なるほど、試す価値はありそうだ」
他人の視点というのはとても参考になる。自分では気づかぬ可能性を開いてくれる。
「では、約束どおり手助けをしよう。お前がその力を実戦で使いこなせるようになるまで」
「どうするんだ?」
「まずは宙に立て。そのお前を目掛けて、わたしが光速拳を乱打する。すべて空中で避けろ」
「反撃していいか」
「すべて避け切れたら。ただし、簡単にわたしの拳から逃れられると思うな?」
黒髪のサガは、獰猛な獣が獲物を食いちぎるときのように、楽しそうだった。
「どうして、そこまでしてくれるのだ」
アイオリアの13年間に対する贖罪だとは思わない。ただの気まぐれだろう。だが、計算高いこの男が、ただの気まぐれでここまで労を割くだろうか。
「黄金の翼を持つあの男が、翼を持たぬお前に倒されたら、さぞかし愉快だろうから」
「サガ、お前は」
兄さんが好きなのだろうという言葉は、どうしても口に出せなかった。

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拙宅終わってない続き物多いんですけど、続き書く気はあるんです…もたもたとですが…(>△<;)
昨日のパターンで拗ねサガバージョン
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銀の髪が、豪奢にソファーから零れ落ちている。それだけではなく、着崩れた法衣の合間から、けだるげに伸ばされた手足も覗いている。
サガがソファーの上で、やる気なく横たわっているのだ。
几帳面なサガが、このようにだらしのない姿を見せるのは、非常に珍しいことだった。
『ほうけているのならば、身体を使わせろ』
精神内でもうひとりのサガが呆れたように半身を見下ろした。精神内でも白のサガは横たわっていた。
「勝手に使えばよい」
『それでは遠慮なく』
途端に現実世界のサガの髪が、さあっと黒くなっていく。
白のサガは抵抗する様子もみせない。
黒のサガとなった彼は、ソファーの上へ上体を起こした。
「先約があったのならば仕方なかろう。気分を変えてお前も誰かと出かければよかったではないか」
肉体を支配したサガが、精神内のもう一人へ囁くと、内部で彼はやっぱりやる気のない声で答えた。
『今日はカノンと出かける気分だったのだ』
「そんなことで神とまで讃えられたお前が拗ねるな。カノンの交遊が広がるのは良いことだろう」
『それは嬉しいと思っている』
その言葉が嘘でないことは、同一体である黒サガには判っている。
しかし、精神内でサガは転がったままだ。
「起きないのならアテナのもとへ行くぞ。あの小娘の前では、お前もそのような腑抜けた態度ではいられまいからな」
そう伝えると、ようやく白のサガは顔だけ上げて黒サガのほうをみた。
『カノンがわたしの誘いを断るなんて、初めてだったのだ』
「…」
存在を秘されていた自称悪の弟は、まともな交友関係など持っていなかった。つるんでいた悪童たちとサガでは、カノンの中で比較にもならず、よって、サガが休暇に弟を誘えば、カノンは素直でないながらも必ずその誘いに答えてくれたのだ。
『今日くらい、カノンに文句を言いながら1日寝ていてもいいだろう』
「……カノンは悪くないぞ」
『わかっている。だからどこへも出かけない。誰にもこんな姿は見せない。お前以外には』
黒のサガはため息をこぼし、白サガの隣へ腰を落とした。白のサガは真っ直ぐだが、そのぶん不器用で頑固だった。
「仕方がない。わたしが1日つきやってやろう」
黒髪の彼がそう答えると、サガはじっと半身を見上げ『お前だけは最後までわたしと一緒にいてくれるのだな』と笑った。

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外が暗くなるまでソファーに転がってるサガです。サガは自律心のしっかりした人なので、他人の前では絶対こんな姿見せないとは思うのですが、黒サガの前でくらいは本心見せてもいいですよね。
休暇のはずなのに動く気配のないサガの小宇宙を案じた隣宮のデスマスクが、夕方になると様子見がてらご飯持ってきてくれますよ!デスマスクはサガの嫁になればいいのに。

今日もぱちぱち有難うございます!毎日の潤いです(^▽^)
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