誕生日おめでとう双子たち(>▽<)皆様のお祝い作品にうはうはです。うう、今年は仕事でばたばたしていて、自分のところであまりお祝いが出来ていないのが悔しすぎる。夜にも何か書ければいいのに。LC双子ネタも書きたいなあ…
以下誕生日ネタでロスサガ
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闘技場を目指して十二宮を降りていたアイオロスは、双児宮から出てくる人影をみつけて、軽く手を振った。黒サガだったがそんな事は気にしないのが彼だ。サガ側はといえば、直ぐにアイオロスに気づき、軽く顔をしかめたものの、珍しく声をかけてきた。
「早いな、今から鍛錬か?」
「ああ、そうなんだ。君は?」
まだ陽も昇っておらず、東の空は明るくなり始めたものの、辺りは薄暗い。
アイオロスは頷きながらも、何気なく探りを入れる。黒髪のほうのサガは、基本的に自分で食事を作らないため、そのあたりの雑兵を捕まえては朝食の用意をさせることが良くあるのだ。
その度に黒サガファンになる雑兵が増えるので、牽制はしているのだが、なかなか追いつかない。
しかし、どうやら今朝は朝食確保のための外出ではないようだ。よく見ると黒サガはアイオロスと同じように、訓練用の身軽な麻服を着用している。
黒サガはあっさりと返事をした。
「わたしもだ。丁度よい、貴様が暇ならば、わたしの鍛錬に付き合え」
「え、いいのか?」
声をかけたほうのアイオロスが驚いた。いつもならば挨拶をしても無視をされることも多い。こちらのサガは明らかにアイオロスと関わりを持たぬようにしているのが見て取れるのだ。
勿論、そんな距離感はアイオロスの不満とするところである。
機を見ては、手を変え品を変え接するようにしているのだが、その成果が出てきたのだろうかと、じっとサガを見た。
「何だ、わたしの顔に何かついているか」
「いいや、それよりじゃあ直ぐ行こう!訓練場を確保しないとね」
早朝ではあるが、訓練生たちもそろそろ修行の始まる時刻だ。黄金聖闘士同士の訓練ともなると、周囲に被害を及ぼさぬよう広範囲の場所が必要となるが、訓練生たちを追い出して陣取るわけにもいかない。先に専用闘技場を確保する必要があった。
気が変わらぬうちにと、アイオロスは黒サガの手を返事も待たずに掴むと、鼻歌を歌う勢いで道を駆け出した。
アイオロスとサガの稽古は、当然ながら実戦さながらの激しさで、拳の打ち合う音が遠くまで響き渡る。ただし、拳速はマッハ程度だ。逸れた攻撃が地面をえぐる事はあっても、闘技場が倒壊するほどの威力はない。双方、力を抑えての撃ちあいだった。
抑えているとはいえ、気を抜くと一瞬で首が飛ぶレベルではあるので油断は出来ないのだが、アイオロスは内心で首を捻っていた。
(アレ?何か動きに無駄が多い…?小宇宙の燃やし方も効率が悪いし)
白銀聖闘士程度では見分けのつかぬような差異も、黄金聖闘士であり、教皇候補でもあるアイオロスの目には大きな粗となって映る。手を抜かれているのかと思ったが、攻撃の内容を見る限り、それもちがう。何よりサガはそんな失礼な事はしない。では調子が悪いのだろうかとも考えたが、無駄な動きでありながら速度だけはアイオロスに合わせていることを考えると、むしろ普段よりもエネルギーと仔細な判断力を要するはず。
どうもサガは、故意に無駄で力任せの攻撃を、いつものスピードとキレに持っていこうとしているようだ…とアイオロスは判断し、思わず疑問を口にした。
「何でそんなことをしているんだ?」
左拳で脇腹を突こうとしていたサガは、その拳をとめてアイオロスを見た。
「…直ぐにわかる」
「え?何がだ?」
「そうだな…始めたばかりだが、少し休憩を入れよう」
黄金聖闘士の体力と能力からすると、この程度の鍛錬ではウォーミングアップ程度にしかなっていないのだが、アイオロスは黒サガのいうとおり、自分も拳を一旦おさめる。
何か黒サガの説明が始まるのかと待っていたアイオロスは、休憩とみるや途端に黒サガの周りへ集まってきた雑兵や神官候補たちの姿を目にして、固まった。
黄金聖闘士の訓練を見学するために、闘技場に人があつまるのは良くある事だが、その見学者たちのほとんどが黒サガのところへ押しかけたのだ。…しかも手になにか持って。
「誕生日おめでとうございます!」
「これ、サンドイッチなんですけど訓練後に食べてください」
「ケーキを持ってきました。カノン様の分もあります」
「菓子パンの詰め合わせです。甘いものが口に合えば良いのですが」
アイオロスは額を抑えた。そういえば集まっているのは双児宮の周りで見たことのある顔ぶればかりだ。サガの誕生日ということであれば、ファンの雑兵たちが集うのも当たり前だ。
眺めている間にも、黒サガの手には贈られた品物が増えていく。雑兵たちはそれほど裕福ではないので、贈られるものは彼らの手に届く、ささやかなお菓子類や果物が多い。
持ちきれない品物もサガは器用に念動力で支え、それらを一度闘技場の中でも綺麗な石段の上へと置いた。
「…これらを食して聖闘士の身体を維持するのに、どれくらいカロリーを消費すればよいと思う」
皆が去った後にぼそりと黒サガが呟いたのを聞いて、アイオロスは苦笑する。
「あー、それでさっきから小宇宙を発散しまくっていたわけね」
返事の代わりに溜息が返されたのをみて、アイオロスはサガの顔を覗き込む。
「一晩俺に付き合ってくれたら、もっと発散させてあげるけど?」
「教皇候補も意外と下世話な冗談を言うのだな」
「冗談じゃないのに」
真剣な眼差しが黒サガの紅目と交錯した。
目をぱちりとさせた黒サガへ、アイオロスは「誕生日おめでとう、俺からの甘いキスを最初に食べて欲しいな」と必殺の言葉を突きつけた。
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拍手コメント返信も夜にさせてくださいね(><)ばたばたなまま今日も仕事に行ってきます!