星矢関連二次創作サイト「アクマイザー」のMEMO&御礼用ブログ
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OTZ 昨日は双子誕だったというのに急な残業とかどういうこと…明日から販売の宿泊設定料金が上司たちの意思の疎通がとれていなかったために、全部間違っていたとかどういうこと…今日も残業確定ではないですか。

うう、もう双子期間内は祝い続けてやる!(>△<)
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突然差し出されたパンを見てから、デフテロスはアスプロスの顔を見上げた。アスプロスが手にしているのは、揚げたてのパンにたっぷり蜜のかかった菓子パンだ。まだ、一修行者にすぎない彼らの感覚からしてみると、相当に贅沢なシロモノと言ってよい。
ましてデフテロスは「存在しない者」として扱われてきた。食べ物の確保すら厳しいときがあるというのに(アスプロスは決してそんな素振りはみせず、必ず弟の食事もどこからか手に入れてきた)、甘いものなど口に入る機会があるわけもない。
「これは?」
目を瞬かせながら尋ねると、町で有力者の家の力仕事を手伝った礼にもらったのだと言う。子供であっても聖闘士候補生ともなれば、大人以上の役にたつ。
「今日は誕生日だから、お前にと思って」
ギリシアに誕生日を祝う風習はないが、それ以前の部分で意味が判らず、デフテロスは首を傾げる。
「今日がお前の誕生日だと、何故お前が俺にパンを持ってくるのだ?」
決してデフテロスが鈍いわけではない。誕生日の記念に兄が美味しいものを食べるのならともかく、何故自分がという疑問符しか浮かばなかったのだ。
アスプロスは呆れたように、少しだけ怒ったようにデフテロスを座らせ、自分も隣へと腰を下ろす。
「お前の誕生日でもあるだろう。俺たちは双子なのだから。俺がお前の生まれてきた日に感謝するのはおかしいか?」
今度こそデフテロスは目を丸くした。
凶星を持つ自分が、その生まれを人々に疎まれることはあっても、その逆はなかった。これからも無いだろう。兄は一体何に感謝をするというのか。
とまどっている顔など気にもせず、アスプロスはデフテロスの仮面を外して鼻をつまんだ。息が苦しくて開けられた口へ、揚げパンが押し込まれる。むぐむぐ食べると、口の中に蜂蜜の甘みが広がった。
「…美味い」
食べ終わったデフテロスがそう呟くと、ようやくアスプロスは笑った。
「俺はお前が居てくれて嬉しい。だから今日という日を祝いたいのだ」
「…」
兄の笑顔が、いつも以上に眩しく見えた。
己にとってもアスプロスの存在はかけがえのないものなのだが、そう言おうとして、自分は何も用意していないことに気づく。
何も言わずにその場を離れたデフテロスが、夕方になって泥だらけで花と果物を持ち帰ったのを見て、アスプロスは再び微笑んだ。



そんな幼少時を思い出して、カノン島のデフテロスは空を見上げた。あのとき以来、甘いものが大好きになったのだった。蜂蜜のやわらかな甘さは兄を思い起こさせた。
しかし、その兄はもういない。
教皇に対して謀反を試みたために、誅殺されたのだ。
他ならぬ自分の手によって。

独りだけで過ごす初めての誕生日に、デフテロスは島中の白い花を集めて海へ散らした。
遠からずアスプロスは第二の命を得て蘇ってくる。
その時には、今度こそ自分から兄へ贈り物をしようと彼は考えた。
いまの自分が持つたった二つのもの、黄金聖衣と己の命でもって。

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N様コメント返信が遅れていて申し訳ありません(>x<)
ほかパチパチ下さった皆様に御礼申し上げます!スタミナ源です!
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